寝たきりの方が便秘になりやすい原因とは?

監修:森田 進
2024年04月29日
寝たきりの方が便秘になりやすい原因とは?
寝たきりの方が便秘になりやすいのはなぜでしょうか?それには身体活動が少ないことが大きく影響していますが、その他にも多くの要因が関与しています。

この記事では、寝たきりの状態で生じる便秘の主な原因を掘り下げ、どのようにしてこれらの問題に対処できるかを詳しく解説します。
目 次

寝たきりの方が便秘になる理由

寝たきりの方が便秘に悩まされる理由は、寝たきりという状態自体が、多くの身体機能に変化をもたらし、それが直接的または間接的に便秘に影響を与えているからです。

身体活動の減少に伴う代謝の低下、足腰を使わない生活が続くことで起こる筋力の衰え、身体の自然な排せつリズムの乱れ、飲食の変化による消化機能への負担など、様々な要因が絡み合って起きるのです。ここからは、寝たきりの方がなぜ便秘になりやすいのかを、具体的な理由を交えて解説していきます。

排せつ括約筋が低下する

通常、わたしたちの日常生活の中で、括約筋や腹筋は様々な動作を通じて自然と鍛えられ、その機能が保持されます。これらの筋肉は、歩く、立つ、座るといった基本的な動作だけでなく、笑ったり咳をしたりすることでも刺激を受けます。

しかし、寝たきりの生活を送る方々には、これらの日常的な刺激が極端に欠けてしまいます。結果として、括約筋や腹筋は使われる機会が減少し、筋力の低下を招くのです。括約筋が弱まると、便を体外に押し出す力が低下し、便秘の大きな原因となります。

また、腹筋の役割は非常に重要で、消化管を通じて食べ物をスムーズに移動させるために必要不可欠です。腹筋が衰えると、腸の蠕動運動が弱まり、その結果、便は腸内で停滞しやすくなります。便の停滞は硬い便を作り、それが排便を一層困難にするのです。

腸機能の低下

わたしたちの腸は、身体が動くことによって刺激され、食べた物を消化管を通し移動させます。しかし、寝たきりの生活を送ることで、これらの物理的刺激が失われ、腸の蠕動運動が顕著に低下します。すると食物の消化と進行が遅れてしまい、結果として便秘を引き起こす主な原因となります。

このような状態は、腸内環境にも悪影響を与え、健康を支える善玉菌と悪玉菌の微妙なバランスを崩してしまいます。バランスが崩れると、便秘がさらに悪化し、消化不良やガスの蓄積など、他の消化問題を引き起こす可能性も高まります。加えて、寝たきりの状態での生活は、重力の影響が減少するという点でも腸機能に影響を及ぼします。

食生活の変化

寝たきりの生活を送る方々は運動量が極端に少なくなるため、その結果、食事の量も自然と減少します。この減食は、一見して必要な措置のように思えるかもしれませんが、それに伴う栄養素の不足が新たな問題を引き起こします。

特に、食物繊維や必要なビタミンが不足になることがあります。これらの栄養素はわたしたちの体にとって非常に重要で、食物繊維不足は特に消化系の健康に深刻な影響を及ぼします。

食物繊維は便の体積を増やし、腸壁を刺激して排便を促進します。この貴重な栄養素が足りないと、便は硬くなり、腸を通過するのが困難になります。これが原因で、便秘となります。さらに、栄養の偏りは腸内環境を乱し、善玉菌と悪玉菌のバランスを崩すことで、便秘をより悪化させる可能性があります。

水分摂取量の低下

水分は、わたしたちの体が正常に機能するために、絶対に欠かせない要素です。特に消化器系の健康を保つためには、適切な水分摂取が非常に重要とされています。水分は便の状態を柔らかく保ち、スムーズな排便を助ける役割を果たします。しかし、寝たきりの方々の場合、積極的に水を飲むという事が減ってしまう場合が多いです。

特に高齢者は嚥下(えんげ)機能が衰えることが多く、これが水分摂取をさらに困難となり、その結果、体内の水分が不足しがちになります。水分不足は便を硬くし、排便を困難にする原因となります。便が硬くなると腸内での移動が難しくなり、排便時に余計な力が必要となります。これが繰り返されることで、排便困難はさらに悪化し、便秘が常態化することも少なくありません。

薬の副作用

医療の現場では、患者に対してさまざまな治療薬を処方することがあり、これらの薬は患者の苦痛を軽減するために不可欠です。しかし、これらの薬剤は時として思わぬ副作用が伴い、特に便秘を引き起こすものが少なくありません。痛み止め、抗精神病薬、高血圧治療薬など、これらは腸の蠕動運動を鈍くしてしまう場合があります。

