認知症とは?
認知症とは、アルツハイマー病や脳卒中などが原因で脳の神経細胞が損傷を受け、脳が萎縮することで認知機能が低下する状態を指します。アルツハイマー型認知症では、初期段階で「もの忘れ」が顕著に現れることが多く、進行すると周囲の状況が理解できなくなる見当識障害や、家事などの慣れた行動が難しくなる判断力・理解力の低下が見られます。
日本では、2012年時点で65歳以上の高齢者約462万人が認知症と推定されており、さらに約400万人が認知症予備軍であるMCI(軽度認知障害)と考えられています。これらを合わせると、65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備軍とされています。2018年には認知症の方の数が500万人を超え、65歳以上の高齢者のうち約7人に1人が認知症であると推計されました。
参考:認知症施策推進大綱について
認知症の初期症状として「もの忘れ」が挙げられますが、加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れには明確な違いがあります。加齢によるもの忘れは、体験の一部を忘れるものの、その体験自体は覚えていることが多く、ヒントを与えれば思い出せる場合がほとんどです。
一方で認知症では、体験そのものを忘れてしまい、何かを忘れているという自覚がなくなることが特徴です。また、加齢によるもの忘れは非常に緩やかに進行しますが、認知症では症状の進行が比較的早く、日常生活への影響が大きくなります。
認知症には4種類ある
認知症は、大きく4つの種類に分類され、それぞれに異なる特徴や原因があります。
アルツハイマー型認知症
最も一般的なタイプで、脳の神経細胞が徐々に減少することによって記憶力や判断力が低下します。主に海馬や大脳皮質が影響を受けます。
血管性認知症
脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)によるものが原因で、段階的に症状が進行します。脳内の血流不足が影響し、体の麻痺や動きの不自由を伴うことがあります。
レビー小体型認知症
レビー小体と呼ばれる異常なタンパク質の沈着が原因です。認知機能の変動、幻視、筋肉のこわばりや震えなど、パーキンソン病に似た症状を伴うことがあります。
前頭側頭型認知症
前頭葉や側頭葉が主に損傷されることで起こります。性格や行動の変化、言語障害が顕著で、比較的若い年齢層にも発症することがあります。
これらの認知症の種類は、それぞれ異なる治療法やケアが求められるため、正確な診断が重要です。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多く見られるタイプで、記憶力や判断力の低下が特徴です。
以下では、この病気の特徴や症状、さらにはその原因について詳しく解説していきます。
特徴と症状
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も一般的なタイプです。主な特徴として、記憶力の低下が徐々に進行し、日常生活に影響を及ぼします。初期段階では、最近の出来事を忘れることが多く、進行すると、物事を計画したり判断する能力が低下します。
アルツハイマー型認知症は、初期の段階では本人や家族が気づきにくいことが多いですが、時間の経過とともに症状が進行し、生活に大きな支障をきたすことがあります。また、時間や場所の認識が混乱し、日常的な出来事や自分がどこにいるのか分からなくなることもあります。
原因
アルツハイマー型認知症の主な原因は、脳内で異常なタンパク質(アミロイドβやタウタンパク)が蓄積し、神経細胞が損傷を受けることです。この過程により、脳の特定の領域、特に記憶や学習に関わる海馬が縮小します。
また、遺伝的な要因や加齢も発症リスクを高める要素とされています。他には、生活習慣病(高血圧や糖尿病など)や脳血流の低下も関与している可能性があるとされています。
血管性認知症
血管性認知症は、脳血管障害を原因とする認知症で、脳出血や脳梗塞が引き金となり、脳の損傷を伴うことでさまざまな症状を引き起こします。損傷を受けた脳の部位によって症状が異なるため、個別の状況に応じた対応が必要です。
特徴と症状
血管性認知症の主な特徴として、物忘れだけでなく、注意力や判断力の低下が挙げられます。また、症状は脳の損傷部位に依存するため、手足の麻痺や言語障害などが併発することも少なくありません。他の認知症と異なり、症状の進行が階段状に悪化する傾向があるのも特徴的です。
原因
血管性認知症の原因は、主に脳血管障害に起因します。脳梗塞では脳の血管が詰まることで血流が遮断され、脳組織に深刻なダメージを与えます。
一方、脳出血は血管の破裂により血液が漏れ、周囲の脳細胞を圧迫することで機能を損ないます。また、動脈硬化によって血管が硬化すると、血流が低下し脳への酸素供給が不足することで影響を及ぼします。
