訪問介護を毎日利用する際の基本情報
訪問介護を日常的に活用する際は、まずそのサービス内容と制度の仕組みを正確に把握しておくことが大切です。ここでは、訪問介護の基本と利用条件について確認していきます。
訪問介護とは? 基本的なサービス内容
訪問介護とは、介護を必要とする方のご自宅にホームヘルパーが訪問し、日常生活を支援する介護保険サービスです。支援内容は大きく分けて「身体介護」と「生活援助」の2つに分類されます。
身体介護は、入浴や排泄、食事の介助など、直接身体に触れる支援です。一方の生活援助は、掃除・洗濯・調理・買い物など、日常生活を維持するための支援が中心です。また、通院時の乗降介助も特定条件下で提供されます。
参考:厚生労働省
訪問介護の利用条件
訪問介護を利用するには、まず市区町村が実施する要介護認定を受け、「要介護1~5」または「要支援1・2」と認定される必要があります。
認定後は、ケアマネジャーが作成するケアプランに沿って、必要とされる訪問介護サービスが提供されます。利用できるのは原則として在宅で生活している方に限られ、介護保険制度の範囲内での支援が前提となります。
また、サービスを提供するのは所定の資格を有する介護職員であり、支援の内容によって必要な資格の種類も異なります。
参考:厚生労働省
訪問介護の費用の仕組み
訪問介護の費用は、基本料金にさまざまな加算が重なることで構成されています。ここでは費用体系を詳しくご紹介します。
基本料金と自己負担割合
訪問介護の費用は、介護保険上の「単位数」に地域ごとの単価をかけて算出されます。利用者が支払う自己負担は、原則として1割ですが、所得に応じて2~3割に変動します。介護保険証とともに発行される「負担割合証」で、自身の負担区分を確認することができます。
なお、要介護度やサービスの内容によっても料金は異なりますが、すべてのサービスはケアプランに基づいて提供されるため、事前に見積もりを取っておくことで費用の目安がつきやすくなります。
参考:厚生労働省
加算料金の種類
訪問介護の料金には、基本サービスに加えて条件に応じた「加算」が上乗せされる場合があります。たとえば、初めて訪問介護を受ける際の「初回加算」や、夜間・深夜・早朝の時間帯にサービスを受けた場合の「時間帯加算」があります。
さらに、計画外の訪問時にかかる「緊急時訪問加算」、特定の基準を満たした事業所で算定される「特定事業所加算」や「処遇改善加算」なども加わります。これらは制度で定められた要件を満たした場合に限り算定されるため、事前に事業所へ確認することが望ましいです。
参考:厚生労働省
費用面で確認すべき点
費用に関する確認事項としては、まず自己負担割合の把握が欠かせません。加えて、住んでいる地域によって異なる「地域区分単価」が設定されており、同じサービスでも地域により料金に差が出る可能性があります。
また、一定額を超えた際には「高額介護サービス費制度」により自己負担の上限が設定されており、払い戻しを受けられる場合もあります。さらに、交通費や提供エリア外の訪問対応など、介護保険の適用外となる費用の有無についても事前に確認しておくと安心です。
参考:厚生労働省
訪問介護の費用相場
訪問介護の費用は、要介護度や地域、利用回数によって大きく異なります。制度の枠組みの中で、どの程度の負担が生じるのかを知っておくことは、今後の生活設計にも関わる重要な情報といえます。
要介護度別の費用目安
訪問介護は、介護保険制度における「支給限度額」の範囲内で利用されます。要介護度に応じた月額上限額は以下のとおりです(自己負担1割の場合)。
要介護1:167,650円
要介護2:197,050円
要介護3:270,480円
要介護4:309,380円
要介護5:362,170円
※上記を超えた部分のサービス利用は、全額自己負担(10割)となります。
また、在宅介護全体(訪問介護以外のサービスも含む)の平均月額費用は以下のように報告されています。
要介護1:約54,000円
要介護4:約124,000円
訪問介護単独ではなく、他の介護サービスとの併用も考慮して、支給限度額内に収まるようにケアプランを立てることが現実的とされています。
参考:厚生労働省
地域による料金差
訪問介護の単価は、厚生労働省が定めた「地域区分」に基づいて地域ごとに異なります。
たとえば1単位10円に対し、東京都特別区などの1級地では1単位あたり11.40円、人件費が低い7級地では10.21円と設定されています。
参考:厚生労働省
費用相場の把握に役立つアドバイス
訪問介護費用の見通しは、まずケアマネージャーに月額試算を依頼し、利用回数や時間を設定して費用を見積もること。次に、地域区分や加算項目の有無を事業者に確認し、実際の単価を把握しておくことが基本とされます。
さらに、支給限度額を超えた際には「高額介護サービス費制度」が適用される可能性もあり、利用者負担が軽減される場合があります。
参考:厚生労働省
費用負担が軽減できる制度紹介
