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介護難民とは?原因・現状・対策や問題点を詳しく解説します

監修:森田 進
2025年03月31日
介護難民とは?原因・現状・対策や問題点を詳しく解説します
介護が必要なのに、施設に入れず十分な支援を受けられない「介護難民」。少子高齢化や介護人材不足が深刻化する中、誰もが直面する可能性のある社会問題です。

本記事では、介護難民の現状や増加の原因、具体的な対策を詳しく解説します。将来の不安を減らすために今できることを一緒に考えてみませんか?

介護難民にならないための準備と解決策を知り、安心できる未来を築きましょう。
目 次

介護難民とは?

介護難民とは、介護が必要にもかかわらず、施設の入居待ちや在宅介護の担い手不足、経済的な問題などの理由で十分な介護サービスを受けられない人のことを指します。

少子高齢化が進む日本では、高齢者の増加に対して介護施設の数や介護職員が追いつかず、家族だけでの介護も難しくなっています。さらに、介護には費用がかかるため、年金や貯蓄が十分でない場合は必要なケアを受けることが困難になりがちです。

特に都市部では介護施設の空きが少なく、地方では人手不足が深刻化するなど、地域によっても状況は異なります。こうしたさまざまな要因が重なり、多くの高齢者が十分な介護を受けられずにいるのが現状です。

介護難民が増える主な原因

介護難民の増加には、さまざまな社会的要因が複雑に絡み合っています。

高齢化が進む一方で、介護サービスの提供体制が追いつかず、必要な支援を受けられない高齢者が増加しています。また、地域ごとの介護サービスの格差や人材不足なども、介護難民を生む原因となっています。

ここでは、主な要因について詳しく見ていきましょう。

少子高齢化と労働力の減少

​日本は少子高齢化が進行し、労働力の減少が深刻な問題となっています。

​2024年には出生数が約72万人と、過去最低を記録しました。 ​一方、死亡数は約161万人に達し、人口減少が加速しています。 ​この傾向は、労働力人口の減少を招き、2035年には1日あたり1775万時間の労働力が不足すると予測されています。
参考:我が国の人口について(厚生労働省)
参考:パーソル研究所「労働市場の未来推計2035」

​特に介護分野では、労働力不足が顕著で、介護職員の確保が難しくなっています。​このような状況下で、介護を必要とする高齢者が適切なサービスを受けられない「介護難民」の増加が懸念されています。​少子高齢化と労働力の減少は、介護分野における人手不足を深刻化させ、社会全体に大きな影響を及ぼしています。

介護施設・人材の不足

高齢者が増加するなかで、介護施設や介護人材が不足していることも、介護難民が増える大きな要因です。特に都市部では特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームなどの入居待機者が多く、すぐに入居できる状況ではありません。

介護施設の入居待ちは長期化し、特に特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームでは全国で数十万人規模の待機者が発生しており、要介護3以上の高齢者でもすぐに入居できるとは限りません。そのため、自宅での介護が続き、家族が介護離職を余儀なくされたり、高齢者が十分なケアを受けられず孤立するケースも増えています。
参考:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」

また、介護施設を増設しようとしても、新規開設には高額なコストがかかるうえ、人材不足によって運営が難しくなることも多いため、施設の増設が進まないのが現状です。

さらに、介護職は給与が低く、労働環境も厳しいため、慢性的な人手不足が続いており、職員の確保が大きな課題となっています。その結果、介護施設の受け入れ人数が限られ、介護が必要な高齢者が十分なケアを受けられずに待機を余儀なくされるケースが増えています。
参考:厚生労働省「介護職員数の推移」

地域格差と「介護砂漠」問題

介護サービスの提供状況には地域差があり、特に地方の過疎地域では介護施設や訪問介護サービスの不足が深刻です。このような地域では、介護が必要な高齢者がいても、近くに受け入れ先がないために、家族の負担が大きくなり、十分な介護を受けられない「介護砂漠」と呼ばれる問題が発生しています。

一方、都市部では高齢者人口が集中しているため、施設への入居待ちが長期化し、すぐに介護サービスを利用することが難しくなっています。介護施設の立地や人材確保の問題により、地方と都市部のどちらでも介護サービスの供給が追いつかない状況が続いており、介護難民の増加につながっています。

経済的な問題

介護には費用がかかるため、経済的な理由で必要な介護サービスを利用できない高齢者も少なくありません。特に、年金支給額の実質的な減少や生活費の高騰により、介護費用を十分に準備できないケースが増えています。

介護保険制度を利用しても、自己負担が発生するため、経済的に余裕のない高齢者は介護サービスを受けることをためらい、必要なケアを後回しにしてしまうことがあります。

また、入居型の介護施設に入るにはまとまった資金が必要となるため、特養などの公的施設に申し込むものの、入居待機者が多く、結局在宅介護を選ばざるを得ないケースも増えています。

核家族化

かつては三世代同居が一般的で、家族が協力して高齢者の介護を担うことができました。しかし、核家族化が進む現代では、子どもが親と離れて暮らすことが多く、介護を担う人がいないケースが増えています。その結果、一人暮らしの高齢者や高齢夫婦のみの世帯が増加し、介護が必要になったときに頼れる家族がいない「独居高齢者」の問題が深刻化しています。