さらに、高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病に加え、喫煙や過度な飲酒、運動不足、肥満といった要因がこれらの脳血管障害のリスクを高め、血管性認知症につながる可能性があります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、認知機能障害だけでなく、視覚的な幻覚や筋肉の硬直、震えなどの運動症状が伴います。
また、症状には日内変動が見られることが多く、自律神経にも影響を及ぼすため、血圧の変動や排尿障害などの症状も現れることがあります。こうした多様な症状が混在するため、他の認知症と区別が難しい場合もあります。
特徴と症状
レビー小体型認知症の特徴は、認知機能の変動が日ごとや時間ごとに大きく異なることです。視覚的な幻覚が初期から見られることが多く、患者本人にとって非常にリアルなものとして体験されます。
また、筋肉の硬直や震えといったパーキンソン症状が顕著であることも特徴です。さらに、自律神経の障害によって血圧が不安定になりやすく、立ちくらみや頻尿、便秘などの症状を伴う場合があります。
原因
この疾患の主な原因は、脳の神経細胞内にレビー小体と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積することです。このたんぱく質が神経細胞を障害し、認知機能や運動機能に影響を及ぼします。
レビー小体型認知症は高齢者に多く見られ、加齢や遺伝的要因が発症リスクに関連しているとされています。また、脳内のドーパミンやアセチルコリンといった神経伝達物質の異常も、この疾患の進行に関与していると考えられています。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、認知症の中でも特に行動や感情の変化が顕著で、患者の日常生活や社会生活に大きな影響を与えるタイプの一つです。このタイプの認知症は、他の認知症に比べて若い年代で発症することが多く、50代から60代での発症例が比較的多いです。
特徴と症状
前頭側頭型認知症の主な特徴として挙げられるのは、行動や人格の大きな変化です。例えば、以前は社交的だった人が突然無表情になったり、他者との関わりを避けるようになる一方で、社会的に不適切な発言や突発的な行動を取ることもあります。
また、共感性や感情表現が著しく低下し、家族や友人への愛情表現が乏しくなることがしばしば見られます。さらに、特定の行動や言葉を繰り返す傾向が顕著になり、興味や関心が大きく変化することも特徴的です。
これまで興味を持っていたことに関心を示さなくなる一方で、別の特定の事柄に執着するようになる場合があります。初期段階では発語が減少し、徐々に言葉の理解や表現が困難になる言語障害が現れることも少なくありません。これらの症状は患者によって異なるものの、日常生活や社会的な関係に大きな影響を及ぼすため、早期の診断と適切な対応が求められます。
原因
前頭側頭型認知症の原因は、脳の前頭葉および側頭葉が萎縮することによるものです。この萎縮は、神経細胞内に異常なタンパク質(タウタンパク質やTDP-43など)が蓄積することで引き起こされるとされています。これにより、神経細胞が正常に機能しなくなり、脳の一部が縮小していきます。
また、前頭側頭型認知症は遺伝的な要因も一因とされており、特に家族内で同じ病気が発症している場合はリスクが高まることが知られています。しかし、全てのケースが遺伝に関連しているわけではなく、環境要因やその他の未知の要因が関与している可能性もあります。
認知症の種類ごとの割合
日本国内における認知症の患者数を比較すると、最も多いのはアルツハイマー型認知症で、全体のおよそ6割を占めています。次いで多いのが血管性認知症で、約2割とされています。レビー小体型認知症は全体の10〜15%程度と報告され、前頭側頭型認知症は比較的稀で5%未満の割合にとどまります。ただし、これらの割合は患者個人の生活習慣や遺伝的要因、社会環境によっても異なるため、正確な診断が必要です。
さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、認知症をはじめとしたさまざまな症状に寄り添い、心身のケアを通じて少しでも日々の生活が快適になるようお手伝いしたいと願っております。ご自宅やご在宅の場所へ伺いし、リラックスできる環境での施術をさせていただきます。
どうぞお気軽にご相談ください。専門スタッフが丁寧に対応させていただきます。
まとめ
認知症の種類やそれぞれの特徴、原因について理解を深めることは、早期発見や適切な対応につながります。ご自身や大切な方の健康を守るために、認知症について正しい知識を持つことが何よりも大切です。
もし不安や疑問を抱えている場合は、専門家に相談することをためらわず、専門家や身近な人に相談してみてください。あなたやあなたの周りの方が安心して過ごせる日々を、心から願っております。
