高齢者の一人暮らしの問題は?対策について解説していきます。

監修:森田 進
2024年06月18日
高齢者の一人暮らしの問題は?対策について解説していきます。
統計によれば、高齢者の割合は増加傾向にあり、特に一人暮らしをする高齢者の数も右肩上がりで増えています。

しかし、一人暮らしの高齢者は様々な問題に直面しています。今回はこれらの課題と対策について詳しく解説していきます。
目 次

高齢者の一人暮らしは増えている

現状として、高齢化が進むとともに、一人暮らしをする高齢者の数はますます増加する傾向にあります。

かつては多世代が一緒に暮らすことが多かった日本ですが、現在は核家族化が進み、都市化に伴って子どもが親元を離れて暮らすことが一般的になっています。このような背景から高齢者の一人暮らしは増えており、今後もその傾向は続くと考えられます。

高齢者の割合

統計を見ると、日本の高齢者の割合は世界でも有数の高さとなっています。2022年のデータによると、日本の65歳以上の高齢者の割合は約28.7%を占めています。

これは医療の進歩による平均寿命の延伸や、人々の健康意識の高まりの結果であると言えるでしょう。また、退職後の生活においても、活力や生きがいを求め、積極的に社会参加をしている高齢者が増えています。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/gaiyou/s1_1.html

高齢者の一人暮らしの推移

日本における高齢者の一人暮らしの推移の具体的な数値を見ると、2000年には約290万人の65歳以上の高齢者が一人暮らしをしていましたが、2020年にはその数が約630万人にまで増加しています。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_3.html

高齢者が一人暮らしになる原因

高齢化が進む日本社会では、高齢者の一人暮らしが増え続けています。この背景には、さまざまな原因が重なっていることが考えられます。ここからは、このような事情について詳しく見ていきましょう。

家族が他界している

高齢者が一人暮らしになる原因の一つとして、家族(配偶者)が他界してしまうことが挙げられます。日本では、女性の平均寿命が男性よりも長いため、夫を亡くした後に妻が一人で生活を続けるケースが多く見られます。

日本の女性の平均寿命は世界でも特に高く、統計によると、日本の女性の平均寿命は約87年であり、男性では約81年です。この6年の差は、女性が夫との死別後も長く生活する可能性が高いことを示しています。

家族を頼れない

家族を頼れない状況は、多くの社会的、経済的要因に起因しています。日本では、子供たちが教育や職業の機会を求めて遠くの都市へ移住するケースが増えています。このような移住は、家族間の地理的な距離を生み出し、日常的なサポートが困難になる原因となります。

さらに、現代の若い世代が直面している経済的な困難も、高齢の親へのサポートを難しくしています。多くの若者が非正規雇用で働いており、不安定な収入や長時間労働により、自分自身の生活を維持するだけでも精一杯であり、高齢の親へ十分な時間を割くことができない状況が広がっています。このような状況は、親世代が一人暮らしを余儀なくされる一因となっており、彼らの孤立を深めることにもつながっています。

一人暮らしが気に入っている

自由を重視する高齢者にとって、一人暮らしは、自分のペースで生活を送れるという点で魅力的です。他人に気を遣うことなく、趣味などを楽しみたいという高齢者も多く、このような生活スタイルを貫くことを選択するのです。

自分の家での生活に愛着を持っているケースもあり、長年築いてきたコミュニティでの生活を大切にしたいという高齢者の気持ちは、非常に理解できるものがあります。

しかし、この生活スタイルを選ぶためには、健康な体と活動的な社会性が必要となります。高齢者が一人暮らしを選ぶ場合、定期的な健康チェックと地域社会の支援が重要となります。

高齢者の一人暮らしの問題について

ここからは、高齢者の一人暮らしに関連する問題について詳しく掘り下げていきます。

孤独死

孤独死は、一人暮らしをする高齢者にとって特に深刻な問題となっており、その死が長時間にわたり誰にも気付かれないまま放置されることも現代社会における重要な社会問題としてクローズアップされています。

高齢者が一人暮らしであると、健康問題や事故が起きた際に、助けを求めることができず、気付かれることなく亡くなってしまうケースが発生します。

孤独死を防ぐためには、地域社会の支援が重要です。例えば、地域住民やボランティア、社会福祉サービスが定期的に高齢者を訪問し、彼らの健康状態や生活状況をチェックすることが有効です。

食事の栄養の偏り

一人暮らしをする高齢者は、栄養バランスが取れた食事をとることが難しい場合があります。これが長期にわたると、栄養不足や健康問題を引き起こす可能性があります。

栄養が偏る主な原因としては、簡単に調理できる加工食品やインスタント食品に頼りがちになることが挙げられます。これらの食品は高カロリーで栄養価が低く、塩分や糖分が多く含まれていることが多いため、高血圧や糖尿病といった慢性疾患のリスクを高めます。

また、食事を一人でとることの寂しさが食欲不振を引き起こすこともあります。社交的な場ではなく、孤独感を感じながらの食事は、食べる量が自然と減少し、必要な栄養素を摂取できなくなることがあります。これにより、高齢者に特に必要とされるタンパク質やビタミン、ミネラルの不足が起こりがちです。

認知症が加速し介護度が上がる

高齢者が一人で生活する場合、認知症の症状が見逃されやすく、適切な介護や医療サポートが受けられずに症状が進行することがあります。これが結果として介護が必要な状態へと速やかに進行し、さらに高度な医療やサポートが必要になるという悪循環を引き起こします。

