寝たきりの方の介護はどうする?注意点や負担を減らす方法について解説します。

監修:森田 進
2024年04月08日
寝たきりの方の介護はどうする?注意点や負担を減らす方法について解説します。
寝たきりの方を介護することは、心身ともに大きな負担となります。しかし、適切な知識とケア方法を身につけることで、その負担を少しでも軽減することができます。

今回は、寝たきりという状況がもたらす様々な症状と、介護における注意点、さらには負担を減らす方法について、総合的にご紹介していきます。
目 次

寝たきりはどんな症状が起きる?

寝たきりになると多くの症状が現れますが、共通して見られる症状にはどういったものがあるのでしょうか。まず多くの寝たきりの方々が経験するのが、筋肉の衰えです。日々の活動が減ることで筋肉量が減少し、体の様々な機能が低下することにつながります。その結果、対象者はますます動けなくなってしまうという悪循環に陥りがちです。

また、長期間同じ体勢を続けることによる床ずれも深刻な問題です。皮膚が圧迫され続けることによる痛みや感染症のリスクが高くなるため、定期的な体位変換が欠かせません。

さらには、排泄コントロールの問題や、栄養不足による体調の悪化など、さまざまな健康上の問題が起きる可能性があります。これらの症状を見極め、適切なケアをしていくことが重要になるわけですが、具体的にはどのような点に気をつけるべきでしょうか。

寝たきりの方の介護をする注意点

介護における総合的なサポート体制を整えることが、寝たきりの方と介護者の両方にとって重要です。体のケア、心のケア、介護者の負担軽減をバランスよく考え、継続的な支援を行うことが、より良い介護環境の実現につながります。次から詳しくご説明して行きます。

食事の際は誤嚥に気を付ける

寝たきりの方が食事をとる際には、食べ物が気道に入ってしまう誤嚥のリスクが高まります。この誤嚥は、肺炎やその他の深刻な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、食事の際には慎重な姿勢や食べ方が欠かせません。

まず、食べ物を細かく切ったり、一口の量を小さくすることが重要です。これにより、口の中に入れる量をコントロールしやすくなり、誤嚥のリスクが軽減されます。また、ゆっくりと時間をかけて食べさせることも大切です。急いで食べると、誤って食べ物が気道に入る可能性が高まりますので、じっくりと食べることが必要です。

さらに、飲み物に関しても注意が必要です。飲みやすい形状のカップを使用するなどの工夫が重要です。また、刺激物や粘度の高い飲み物は誤嚥のリスクを高めるため、避けるようにしましょう。柔らかい食材や液体状の食事が適しています。

誤嚥を防ぐためには、食事中の姿勢や食べ方に十分な配慮が必要です。そのためにも、介護者や医療スタッフと連携しながら、適切な対策を講じることが大切です。安全な食事環境を整えることで、寝たきりの方の健康を守ることができます。

適切な排泄ケアをする

寝たきりの方の排泄ケアは、生活の質を向上させるだけでなく、介護者の負担を軽減する上でも極めて重要です。排泄ケアの基本は、トイレのタイミングを定期的に設定し、その人のリズムに合わせて排泄を促すことです。しかし、認識力や意思疎通が難しい場合は、オムツを利用することも不可欠です。

オムツを使用する際は、頻繁な交換が必要です。これによって肌荒れや感染症のリスクを軽減することができます。さらに、適切なスキンケアも怠ることなく行う必要があります。肌を清潔に保ち、保湿を行うことで、皮膚トラブルを予防することができます。

排泄ケアにおいては、消化器系のトラブルにも注意が必要です。便秘や下痢は、体調不良や感染症のリスクを高める要因となります。そのため、食事内容や水分摂取に気を配り、適切な栄養バランスを保つことが重要です。食物繊維や水分を豊富に含む食品を摂取し、規則正しい排便を促すことが大切です。

排泄ケアは、寝たきりの方の健康状態や生活環境に応じて柔軟に対応する必要があります。介護者は常にその人の状態を見極め、適切なケアを提供することが求められます。快適な排泄状態を保つことで、寝たきりの方の生活の質を向上させることができます。

床ずれに気をつける

寝たきりの方が特に悩まされる問題の一つが床ずれです。これは、皮膚とベッドの間に長時間圧力がかかることで、血流が滞り、皮膚がダメージを受ける現象です。一度床ずれが発生すると、治療が難しく、深刻な痛みや感染症のリスクが高まります。

床ずれを予防するためには、定期的な体位変換が欠かせません。これによって血流が改善され、皮膚への圧力が均等に分散されます。体位変換は、少なくとも2〜3時間ごとに行うことが推奨されています。また、特に圧力のかかりやすい部位には、専用の床ずれ予防クッションを使用することで、皮膚への負担を軽減することができます。

さらに、床ずれを予防するためには、皮膚の清潔を保つことも非常に重要です。定期的な入浴や清拭を行い、皮膚を清潔で乾燥させることで、感染症のリスクを低減することができます。特に摩擦や湿気が蓄積しやすい部位には、特に注意が必要です。