訪問介護などの介護サービスを利用する際、費用負担が大きくなる場合があります。そこで、負担を抑えるための公的支援制度について、代表的なものをご紹介します。
高額介護サービス費制度
高額介護サービス費制度は、1か月あたりの介護保険自己負担額が、所得区分ごとに定められた上限額を超えた場合に、超過分の払い戻しを受けられる仕組みです。主な内容は以下のとおりです。
対象:介護保険の利用者(要介護・要支援)で、一定の自己負担が発生している方
条件:所得に応じた「月額の上限額」を超える自己負担が発生した場合に適用
上限額の例:
・市町村民税課税世帯(所得770万円未満)…月44,400円
・一定以上の所得者(現役並み)…月93,000円または140,100円
・住民税非課税世帯…月24,600円など(さらに低所得層では15,000円)
この制度を利用することで、所得に見合った水準まで費用負担が軽減されます。
参考:厚生労働省
低所得者向けの利用者負担軽減制度
低所得世帯に対しては、自治体や社会福祉法人が提供する費用軽減制度が利用できます。
対象:住民税非課税世帯など、一定の収入・資産基準を満たす方
条件:年間収入や預貯金の基準(例:単身世帯なら年収150万円以下、預貯金350万円以下)が満たされる場合
負担額の軽減率:事業所や自治体によって異なりますが、一般的には利用者負担額の1/4などとして設定されています。
参考:厚生労働省
制度の申請方法
高額介護サービス費制度の申請は、利用月の翌々月に自治体から申請書が送付され、おおむね2年以内に返送またはオンライン提出することで手続きが可能です。
一方、低所得者向け軽減制度では、まず市町村が「軽減確認証」や「利用者負担軽減対象確認証」を発行し、これをサービス事業者に提示することで軽減が適用されます。
なお、発行後も更新が必要な場合があり、制度内容は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村に確認されるとよいでしょう。
訪問介護を利用する際の注意点
ここでは、訪問介護の制度の仕組みに加えて、費用や提供範囲と注意すべきポイントをご紹介します。
支給限度額を超えた場合の自己負担
訪問介護を含む居宅サービスには、要介護度に応じた「支給限度額」が設定されています。限度額を超えた利用分は、保険適用が外れ、全額自己負担(10割)となります。たとえば、利用額が限度額を1単位でも超えたタイミングからその超過分には適用されません。
ケアプラン作成時には、ケアマネージャーと相談し、限度額内でのサービス量を意識したスケジュール設計が望まれます。超過分の請求書は事業所から直接届くこともあるため、事前に確認しておく必要があります。
参考:厚生労働省
訪問介護で受けられないサービスについて
訪問介護は介護保険制度の適用範囲に基づいて提供されるため、対象外となる支援もあります。代表的な例は以下のとおりです。
・医療行為や専門的処置
例:インスリン注射、医療用器具の交換、異常のある爪の処置など。これらは原則として訪問看護や訪問診療による対応が求められます。
・非定型的な家事支援
例:家族以外の洗濯・掃除、庭木の手入れ、大掃除、ペットの世話など。日常生活に直接関連しない業務は保険適用外とされています。
・通院以外の外出同行
例:買い物や趣味活動などへの付き添い。介護保険では認められておらず、自費サービスの活用が必要になる場合があります。
このような支援が必要な場合には、自費による生活支援サービスの利用や、他の制度を併せて活用する方法も考えられます。
参考:厚生労働省
利用時の注意点に関するアドバイス
利用時には、まずケアマネージャーと「ケアプラン内容」と「支給限度額の関係」を定期的に確認することが望まれます。また、サービス提供事業所には「できること・できないこと」を明示してもらい、契約時に再確認することが紛争の予防につながります。
請求書には「保険適用分」「自己負担分」「支給限度額超過分」が明確に記載されているか確認し、不明点は遠慮なく窓口に問い合わせる姿勢が有効です。こうした対応が、制度範囲内での安心した利用につながるでしょう。
参考:厚生労働省
さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、専門知識を持つスタッフがご自宅や滞在先に伺い、お一人おひとりの体調に寄り添ったリハビリやケアを行っております。
身体機能の維持と心の安定、そしてご家族の負担軽減につながるような支援を目指しています。「どんなサポートが受けられるのか知りたい」とお感じの方は、どうぞお気軽にご相談いただければ幸いです。
まとめ
訪問介護を継続して利用するには、制度の仕組みや費用の構成、支給限度額の考え方を正しく把握しておくことが重要です。
サービスの適用範囲や費用負担の軽減制度など、事前に確認すべき点は多くあります。これらをしっかり整理しておくことで、安定した利用につながります。本記事が今後の検討や準備の一助となれば幸いです。
