ケアマネジャーの仕事内容とは?役割や給料など詳しく解説します!

監修:森田 進
2024年01月20日
ケアマネジャーの仕事内容とは?役割や給料など詳しく解説します!
ケアマネジャー、正式には「介護支援専門員」と呼ばれるこの職業は、介護サービスのコーディネーターとして重要な役割を果たしています。ケアマネジャーは、現在の日本の高齢化社会において不可欠な存在となっており、介護の質を高める上で中心的な役割を担っています。本記事では、介護サービスと深く関わりのあるケアマネジャーについて、その社会的役割や仕事内容などを解説します。
目 次

ケアマネジャーとは?

ケアマネジャーとは、高齢者や障害を持つ方々に対して、適切な介護サービスを提供するための計画を立て、コーディネートする専門職です。
介護が必要な人々が自宅や地域社会で安心して暮らせるように、介護保険制度の下で、利用者の生活状況や健康状態を考慮したケアプランの作成を担います。
また、利用者やその家族、介護サービス提供者との橋渡し役として、利用者一人ひとりに最適な介護サービスが提供されるよう様々なマネジメントを行います。

ケアマネジャーの役割

ケアマネジャーの主な役割は、高齢者や障害を持つ人々の自立を支援することです。
ケアマネジャーは、介護保険制度におけるキーパーソンとして、利用者が受けられるサービスの種類や量を決定します。
利用者の生活状況、健康状態、そして家族のサポート体制を総合的に評価し、それに基づいて個別のケアプランを作成することで、最良のケア計画を提供し、利用者の自立生活をサポートします。
また、ケアマネジャーは、利用者とサービス提供者との間のコーディネーターとしての役割も担っており、医療機関や介護サービス提供者と連携しながら、利用者に適切なケアが提供されるようサービス内容のマネジメントを行います。

ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャーの仕事内容は、個々のニーズに応じたケアプランの作成から、その計画の実施に至るまで、多岐にわたります。
ここではケアマネジャーの主な仕事内容についてその一部分をご紹介します。

利用者の相談業務

まず、ケアマネジャーとして最も重要な業務の一つは、利用者の相談業務です。
利用者とその家族に最適なケアプランを提供するため、まずは利用者の健康状態や生活環境、介護に関する悩みや不安など、様々な相談に応じます。
これらの相談に対して、適切なアドバイスや情報提供を行い、利用者とその家族が抱える問題の解決に寄り添い、向き合うことで、ニーズに合わせた最適なケアプランを立案します。このプロセスでは、利用者や家族の声に耳を傾けることが不可欠です。
彼らの希望や懸念を理解し、それをケアプランに反映させることで、より個別化された、利用者にとって最適な介護サービスを提案することができます。
また、利用者の状況やニーズは時間とともに変化するため、定期的なフォローアップと状況の再評価も重要です。

ケアプラン作成

個々の利用者に合わせたケアプランを作成することは、ケアマネジャーの中核的な業務の一つです。
ケアプランには、必要な介護サービスの種類、量、頻度が明記され、利用者の生活の質の向上のため様々な対策が含まれます。
利用者の健康状態、日常生活での困難、趣味や関心、社会的環境など、多角的な視点から情報を収集し、その人らしい生活を支援するプランを策定します。
利用者や家族との面談により、利用者の身体的、精神的、社会的状況を正確に把握し、必要に応じて医療機関や他の専門家との協議しながら策定が進められます。
作成したケアプランは、利用者の状況やニーズに応じて定期的に見直しが必要になります。
ケアプランに変更がある場合などは、利用者と家族が理解しやすいように、サービス内容、目的、効果を明確に説明することも重要です。

給付管理

ケアマネジャーは、介護保険などの公的な給付に関する管理業務も担います。
利用者が受けるサービスが介護保険の基準に合致しているかを確認し、必要な場合はサービスの適切な利用と給付の範囲内でのサービス調整を行います。
これにより、質の高いサービスが適切に提供され、介護保険制度の枠内で最適なサービスが提供されるようになります。

