高齢者の昼寝は効果的?認知症によい?リスクやポイント解説

監修:森田 進
2024年11月21日
高齢者の昼寝は効果的?認知症によい?リスクやポイント解説
目 次

高齢者にとって昼寝は重要か?

年齢を重ねると、体内時計や睡眠のリズムが変化するため、日中の眠気を感じる機会が増えることがよくあります。これは決して異常なことではなく、自然な身体の変化の一つといえます。加齢によって夜の睡眠が浅くなり、途中で目が覚めやすくなることが多いため、その分の休息を昼寝で補うことが大切です。昼寝を適切に取り入れることで、夜間の睡眠不足をカバーし、午後からの活動をより快適に過ごせるようになるのです。

また、高齢者にとって昼寝は、単なる体力の回復だけでなく、認知機能の維持にも良い影響をもたらすとされています。短時間の昼寝によって、脳がリフレッシュされ、集中力や記憶力が一時的に向上するため、日常の活動にも良い影響が期待できるでしょう。さらに、昼寝を通じてストレスが軽減され、心身ともにリラックスできることで、全体的な健康状態も良好に保たれやすくなります。

しかし、昼寝の取り方を間違えてしまうと、かえって夜の睡眠に悪影響を与え、生活リズムが乱れてしまう可能性もあります。例えば、昼寝の時間が長すぎたり、夕方以降に仮眠を取ってしまうと、夜間に十分な眠気が感じられず、寝つきが悪くなる原因になります。また、深い眠りに入ってしまうと、起きたときにぼんやりしてしまい、午後の活動にも支障をきたすことがあります。

高齢者の昼寝について

高齢者にとって昼寝は、午後の活動をサポートし、日々の生活リズムを整えるための重要な習慣です。加齢に伴い、夜間の睡眠が浅くなったり途中で目覚めたりすることが増えるため、日中の眠気を感じやすくなります。こうした日中の眠気に対処するために、適切な昼寝を取り入れることで、疲れを軽減し、体力と気力を回復させる効果が期待できます。

ここからは、昼寝が高齢者にもたらすさまざまなメリットについて詳しく見ていきましょう。

高齢者の昼寝のメリット

高齢者が昼寝をすることで得られるメリットは多岐にわたります。

まず、夜間の睡眠で不足した休息を昼寝で補うことができるため、夜の睡眠が浅くなっても日中にリフレッシュする時間がとれます。適度な昼寝を取り入れることで、集中力や記憶力が回復し、脳がリフレッシュされるため、午後の活動も意欲的に行えるようになるのです。

さらに、昼寝にはストレスを軽減し、心身の健康を保つ効果もあります。高齢者にとって、ストレスは体調の悪化や精神的な不調につながりやすいため、昼寝を通じてリラックスし、心の安定を図ることが健康維持に役立ちます。短時間の昼寝で気持ちがリセットされることで、午後の生活がより充実し、生活リズムも整いやすくなるでしょう。

適切な昼寝時間

高齢者が昼寝をする際、時間の長さとタイミングがとても重要です。

適切な昼寝時間は、15時までに20〜30分以内に抑えることが理想的です。この範囲に収めることで、深い眠りに入らず、夜の睡眠にも悪影響を与えずに済むため、午後からの活動をリフレッシュした気持ちで迎えられます。

逆に、30分以上の昼寝や夕方以降の仮眠は、夜の睡眠を妨げ、寝つきの悪さや夜間の中途覚醒を引き起こす原因になりかねません。リフレッシュ効果を得るためにも、短時間での昼寝を意識しましょう。

昼寝する場所について

昼寝をする場所も効果的な昼寝には欠かせない要素です。昼寝をする際には、ベッドや布団ではなく、ソファやリクライニングチェアなどの場所を選ぶのがおすすめです。

これにより、深く眠り込みすぎるのを防ぎ、昼寝後のスムーズな目覚めをサポートできます。ベッドでの昼寝は夜の睡眠と同じ深さに入ってしまう可能性があるため、かえって目覚めにくくなり、午後の活動に支障が出ることも。また、できれば窓際など日光が差し込む場所を選ぶことで、自然光がリズムを整え、心地よく起きられる環境を整えることができます。

