関節拘縮の予防法とは?介護の際の注意点も解説します。

監修:市姫 久春
2024年05月27日
関節拘縮の予防法とは?介護の際の注意点も解説します。
動きづらい関節を放置すると、関節拘縮が起こってしまいます。

関節の柔軟性は、健やかな生活を送る上で非常に重要です。

今回は、関節拘縮の正しい知識と予防法、そして介護時の注意点を、わかりやすくお伝えします。
目 次

関節拘縮とは

関節拘縮とは、関節の動きが制限され、正常に伸ばしたり曲げたりすることが難しくなる状態です。長期間同じ姿勢を続けたり、筋肉や靭帯が硬くなることで起こります。

主に高齢者や介護が必要な方、特定の病気を抱える方に見られる症状で、生活の質や日常動作に大きな影響を与えることがあります。

伸展拘縮

伸展拘縮とは、関節が十分に伸ばすことができなくなる状態を指します。特に膝や肘の関節でよく見られる状態です。この拘縮が発生すると、歩行や日常生活に必要な動作で不便を感じるようになり、さらには痛みを伴うこともあります。

原因としては、筋力の低下、長期間の安静や姿勢の悪さ、筋線維の変性などが挙げられます。症状が進行すると治療が困難になることもあるので注意が必要です。

屈曲拘縮

屈曲拘縮は、関節を正常に曲げることができず、曲がった状態に固定されてしまうことです。特に膝関節や股関節などで見られるこの状態は、寝たきりや車いすでの生活など、長期間、関節を動かさない状態が続くことが原因となる場合が多いです。

屈曲拘縮が生じると、立ち上がる、座る、歩くなどの基本的な動作に支障が出て、日常生活に影響を与えます。一度発生してしまった拘縮の回復には長い時間と忍耐が求められます。

線維性強直

線維性強直は、関節の周囲にある軟骨や靭帯、筋肉などの線維組織が硬くなり、関節の動きが固定されてしまう状態です。

関節リウマチなどの慢性炎症を起こす疾患が原因で起きることが多く、関節の痛みや腫れといった症状を伴います。線維性強直が進行すると、関節の可動域が制限されてしまいます。

骨性強直

骨性強直は、関節の可動域が著しく制限される状態です。これは、関節内の骨が異常な成長や変形を引き起こし、関節の動きを物理的に妨げることによって発生します。

骨性強直は、外傷や感染症、慢性関節炎、手術の結果として生じることがあり、関節の痛みや腫れを伴うことが多いです。

関節拘縮を予防するには

関節拘縮を予防するための方法を、これから詳しくお話ししていきます。

日常生活でなるべく関節を動かす

関節拘縮の予防には、日常生活の中でできるだけ関節を動かしていくことが重要です。特に、長時間同じ姿勢を続けることが多い高齢者や、障害を持っている方は、意識的に行っていく事をおすすめします。

例えば、テレビを見るときなど、座ったままでもできるストレッチを取り入れたり、家事の最中には関節の動きを大きめに広げるような動作を心がけると良いでしょう。また、歩行や体操など、適切な運動を続けていくことが、関節拘縮の予防には効果的です。

良肢位をとるように心がける

関節拘縮を予防するうえで、関節を自然で無理のない姿勢に保つことも大切です。関節が不自然な姿勢で固定され続けると、拘縮が起こりやすくなります。

寝ている時や長時間座っている時には、関節を自然な形で支えるクッションなどを使用するのも良いです。良肢位を保つことで、筋肉や関節に過度の負担がかからず、圧力が均等に分散されるため、身体の痛みや疲労を軽減し、関節の拘縮や筋肉の萎縮を防ぐことができます。

マッサージをする

関節周りの筋肉が硬くなると、関節拘縮のリスクが高まってしまいます。マッサージは、筋肉を柔らかくし、血行を良くする効果があります。

マッサージは自分で行うことも可能ですが、専門家による施術を受けることで、より効果を高めることができるでしょう。力の加減や関節の状態を考慮しないマッサージはかえって関節に負担をかけることもあるため、注意が必要です。

筋肉や関節を温める

冷えは関節の拘縮の一因となります。筋肉や関節を温めることによって拘縮のリスクを減らすことができます。

お風呂で温まるのも良いですし、温めるためのクリームやパッドを使うのも良いでしょう。また、暖かい環境で適度な運動をすることもおすすめです。

関節拘縮がある方の介護の注意点

関節拘縮を持つ方々の介護は、特に注意が必要です。

これから、関節拘縮がある方を介護する際の重要な注意点と、具体的なケア方法や工夫をご紹介いたします。

ゆっくりを介助して痛みを与えない

介護をする際は、動作をゆっくりと丁寧に行うことが大切です。特に、関節拘縮がある方の場合、急激な動きや力が加わると、痛みを感じる事があります。

介護者は、常に相手の表情や息づかいに注意を払い、痛みを訴えるサインがないかを見逃さないようにしましょう。また、身体を動かす時はゆっくりと、被介護者のペースに合わせていくことが大切です。

リラックスできる体勢を保って介助する

関節拘縮がある方の介護では、リラックスできる体勢を保つことが非常に重要です。リラックスした体勢を保つことで、筋肉の緊張を緩和し、関節への負担を軽減することができ、介護される方が安心して介助を受けられるだけでなく、介護者自身もスムーズにケアを行うことができます。

また、介護される方と常にコミュニケーションを取り、気持ちや感覚に注意を払うことも大切です。痛みや不快感を感じている場合はすぐに対応し、安心して介助を受けられるように心掛けます。

同じ姿勢を長時間続けない

関節拘縮のある方は、同じ姿勢を続けることによって関節や筋肉に負担がかかる可能性があります。これを防ぐために、定期的に姿勢を変えることが重要です。

体位変換は、拘縮の予防や痛みの軽減に役立ち、皮膚の問題や筋肉衰えを防ぐ効果も期待できます。

さくらリバースについて

関節拘縮は関節の可動域が制限されることで、日常生活に大きな影響を及ぼします。しかし、適切な防止策を取ることで進行を防ぐことができます。

さくらリバースでは、専門知識と技術を持つスタッフがご自宅までお伺いし、皆様の健康をサポートいたします。関節拘縮に限らず、日々の健康管理やリハビリテーション、痛みの緩和などに関するお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

皆様が安心して快適な生活を送れるよう、全力でサポートいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

まとめ

関節拘縮は、関節が正常な範囲で動かなくなる状態を指します。日常生活の中で関節を定期的に動かすこと、良肢位を心掛けること、マッサージや温熱療法を取り入れることにより予防が可能です。介護の際には、関節拘縮を持つ方への注意点として、痛みを与えないよう慎重に行動すること、リラックスできる体勢をとってもらうこと、長時間同じ姿勢を続けないよう配慮することが重要となります。

この記事では、関節拘縮の基本的な概要と予防方法、そして拘縮がある方の介護における留意点について解説してきました。関節拘縮は放っておくと日常生活に支障をきたす可能性があるため、早期の予防と適切なケアが求められます。

監修:市姫 久春
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 株式会社さくらリバース 訪問鍼灸リハビリマッサージ事業部
   

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