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高齢者のいびき原因は?対策や脳梗塞との関係を解説

監修:市姫 久春
2024年12月24日
高齢者のいびき原因は?対策や脳梗塞との関係を解説
高齢者に多く見られるいびきは、単なる睡眠中の音ではなく、健康に深く関わるサインの可能性があります。

筋力の衰えやホルモンバランスの変化などの加齢に伴う要因が原因でいびきが発生することがあり、場合によっては脳卒中(脳梗塞)や高血圧といった深刻な病気のリスクを高めることもあります。

この記事では、高齢者のいびきの具体的な原因、脳卒中との関係、そして改善のための対策について詳しく解説します。健康的な睡眠を取り戻すためのヒントをぜひご覧ください。
目 次

高齢者のいびきの主な原因

高齢者がいびきをかきやすくなるのは、加齢による体の変化が大きな要因です。ここでは、高齢者のいびきの主要な原因を具体的に解説します。

筋力の衰えによる気道の狭まり

加齢により全身の筋力が衰えると、気道を広げる役割を持つ筋肉も弱まります。この変化が気道を狭め、いびきを引き起こします。

具体的には、舌や喉周りの筋肉の機能低下が問題となります。睡眠中は舌が喉の奥に落ち込みやすくなり、気道を部分的にふさいでしまうため、空気の通り道が狭くなり振動音が発生するのです。特に女性は閉経後、気道を広げる筋肉である「オトガイ舌筋」の働きが弱まるため、いびきをかきやすくなります。

ホルモンバランス

高齢になるとホルモンバランスの変化もいびきの原因となります。特に女性ホルモンであるプロゲステロンは、気道を広げる働きを持っていますが、閉経後にはこのホルモンが減少します。その結果、若い頃よりも気道が狭くなり、いびきをかきやすくなるのです。

また、男性でも加齢によりテストステロンが低下すると、筋肉量の減少や脂肪の蓄積が起こり、気道の圧迫につながることがあります。

基礎代謝量の低下

基礎代謝量とは、生命を維持するために必要な最低限のエネルギー消費量のことです。高齢になると、この基礎代謝量が低下し、体重が増えやすくなります。体重増加は、特に喉周りに脂肪がつく原因となり、気道を圧迫していびきを引き起こします。

さらに、基礎代謝量が低下することで筋肉量も減少し、気道を支える力が弱まることもいびきの一因です。このように、基礎代謝量の変化は身体全体に影響を及ぼし、いびきだけでなく睡眠の質そのものを低下させる可能性があります。

肺活量の減少

加齢に伴い、肺の機能が低下し肺活量が減少します。肺活量とは、肺が空気を取り込む能力の指標であり、これが低下すると呼吸の効率が悪化します。

肺活量が低下すると肺の容量が小さくなり、それに伴い上気道や下気道が狭くなります。上気道は口や鼻から喉までの部分、下気道は気管から肺に至る部分を指します。肺活量の低下により気道が狭まり、空気の流れが悪くなることでいびきを引き起こしやすくなります。

睡眠薬やアルコール

睡眠薬やアルコールは、筋肉の弛緩作用を持つため、いびきを引き起こしやすくなります。特に高齢者の場合、睡眠障害の対策として睡眠薬を使用することが多いですが、この薬が気道周辺の筋肉を緩め、気道を狭くする原因となることがあります。

また、アルコールの摂取も同様に筋肉を弛緩させ、睡眠中に舌が喉の奥に落ち込みやすくなるため、いびきの原因となります。これにより、睡眠の質が低下し、日中の疲労感や集中力の低下につながる可能性があります。

病気による影響

いびきは、以下のような病気が原因で発生または悪化することがあります。

咽頭扁桃の腫れ:のどの上部に炎症や腫れが起こると、気道が狭まりいびきを引き起こします。
風邪や鼻炎による鼻づまり:空気の通り道が狭くなり、いびきの原因となります。
舌やのどのがん:腫瘍が気道を圧迫し、いびきを悪化させる場合があります。
脳梗塞などの呼吸中枢の障害:脳の呼吸調節機能が低下することで、いびきが生じることがあります。

高齢者のいびきの種類

いびきにはさまざまな種類がありますが、健康への影響や原因はそれぞれ異なります。高齢者がかきやすい主な2つのいびきの種類について詳しく解説します。

単純性いびき症

単純性いびき症とは、一時的な要因で起こるいびきのことを指します。これは健康への影響が少なく、主に次のような原因で発生します。

・疲労やストレス
・飲酒や寝酒
・一時的な鼻づまり(風邪やアレルギーなど)

このタイプのいびきは、周囲にとっては迷惑に感じることがあるかもしれませんが、本人の睡眠の質にはほとんど影響を与えません。症状が改善すれば自然といびきも収まるケースが多いため、深刻に考える必要はありません。ただし、長期間続く場合は他の原因が隠れている可能性があるため注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、いびきが健康に大きな影響を与える深刻な状態を指します。この病気では、睡眠中に呼吸が断続的に止まる、または浅くなることが特徴です。主に次の3つのタイプに分類されます。