寝たきりの方の床ずれ予防には、定期的な体位変換、専用の床ずれ予防クッションの利用、皮膚の清潔を保つことが不可欠です。これらの対策を積極的に行うことで、床ずれの発生リスクを最小限に抑え、快適な生活を送ることができます。

体位変換を定期的にする

体位変換は、寝ている人の体の位置を変えることで、体圧を分散させ、皮膚の血行を改善することを目的としています。具体的には、2〜3時間ごとに体位を変えることが推奨されます。体位変換は、介護者が寝たきりの方を抱えたり、体を傾けたりして行います。また、マットレスやクッションを使って体圧を分散する工夫も重要です。 体位変換の際には、以下の点に注意することが重要です。

  • 定期的なスケジュール
    体位変換を行う時間を定期的に設定し、忘れずに実施します。時計やアラームなどを利用して、介護者が見落とさないようにします。
  • 適切な姿勢
    体位変換を行う際には、寝たきりの方の体の姿勢を正しく変えることが重要です。力を入れすぎないようにし、体の部位が引っ張られたり圧迫されたりしないように気を配ります。 ・皮膚ケア 体位変換の際に、皮膚を確認し、異常があれば早めに処置します。また、皮膚が乾燥しないように保湿ケアを行い、皮膚の健康を保ちます。
  • コミュニケーション
    寝たきりの方に体位変換を行う際には、十分なコミュニケーションを取ります。寝たきりの方の意思や感覚に配慮し、不快な姿勢や圧迫感を伴うことがないようにします。 体位変換を適切に行うことで、褥瘡や床ずれのリスクを低減し、寝たきりの方の皮膚の健康を守ります。介護者は、定期的な体位変換を行うことで、寝たきりの方の快適な生活をサポートする事が出来ます。

身の回りを清潔にする

寝たきりの方の介護において、身の回りの清潔には非常に重要な役割があります。清潔な環境は褥瘡(じょくそう)や感染症の予防につながり、寝たきりの方の健康維持に不可欠です。以下に、身の回りを清潔にする際の注意点や負担を減らす方法を解説します。

  • 入浴や清拭の頻度
    寝たきりの方は身体を動かすことが難しいため、定期的な入浴や清拭が重要です。体位を変えながら、できる限り清潔な状態を保ちます。入浴が難しい場合は、部分的な清拭やベッドバスを行い、汚れや汗を拭き取ります。
  • 適切な清潔用具の使用
    清潔を保つためには、適切な清拭用具や洗浄剤を使用します。柔らかいタオルやスポンジを使い、皮膚を優しく拭き取ります。また、皮膚にやさしい無香料の石けんや洗浄液を選びます。
  • 皮膚の保湿
    寝たきりの方の皮膚は乾燥しやすく、かゆみや皮膚トラブルの原因になります。入浴後や清拭後には、保湿クリームやローションを使用し、皮膚をしっかりと保湿します。特に肌が乾燥しやすい部位に重点的に塗布します。
  • 尿や便の管理
    寝たきりの方は尿や便の管理が重要です。おむつの交換を定期的に行い、肌への負担を軽減します。尿や便が漏れた場合は、すぐに清拭を行い、皮膚の健康を保ちます。
  • 清潔な環境の維持
    寝たきりの方の周囲の環境も清潔に保つことが重要です。ベッドやベッドパッドの清潔さを保ち、室内の空気をこまめに入れ替えます。また、こまめな掃除や除菌を行い、感染症の予防に努めます。 以上のように、身の回りを清潔にすることは、寝たきりの方の健康維持にとって欠かせない重要な要素です。介護者は定期的な清潔ケアを行い、寝たきりの方の快適な生活をサポートします。

寝たきり介護の負担を減らす方法

大切な家族を介護するのは、とても大変なことです。しかし、その負担を軽減する方法があります。たとえば、定期的な休息を取ることや、家族や友人とのサポートネットワークを築くことが重要です。

また、地域のサービスを利用することも役立ちます。大切なのは、あなたも自分自身を大切にすること。そして、つらい時には誰かに話を聞いてもらうことができることを覚えておいてください。あなたの健康も大切です。

寝たきりの方を介護することは、家族にとって大きな負担になることが多いのが現状です。しかし、いくつかの工夫やサービスを利用することで、その重圧を軽減することができるのです。

介護の質を保ちつつ負担を減らす方法にはどのようなものがあるのでしょうか。これからその具体的な解決策について見ていきます。

施設に入居する

寝たきりの方の介護において、家庭での介護と施設への入居という選択肢があります。施設への入居には多くの利点があります。まず、専門のスタッフが24時間体制で対応してくれるため、家族は常に負荷に晒されることなく、日常生活を送ることができます。家族が介護する負担を軽減し、ストレスを軽減することができます。

また、施設ではリハビリテーションやレクリエーションなど、利用者の健康維持や生活の質を高めるためのプログラムが充実している場合もあります。これらのプログラムによって、利用者は充実した生活を送ることができ、心身ともに健康を維持することができます。

しかし、施設での生活にはいくつかの懸念材料もあります。まず、費用の面での懸念があります。施設に入居するには高額な費用がかかる場合があり、家計に負担をかける可能性があります。また、親しんだ環境から離れることで、利用者や家族がストレスを感じることもあります。