認知症と昼寝の関係

昼寝は、脳を休ませ、認知機能を保つために重要な役割を果たします。特に、適度な昼寝が認知症予防に有効であるとされ、その背景には脳内の老廃物であるアミロイドβ(ベータ)の関与があります。アミロイドβは、通常の代謝活動で脳内に生成される特殊なタンパク質で、健康な人でも脳に存在しますが、過剰に蓄積すると脳神経細胞に悪影響を及ぼし、アルツハイマー型認知症の一因になることが知られています。

アミロイドβは主に睡眠中に排出されるため、質の良い睡眠を取ることが、脳内のアミロイドβ除去に重要です。そして、昼寝もまた、脳がアミロイドβを排出する機会を与え、蓄積を防ぐ効果が期待されます。短時間の昼寝を適切に取り入れることで、脳の休息を助け、アミロイドβの蓄積リスクを軽減し、認知症予防に役立つ可能性があるのです。

高齢者の昼寝の注意点

昼寝は適切に行えば高齢者に多くのメリットをもたらしますが、注意点を守らずに長時間眠ってしまうと、逆に健康に悪影響を及ぼすこともあります。昼寝が夜の睡眠に干渉しないように、また、身体や脳に負担をかけないよう、注意すべきポイントについて確認しておきましょう。

長時間昼寝による認知機能への悪影響

長時間にわたる昼寝は、高齢者にとって認知機能の低下リスクを高めるといわれています。

特に1時間を超える昼寝は、深い眠りに入ってしまうことが多く、起床後の覚醒感が得られにくくなるほか、脳が十分にリフレッシュされずにかえって疲労感が残ることもあります。さらに、研究によると、1時間以上の昼寝を習慣にしている高齢者は、昼寝時間が短い人に比べて認知症の発症リスクが増加する傾向があるとされています。

このため、長時間の昼寝は避け、短時間の仮眠に留めることが重要です。適度な昼寝は脳の働きを活発にし、集中力や記憶力の向上をもたらす一方で、長時間昼寝を取ると、逆に認知機能の低下につながるリスクがあるため、昼寝は20~30分以内に抑えるよう心がけましょう。

遅い時間の昼寝

遅い時間に昼寝をすることは、夜間の睡眠に悪影響を及ぼし、高齢者の生活リズムを乱す原因となることがあります。特に、15時以降に昼寝を取ると、夜に十分な眠気が訪れず、寝つきが悪くなったり、夜間の途中覚醒が増える可能性が高まります。

夜間の睡眠が十分にとれないと、翌日の日中の眠気が強くなり、さらに昼寝が長引いてしまうといった悪循環に陥ることも考えられます。こうした生活リズムの乱れは、高齢者にとって体調を崩す要因となるため、昼寝はなるべく15時より前に短時間で済ませることが大切です。

身体機能低下と代謝低下

昼寝が長時間に及ぶと、身体の活動量が減少し、身体機能や代謝が低下するリスクも高まります。

特に、昼寝をしている間は筋肉を使う機会が少なく、運動不足によって筋力が衰えやすくなるだけでなく、関節が硬くなりやすい傾向も見られます。さらに、代謝が低下することで、老廃物の排出が滞り、疲労感が溜まりやすくなるほか、体力が低下し、日常生活での活動意欲が減少することもあります。

高齢者にとって適度な活動は、筋力や心肺機能を維持し、健康的な代謝を保つために重要です。そのため、昼寝を適度な長さに抑え、日中に積極的に体を動かすことで、心身ともに健やかな状態を保ちやすくなります。

高齢者に多い睡眠障害

高齢者には、加齢や体内リズムの変化、健康状態の影響などにより、さまざまな睡眠障害が起こりやすくなります。睡眠の質が低下すると、日中の活動が制限されたり、健康に悪影響を及ぼすことがあり、生活の質を低下させる要因にもなりかねません。ここでは、高齢者に多い睡眠障害とその対処法について詳しく解説していきます。