閉塞型:気道が狭まることが原因で発生するタイプ
中枢型:脳が呼吸をコントロールできなくなるタイプ
混合型:閉塞型と中枢型が混ざったタイプ

睡眠時無呼吸症候群は、次のような症状を引き起こすことがあります。
・夜中に息苦しさで目が覚める
・起床時の強い疲労感や頭痛
・日中の極度の眠気や集中力の低下

高齢者のいびきと脳卒中の関係

いびきは脳卒中のリスクを高める要因の一つとされています。夜間の酸素不足が血管のもろさを悪化させ、高血圧や動脈硬化を引き起こすことで、脳卒中の原因となります。

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで酸素や栄養が供給されなくなり、脳細胞がダメージを受ける病気で、主に以下の3つに分類されます。

脳梗塞:血管が詰まり、脳への血流が途絶える。
脳出血:脳内で血管が破裂し、血液が流出する。
くも膜下出血:脳を覆うくも膜の下で血管が破裂し、血液が漏れる。

脳卒中と見分ける方法

脳卒中は日中の活動中に発症することが多く、以下のような明確な兆候が現れることがあります。

・突然その場で倒れる
・手足や顔の麻痺が出現する
・ろれつが回らなくなる

これらの症状が見られた場合、脳卒中を疑い迅速に医療機関へ連絡することが重要です。しかし、睡眠中に発症した場合は、これらの兆候が確認しにくいことがあります。
睡眠中に脳卒中を起こしているかどうかを見分けるポイントは次の通りです。

いびきが普段より大きい:口や舌が麻痺して気道が塞がり、異常に大きな音が発生する。
呼吸状態が不規則:徐々に呼吸が大きくなり、次第に弱まり止まることを繰り返す(チェーンストークス呼吸)。
意識がない:呼びかけても目を覚まさず、意識を失っている可能性がある。
けいれんの発生:全身または身体の一部が震えるようなけいれんを起こす。

これらの症状が見られた場合、ただちに救急車を呼び、医療機関を受診することが必要です。脳卒中の早期対応は後遺症を最小限に抑えるために極めて重要です。

高齢者のいびき対策方法

いびきを改善するためには、原因に合わせた適切な対策を取ることが重要です。高齢者の場合、加齢による身体の変化が原因であることが多いため、日々の習慣や生活環境を見直すことが効果的です。

以下では、具体的な対策方法を詳しくご紹介します。

舌やのどの筋肉を鍛えるエクササイズ

舌やのど周りの筋力が衰えると、気道が狭まりやすくなり、いびきの原因となります。この筋力を鍛えることで気道を広げ、いびきの軽減が期待できます。以下のような簡単なエクササイズを日常に取り入れてみましょう。

舌を前後・上下に動かす運動:5~10秒間ゆっくり動かし、1日3セット行います。
舌を口の中で回転させる運動:時計回り・反時計回りに3回ずつ回します。
発声練習:大きく口を開け「あ・い・う・え・お」を発声する。1日3回繰り返す。
頬のエクササイズ:頬を膨らませて5秒キープした後、すぼめる動作を繰り返す(3回)。

これらの運動は負担が少なく、毎日続けやすいのが特徴です。習慣化することで、舌やのどの筋力維持に役立ちます。

生活習慣の見直し

いびきは生活習慣の影響を受けやすいため、以下の点を見直すことが重要です。

体重管理:肥満が原因の場合は減量を目指し、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。
寝具の工夫:横向きで寝やすい枕やマットレスを使用することで、気道の閉塞を防ぐことができます。
アルコールや喫煙を控える:アルコールは筋肉を弛緩させ、いびきを悪化させるため、特に就寝前の飲酒は控えましょう。喫煙は気道の炎症を引き起こすため、禁煙を検討してください。
寝る前のリラックス:ストレッチや深呼吸を取り入れて、心身をリラックスさせることでいびきの軽減につながります。

小さな改善でも積み重ねることで大きな効果が期待できます。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、訪問鍼灸マッサージを通じて、皆さまが安心して生活を送れるようサポートさせていただきます。ご自宅やご在宅の場所で、リラックスしながら受けていただくことが可能です。

筋力の衰えや血流の滞りといった加齢によるお悩みに対し、鍼灸やマッサージによる改善を目指す施術も行っております。どうぞお気軽にご相談ください。皆さまの快適な睡眠と健康をサポートするお手伝いができれば幸いです。

まとめ

高齢者のいびきは、筋力の衰えや生活習慣、病気との関連性など、さまざまな要因が関係しています。適切な対策を取ることで、いびきの軽減や健康リスクの回避が可能です。特に、睡眠時無呼吸症候群や脳卒中の危険性を軽視せず、早めの診断と対策を心がけることが重要です。いびきが気になる場合は、生活習慣の見直しや医療機関での相談を検討し、健康的な睡眠と生活を目指しましょう。

監修:市姫 久春
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 株式会社さくらリバース 訪問鍼灸リハビリマッサージ事業部
   

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