また、家族が遠方に住んでいる場合、親の介護をするために頻繁に帰省することが難しく、結果として「遠距離介護」や「老老介護」の状況が増えています。特に高齢者同士の介護は体力的・精神的な負担が大きく、共倒れのリスクが高くなります。

介護サービスの情報不足

介護が必要になったとき、どのようなサービスを受けられるのかを知らない高齢者や家族も多く、情報不足が介護難民の一因となっています。

特に、行政が提供する介護サービスや支援制度の情報が十分に行き届いていないため、利用可能な制度があっても知らずに困っているケースが少なくありません。また、インターネットを活用して情報収集ができる世代とそうでない世代の間で情報格差が生じ、高齢者本人が適切な介護サービスにアクセスしづらい状況も問題視されています。

介護サービスの利用には手続きが必要なことが多いため、情報を得られないまま放置され、結果として適切なケアを受けられない高齢者が増えているのが現状です。

介護難民にならないための対策

介護が必要になったときに適切なサービスを受けられるよう、早めの準備が重要です。介護難民にならないためには、事前の情報収集や資金準備、健康維持など、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

ここでは、具体的な対策について詳しく解説します。

事前の情報収集

介護が必要になってから情報を集め始めると、希望する施設やサービスを利用できないことがあります。事前に介護保険制度や利用できるサービスについて理解し、家族の状況に応じた介護計画を立てておくことが大切です。

特に、地域の介護施設やデイサービス、訪問介護の選択肢を把握しておくことで、必要になった際にスムーズに対応できます。地域包括支援センターや市町村の福祉窓口などで相談すると、具体的な支援策や施設の情報を得ることができるでしょう。

介護資金の準備

介護には想像以上の費用がかかるため、早いうちから資金を準備しておくことが大切です。特に、介護施設に入居する場合、入居金や月額費用が大きな負担になることがあります。

また、介護保険を利用する場合でも、自己負担額が発生するため、収入や貯蓄を考慮して資金計画を立てておくことが重要です。保険や年金制度の活用も含めて、将来の介護費用に備えましょう。

家族間で介護方針を決める 

介護は家族の協力が不可欠です。事前に家族で話し合い、誰がどのように介護を担うのか、どのような施設やサービスを利用するのかを決めておくと、いざという時にスムーズに対応できます。

また、家族間で意見の違いが出ることもありますが、できるだけ早い段階で方向性を統一し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けるのも有効です。

健康維持と介護予防

要介護状態にならないために、健康維持や介護予防に努めることも重要です。定期的な運動やバランスの取れた食事を心がけることで、介護が必要になる時期を遅らせることができます。

また、高齢者向けの健康教室やリハビリプログラムに参加するのも良いでしょう。認知症予防のためには、社会とのつながりを持ち、日常的に会話や学習をすることが効果的です。

介護施設・サービスの活用

介護は家族だけで抱え込まず、公的・民間のサービスを適切に活用することが大切です。特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームなどの施設利用も選択肢の一つですが、多くの施設では入居待ちが発生しているため、できるだけ早めに申し込むことが重要になります。

ただし、希望する施設にすぐ入居できるとは限らず、長期間待機するケースも少なくありません。そのため、事前の準備や工夫が必要です。入居待ちを回避するために、以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • 複数の施設に申し込む
    特定の施設にこだわらず、複数の選択肢を検討することで、入居できる可能性を高めます。
  • 新設施設を狙う
    新しく開設される施設は比較的空きが出やすいので、定期的に情報をチェックすると良いでしょう。
  • 民間施設も検討する
    費用の安い公的施設(特養など)は入居待ちが長いため、民間の介護施設も選択肢に入れておくとスムーズです。
  • 系列の病院に通院する
    介護施設と提携している病院に通院しておくと、情報がスムーズに共有され、入居の順番が回ってきやすいことがあります。

事前の準備と情報収集をしっかり行うことで、介護が必要になった際に慌てることなく、適切なサポートを受けることができます。

また、在宅介護を選択する場合でも、訪問介護やデイサービスなどを上手に活用することで、介護する側の負担を軽減できます。介護保険外のサービスとして、家事代行や見守りサービスなども選択肢の一つとなります。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、訪問鍼灸リハビリマッサージを通じて、心と体の両面からケアをサポートしております。お体の不調を和らげることで、精神的な安定も促し、より快適な生活をお手伝いできればと考えております。

ご自宅やご滞在先にお伺いし、安心できる環境で施術を行います。リラックスした状態で受けていただけるよう心がけておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

まとめ

介護難民は、決して他人事ではなく、誰もが直面する可能性のある問題です。少子高齢化や人手不足が進むなかで、必要な介護サービスを受けられない状況を避けるためには、事前の準備や情報収集が大切です。

家族や地域と協力しながら、利用できる介護サービスを把握し、介護資金の準備や健康維持にも意識を向けることで、将来の不安を軽減できます。一人ひとりができることを少しずつ積み重ねながら、安心して暮らせる環境を整えていきましょう。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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