便秘の予防方法

寝たきりの方の便秘を予防するためには、生活習慣全体を見直し、いくつかの方法を組み合わせる必要があります。特に、水分摂取の改善、適度な運動やマッサージの実施、食生活の改善が主要な予防策となります。これらの方法を続けていくことで、便秘を予防し、日々の快適な生活へと繋げていくことができるのです。 以下に詳しくご説明して行きます。

水分摂取を工夫する 

便秘の予防に水分を細目に摂ることは非常に重要です。それだけでなく、食事と一緒に味噌汁やスープを取り入れることで、更に多く水分摂取する事ができます。これにより、体内の水分バランスを整え、便秘のリスクを軽減することができます。

また、ハーブティーや少量の果汁を加えた水など、飲みやすさや味に工夫を凝らすことも大切です。こうした事で飲料がより魅力的になり、結果として水分摂取量が増加する助けとなります。美味しくて飲みやすい飲料を提供することで、日常生活に小さな楽しみを加え、水分摂取を心地よい習慣に変えることが可能になります。

ただし、紅茶や珈琲など、カフェインを含むものは、水分を輩出し、余計に水分不足を起こすので注意してくださいただし、紅茶や珈琲など、カフェインを含むものは、水分を輩出し、水分不足を起こすので注意が必要です。 さらに重要なのは、口腔ケアをしっかり行い、飲み込む力を維持することです。適切な口腔ケアは、飲み込み機能の衰えを防ぎ、食事や飲み物の摂取を助けます。

運動やマッサージをする

運動不足は便秘の大きな原因の一つとして広く知られていますが、寝たきりの方々にとっては、積極的な運動を行うことが難しい場合があります。ですが、もし脚や腕を動かす簡易的な運動や、ベッドの上で行える柔軟なストレッチなど、筋肉を少しでも活動させることが可能であれば、これらの活動は、身体を動かすことの楽しさを再発見する手助けともなり、筋肉を適度に刺激して便通を促す効果が期待できます。

そして、腹部への優しいマッサージは、腸の動きを活発にする助けとなり、便秘のリスクを減らす効果的な方法です。このようなマッサージは、不快感を和らげるだけでなく、腸の健康をサポートするための手段として、心地よいリラクゼーションの時間となります。ケアを施す手が愛情をもって腹部を優しくなでることで、患者が安らぎを感じ、その結果、全体の健康が向上することが期待されます。

しかし、これらの運動やマッサージは、場合によっては専門的な知識を要することもあります。安全に効果的なケアを行うためには、看護師や理学療法士など専門家の指導を受けることが重要です。これにより、適切な方法で身体を動かし、効果的に便秘を予防するプログラムを実施することが可能となります。

食生活の改善

便秘は、食物繊維の不十分さから悪化することが多いため、食物繊維を豊富に含む食品を意識的に取り入れることが極めて重要です。そして、食物繊維を単に増やすだけではなく、消化しやすい形で摂取することも大切なポイントです。例えば、野菜を細かく切ったりすりおろしにするなどの工夫をすることで、より消化が良くなり、栄養の吸収を助けるとともに、便通を改善します。

さらに、食品だけではなく、食事のリズムを整えることも、便秘予防には不可欠です。一定の時間に毎日食事をとる習慣をつけることで、体内時計が整い、腸の活動が促されます。この規則正しいリズムは、体内の様々な機能が適切に働くための基盤を作り、消化と排便をスムーズなものにします。

さくらリバースについて

さくらリバースは、寝たきりで便秘に悩む方々に向けたマッサージや鍼灸によるケアをご提案いたします。寝たきりの方の体調や生活環境を総合的に評価し、それに基づいた最適なリハビリと支援をご提供します。

訪問における施術を通じて、外出が困難な方も、ご自宅や施設にて安心できる状況でマッサージや鍼灸を受けられます。さくらリバースは、介護を必要とする方とその介護をなさる方が、安心して日常生活を送れるよう全力を尽くしております。どうぞお気兼ねなくご相談くださいませ。

まとめ

寝たきりの方が便秘になりやすい原因を理解することは、予防と改善の第一歩であります。わたしたちが検討した主な理由には、排せつ括約筋の低下、腸機能の低下、食生活の変化、水分摂取量の少なさ、そして薬の副作用が含まれます。これらの要因を踏まえ、寝たきりの方々にとって日々の生活の中で取り入れやすい予防方法を解説しました。

水分の積極的な摂取や、適度な運動(可能な範囲で)、そして適正な食生活が、便秘を予防し改善するカギとなります。これらのポイントを意識することは、便秘という問題に立ち向かうために重要です。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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