マネジメント

介護サービス提供者や医療機関など、関連する様々な事業所との間での調整と連携は、ケアマネジャーにとって重要な業務の一つです。
利用者にとって最良のサービスが提供されるように、介護サービス提供者、医療機関、地域包括支援センターなど、多方面の組織や専門家と綿密に連携を取りながら、各機関間の情報共有や調整を行います。
効果的なコミュニケーションを取り、協力関係を築き上げることで、利用者とその家族、サービス提供者の3者の橋渡し役を担い、サービスの最上効果を発揮させます。
また、対人マネジメントのみならず、提供サービスの品質マネジメントも行います。
提供されるサービスの品質を継続的に監視し、利用者に最適なケアが提供されているかを評価します。
サービス提供者からの定期的なフィードバック収集や、ケアプランの効果評価を通じて、利用者が常に最高水準のケアを受けられるよう努めます。

要介護認定されている業務対応

要介護認定を受けた利用者に対しては、ケアマネジャーがケアプランを策定し、サービス提供者との調整を行います。
また、認定申請の手続きサポートや、認定内容に基づくケアプランの調整など、要介護認定を受けた利用者のニーズに応じて、適切なケアプランの作成と実施を行い、定期的にその進捗を評価し、必要に応じてプランを調整します。

施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーの違い

ケアマネジャーには「施設ケアマネジャー」と「居宅ケアマネジャー」という二つの職種があります。
これらの職種は、働く環境や業務内容が異なり、それぞれに独自の特徴があります。

職場の違い

施設ケアマネジャー: 特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどの施設内に勤務します。施設内の利用者全体のケアプランを管理し、施設内のスタッフと連携を取ります。
居宅ケアマネジャー: 居宅介護支援事業所に勤務し、地域の介護サービス提供者との連携しながら地域に住む利用者個々のケアプランを作成します。

施設ケアマネジャーは、特定の施設内で働くため、日々同じ利用者と接する機会が多く、継続的な関わりを通じて、利用者一人ひとりの状況やニーズを把握しやすいという利点があります。
また、施設内の他のスタッフや資源との連携が容易であり、協力しながらケアを提供できることも強みの一つです。施設のリソースを活用して多様な活動やプログラムを提供することができる一方で、施設の規定に縛られることで、施設の運営基準や規定に沿ったサービスを提供することに重点を置くため、個々の利用者のニーズに合わせた柔軟な対応が難しい場合もあります。
一方、居宅ケアマネジャーは、利用者の自宅や地域社会でサービスを調整するため、外部の多くのサービス提供者や関連機関と連携する必要があります。特定の施設のみならず地域の様々な機関と連携が必要となるため、より柔軟なコミニュケーションが求められます。
様々な機関との連携業務により、利用者の生活環境や地域の特性に応じた柔軟なサービス調整が可能であり、利用者が自宅で自立した生活を送れるように支援できます。
また、利用者の家族や地域社会との連携も重要であり、地域社会で開催されるイベントへ積極的に参加できる地域のリソースを活用し、地域社会との連携を促進させることができるのが大きな強みの一つです。

人員基準の違い

施設ケアマネジャー:利用者が多い施設では、一人あたりの担当者数が多くなるため、1人で多くのケースを担当することがあります。

居宅ケアマネジャー:担当件数が制限されており、より個別対応に集中できる環境があります。

施設ケアマネジャーは、特別養護老人ホームや介護施設などで働くため、施設の人員配置やサービスの質を維持するという責任があります。そのため、一般的には施設内の利用者数に対して一定数以上のケアマネジャーを配置することが求められますが、人員基準は施設の種類や規模によって異なり、大規模施設ではより多くのケアマネジャーが必要となります。
利用者の多い施設では、多数の利用者を抱えることで、ケアプランの作成や管理が複雑かつ多忙になる可能性があります。

一方で居宅ケアマネジャーは、利用者が自宅で受ける介護サービスの質を保ち、地域のリソースを活用することに重点を置き、サービスの質を保つため、一人のケアマネジャーが担当できる利用者数に制限があり、一般的には35人程度が上限とされています。
担当利用者数が限定されているため、一人ひとりの利用者とより密接に関わり、個別化されたケアプランを作成できることが強みの一つです。