不眠症(インソムニア)

不眠症は、夜に寝つけなかったり、眠りが浅く途中で目覚めてしまう症状で、高齢者に多く見られます。不眠症の原因には、加齢によるホルモンの減少や生活リズムの乱れ、ストレスなどが考えられます。

対処法
不眠症を改善するためには、規則正しい生活リズムを保つことが大切です。毎朝同じ時間に起き、日中に体を動かしたり、朝に日光を浴びることで体内リズムが整いやすくなります。また、就寝前にリラックスする習慣を取り入れることも有効です。カフェインやアルコールの摂取を控え、心を落ち着かせるような軽いストレッチや読書などを行いましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が何度も止まることで、睡眠の質が極端に低下し、日中の眠気や倦怠感の原因となる障害です。特に高齢者や肥満の人に多く、気道が狭くなることが主な原因です。

対処法
治療には、CPAP(持続陽圧呼吸療法)という専用の機器を使って気道を広げる方法が一般的です。体重管理も効果的な対処法で、適度な運動やバランスのとれた食事を取り入れて、体重の増加を防ぐことが重要です。また、寝る姿勢を工夫し、横向きで寝ることで無呼吸の頻度が減少することもあります。

レストレスレッグス症候群(RLS)

レストレスレッグス症候群は、寝る前や横になった際に脚にむずむずとした不快感が生じ、脚を動かさずにはいられなくなる障害です。これにより、なかなか寝つけない、途中で目が覚めるといった問題が発生します。特に高齢者や鉄分が不足している人に多く見られます。

対処法
鉄分の摂取が症状の改善に役立つ場合があるため、食事やサプリメントで不足を補いましょう。また、就寝前に軽いストレッチやマッサージを行うことで、筋肉がほぐれ、症状が緩和されやすくなります。午後はカフェインの摂取を控え、リラックスした状態で就寝することも効果的です。

レム睡眠行動障害(RBD)

レム睡眠行動障害は、夢の中で動いたり話したりしてしまう障害で、時に大きな動作を伴い、周囲に危険を及ぼすこともあります。高齢者に多く見られ、特にパーキンソン病などの神経疾患とも関連があるとされています。

対処法
治療には、医師による診断のもと、必要に応じて薬物療法が行われます。また、寝室内で周囲にぶつかる可能性がある家具や危険な物を片付け、安心して眠れる環境を整えることも重要です。周囲の人と対策を共有し、安全に配慮しながら過ごせる環境を整えることが大切です。

さくらリバースの紹介

皆さまの健康と生活の質を維持するため、さくらリバースでは訪問鍼灸マッサージを通じて、日々の生活に寄り添ったサポートをご提供しています。

昼間の短い休息やリフレッシュは、身体と心の健康を保つためにとても重要です。また、鍼灸マッサージも、血行を促進し、体をリラックスさせる効果が期待できるため、日々の疲れを和らげ、活力ある生活を支える力となります。訪問鍼灸マッサージのサービスが、皆さまの毎日に少しでもお役に立てればと願っております。

当院のサービスでは、ご自宅やご在宅の場所で、くつろぎながら施術を受けていただけます。どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

高齢者にとって昼寝は、午後からの活動をサポートし、認知機能の維持に役立つ大切な習慣です。短時間の昼寝には、脳のリフレッシュ効果があり、認知症予防にも効果が期待されています。また、アミロイドβの蓄積を抑えるためにも昼寝は有効とされており、適切に取り入れることで心身の健康を保ちやすくなります。

しかし、長時間の昼寝や遅い時間帯の昼寝は、夜の睡眠リズムを乱し、かえって健康に悪影響を及ぼすリスクもあります。昼寝は15時までに20〜30分以内に抑え、カフェインの活用や日光浴を取り入れると、すっきりとした目覚めと午後からの活力につながります。

昼寝を日々の生活にうまく取り入れることで、健康的で充実した毎日を送りましょう。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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