さらに、施設のサービスや雰囲気が利用者に合わない場合もあります。そのため、入居する施設の選択は慎重に行う必要があります。利用者や家族のニーズや希望に合った施設を選ぶことがとても重要です。

家庭での介護と施設への入居という選択肢は、それぞれにメリットとデメリットがあります。利用者や家族がより良い選択をするためには、じっくりと検討し、情報を収集することが重要です。家族や専門家と相談しながら、最適な選択をすることが大切です。

ケアマネジャーなどの専門家に相談する

ケアプランの作成やサービス利用計画の立案には、ケアマネジャーなどの専門家の知識が欠かせません。介護のプロフェッショナルからの助言は、家族の負担を軽減し、適切なサービスの選定を行うのに大いに役立ちます。

介護の道は険しいものであり、家族だけではなかなか難しい判断が必要なことも多いです。そんな時に、ケアマネジャーや介護の専門家が手を差し伸べてくれることは心強いものです。彼らは経験豊富で、様々な介護事例に精通しています。そのため、利用者の状況やニーズを十分に理解し、最適なケアプランを提案してくれます。

また、ケアマネジャーや専門家は、利用可能なサービスの情報提供だけでなく、状況に応じた適切な介護プランを立案してくれます。家族が直面している問題や悩みに対して、的確なアドバイスや解決策を提供してくれるでしょう。これによって、家族は安心して介護に取り組むことができ、負担感を軽減することができます。

介護の道は一人で歩むものではありません。ケアマネジャーや専門家のサポートを受けながら、家族全員で力を合わせて利用者のケアを行うことが大切です。積極的に相談し、専門家の知識や経験を活用して、より良い介護を提供していきましょう。

訪問介護サービスを利用する

自宅での介護を選択する場合でも、訪問介護サービスを利用することで、介護の負担を軽減することができます。身近な環境で生活することができるというのは、高齢者や身体障害を抱えた方にとって大きな喜びですが、家族が一人で介護を担うのは決して簡単なことではありません。そこで、訪問介護サービスは頼れる味方となります。

訪問介護員が定期的に自宅を訪れることで、身体介護や家事支援を受けられます。これにより、家族は一人で介護に奮闘する必要がなくなり、負担を分散することができます。自分の時間が持てることで、家族の介護者がリフレッシュする時間を確保できます。これは、家族の心身の健康を維持する上で非常に重要なことです。

さらに、訪問介護員は専門知識を持っており、質の高い介護を提供してくれます。医療や介護に関する知識や技術を持つプロフェッショナルがサポートしてくれることで、利用者の安心感も高まります。家族は安心して仕事に出かけたり、自分の趣味や興味を追求したりする時間を持つことができます。

訪問介護サービスは、家族と利用者の両方にとってプラスの効果があると言えます。家族の負担を軽減しつつ、利用者にとっても質の高い介護を提供してくれるため、自宅での生活をより快適に楽しむことができます。介護の負担を感じている方や家族は、ぜひ訪問介護サービスの利用を検討してみてください。

さくらリバースの紹介

さくらリバースは、寝たきりの方の介護における負担を軽減し、安心して生活できる支援をご提供しています。私たちは、経験豊富な専門スタッフが、寝たきりの方の個々のニーズに合わせたケアプランを立案し、最適なリハビリテーションをご提供できるよう努めております。

当院では、寝たきりの方の身体状況や生活環境を総合的に評価し、安全で効果的な介護サービスを提供することを重視しています。専門的なケアと熱心なサポートにより、寝たきりの方やそのご家族が安心して生活できるようサポート致します。

ご自宅に訪問させて戴く事で、外出や施設への入居が難しい方でも、自宅で安心してリハビリを受けることができます。

寝たきりの方の介護においては、個別のニーズや状況に応じたケアが必要です。私たちは寝たきりの方とそのご家族と密に連携し、心身の健康をサポートする事をお約束します。さくらリバースは、寝たきりの方の生活を豊かにし、笑顔と希望を取り戻すために全力で活動に取り組んでいます。

まとめ

寝たきりの方の介護は、日々の暮らしにおいてさまざまな困難が起こるものです。介護者の方々は、食事のときの誤嚥予防や適切な排泄ケア、床ずれの防止、体位変換の重要性、身の回りの清潔維持といった点に注意を払いながらケアをしていかなければなりません。

そういった日々の負担を軽減させるためには、施設の入居の検討や、ケアマネジャーなどの専門家と相談を重ね、訪問介護サービスなどの利用も検討することが有効です。

介護施設は多くのケアプランやサポート体制を提供しており、寝たきりの方でも安心して生活できる環境を整えています。このような施設やサービスを上手に利用することで、寝たきりの方だけでなく、介護者の精神的・肉体的負担の軽減へと繋がるでしょう。

寝たきりの方の介護には大きな労力が必要ですが、今回ご紹介したような注意点や負担を減らす方法を活かし、誰しもが安心して過ごせる介護環境の実現に向けて、さまざまな選択肢を知り、利用することが大切でしょう。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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