認知症は記憶力の低下だけでなく、判断力や理解力の衰え、日常生活の基本的な活動(ADL)の自立度の低下を引き起こします。一人暮らしの高齢者が認知症になると、食事の準備、服薬管理、清潔の維持といった日常生活が困難になり、栄養不足や衛生状態の悪化、薬の服用ミスなどが生じることがあります。これらはさらなる健康問題を引き起こし、介護度の上昇につながります。

自然災害に対処できない

多くの高齢者は、身体的な限界や健康状態の問題から迅速な避難が難しいことがあります。災害発生時には、速やかな行動が求められますが、一人暮らしの高齢者には難しい可能性が高いです。また、高齢者は新しい技術や情報収集手段に不慣れであることが多く、緊急時に必要な情報にアクセスすることや、その情報を適切に理解し行動に移すことが難しい場合があり、適切な避難所への避難や、避難所での生活への適応をさらに困難にします。

この問題に対処するためには、地域コミュニティの支援が極めて重要です。地域内で高齢者の居住情報を把握し、災害発生時には迅速に安全確認や支援を行う体制を整える必要があります。

また、高齢者自身にも日頃から災害対策の教育を行い、非常時用の備えとして食料や水、必要な医薬品を常備すること、緊急連絡網を作ることなどが推奨されます。

健康や病気への対処

一人暮らしの高齢者は、健康問題が生じたときに適切な対応ができない場合が多く、これが深刻な健康リスクへとつながることがあります。

考えられる問題として、定期的な医師の診察を受けることが難しい、処方された薬を正しく服用できない、あるいは症状が現れたときにそれが普通の老化の一部なのか、それとも治療が必要な病気の兆候なのかを見分けることができない、などがあります。これらの問題は健康状態の悪化を招き、治療が遅れる原因となります。

また、一人暮らしの高齢者は、病気や事故が発生した際に、即座に助けを求めることが難しい状況にあります。例えば、転倒して動けなくなった場合、近くに助けを求める家族や友人がいなければ、救急サービスに連絡するまでに時間がかかることがあります。この遅れは、回復の見込みを悪化させる可能性があります。

高齢者の一人暮らしをサポートするサービス

高齢者に一人暮らしの増加が進んでいる今、高齢者の生活を支え、安心して暮らせる環境を整えるサービスが必要不可欠となっています。では、それにはどのようなものがあり、どのように利用できるのでしょうか。

自治体のサービスを利用する

地域によっては、自治体が様々なサービスを提供して高齢者の一人暮らしを支えています。たとえば、高齢者が日々の生活で困らないように、生活支援員を派遣するサービスや、食事の配達サービス、移動を支援する交通サービスなどがあります。また、健康面でのチェックを定期的に行う健康診断サービスも、自治体によって提供されることがあります。

これらのサービスは、対象となる条件や内容について自治体によって異なるため、住んでいる地域の窓口やウェブサイトで情報を得ることが重要です。

介護サービスを利用する

高齢者の一人暮らしでは、認知症や体の衰えといった健康問題が起こりやすいです。そんな時には、介護サービスの利用を検討することが大切です。例えば、訪問介護や通所介護、短期入所介護といったさまざまな介護サービスがあります。

これらのサービスを利用することで、身体的なケア、家事の援助など、生活全般のサポートが受けられるようになります。また、要介護認定を受けることで、介護保険を利用したサービスを受けることが可能です。それぞれに応じたサービスを利用することで、高齢者の生活の質を高める助けになるでしょう。

見守りサービス・安否確認サービス

高齢者が体調を崩した際など、緊急時に備えるための、見守りサービスや安否確認サービスがあります。センサーやカメラを設置することで、異常があった場合に自動的に連絡が行くシステムや、日々定期的に電話で健康状態を確認するなど、高齢者の安全を守るための仕組みとなっています。

遠方に住む家族などが安心して過ごせるよう、これらのサービスは積極的に利用すべきでしょう。また、地域のボランティアが訪問して安否を確認するサービスもあります。

さくらリバースの紹介

高齢者の一人暮らしは増加しており、多くの挑戦とともに新しい支援の形が求められています。さくらリバースでは、訪問リハビリ鍼灸マッサージサービスをご提供し、一人暮らしの高齢者の方々が直面する健康問題にも対応しています。

わたしたちのサービスは、お一人お一人の生活状況や健康状態に合わせてカスタマイズされ、専門のスタッフが直接ご自宅などに訪問して、身体的なケアを行います。孤独や不安、健康管理の困難に対して、一人で抱え込まずにわたしたちにお任せください。安全で快適な毎日をサポートするために、さまざまなケアプランをご提案させていただきます。お気兼ねなくご相談ください。

まとめ

多くの高齢者が一人暮らしを選ぶ理由には、家族が他界したこと、家族に頼れない状況、または一人暮らしを好むといった事情があります。そして高齢者の一人暮らしには、孤独死、栄養の偏り、認知症の加速、自然災害への対応の困難さ、健康問題への対処といった問題があります。

これらの課題に対応するため、自治体のサポートサービス、介護サービス、見守りサービスなどの利用が推奨されます。高齢者一人暮らしの質を向上させるためには、これらのサービスを活用し、高齢者が安全かつ健康に過ごせる環境を整えることが重要です。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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