ケアプランの違い

施設ケアマネジャー: 施設内の利用者全員のケアプランを作成・管理し、施設での生活全体をサポートします

居宅ケアマネジャー: 利用者一人ひとりの自宅での生活をサポートするケアプランを作成し、個別のニーズに合わせたサービスを提供します。

施設ケアマネジャーが作成するケアプランは、主に施設内で提供されるサービスを基に構築されます。施設内で提供される医療、リハビリ、レクリエーション、日常の介護などのサービスが組み込まれ、看護師、介護職員、リハビリスタッフとの密接な連携を通じて、ケアプランを作成し実施します。
施設内で生活する利用者へサービスを提供するため、利用者のの日々の変化を観察し、ケアプランを継続的に調整することができます。
一方、居宅ケアマネジャーのケアプラン作成は、利用者の自宅での生活を基盤に行われ、利用者の自宅環境、個人的なニーズや希望に基づいてカスタマイズされたケアプランを作成します。
在宅医療、訪問介護、デイサービスなど、外部の多様なサービス提供者と連携して、地域のネットワークやリソースを活用し、利用者の社会参加や自立をサポートします。

このように、同じケアマネジャーという職業に関しても、選択する職種は、自身のキャリアプランや働き方の好みによって異なります。
施設ケアマネジャーは多様な業務と多くの利用者とのやり取りがあり、活動的な職場環境を求める方に適しています。
一方で居宅ケアマネジャーは、利用者一人ひとりとじっくり向き合うことが求められ、よりパーソナルなケアを提供したい方に合っています。自分にとって最適な職種を見極めることが大切です。

ケアマネジャーになるには

ここまで、ケアマネジャーの仕事内容や職種による違いについて説明しました。
高齢者や障がいのある方の自立を支援するため、利用者やその家族に寄り添いながら、様々なアプローチでサポート提供するケアマネジャー。
業務内容も多岐に渡り、マネジメント力やコミュニケーション力など、ケアマネジャーには様々な能力が求められます。
ケアマネジャーとしてのキャリアをスタートさせるためには、これらの能力の他、高いレベルの専門知識と実務経験の有無を証明するため、特定の資格が必要になります。

介護支援専門員の資格が必要

ケアマネジャーになるためには、「介護支援専門員」の資格が必要となります。この資格を取得するには、一定の介護関連分野での実務経験が求められます。
実務経験は、介護職員、看護職員、社会福祉士など、介護に関連する様々な職種での経験が対象となります。
資格試験は、介護の基本的な知識から、高度な医療・福祉に関する知識、法規まで幅広い範囲をカバーしています。
試験は、一般的な選択式問題に加え、実際のケアマネジメントの状況を模した事例研究問題が含まれます。
これらの問題は、理論的な知識だけでなく、実務での経験と判断力を要求され、受験者は実務に即した知識と判断力を証明する必要があります。

ケアマネジャーになる難易度

ケアマネジャーになるためには、専門性の高い資格の取得が必要となります。
試験の合格率は年によって異なりますが、一般的には低い傾向にあり、試験の難易度の高さを示しています。
介護支援専門員の試験は、介護の基本的な知識から医療、法律、心理学、社会福祉など多岐に渡る分野の深い理解を求められます。このため、受験者は広範な学習と複数の分野にわたる知識の統合が必要とされ、合格するには、広範囲の学習と実務経験に基づく深い理解が不可欠です。
また、資格取得後も、ケアマネジャーとしての知識とスキルを最新の状態に保つためには、継続的な学習と研修が必要です。
資格取得後、ケアマネジャーは定期的な研修を受けることが義務付けられています。
これは、介護の分野での新しい知識や技術、法律の変更など、常に更新され続ける情報に対応するためです。
一定期間ごとに定された時間数の研修を受講し、継続的な専門性の向上を目指します。
研修では、実際のケーススタディ、法規の最新情報、介護技術の革新、コミュニケーションスキルの向上など、実務に直結する多様なトピックが扱われます。

ケアマネジャーの給料について

ケアマネジャーの給料は、勤務形態や勤務年数によって大きく変わります。
厚生労働省の調査によると、常勤のケアマネジャーの平均月収は約35万円、年収では約420万円とされています。これは、介護系職種の中でも比較的高い給与水準を示しています。
ケアマネジャーの働き方は、主に「施設ケアマネジャー」と「居宅ケアマネジャー」の2種類に分かれますが、給料の面では、施設で働くケアマネジャーの方が高い傾向にあります。これは、施設での勤務が夜勤を伴うことが多く、それに伴う手当が影響していると考えられます。
また、経験年数が増えるにつれて、給料も上昇する傾向にあります。
また、介護福祉士の資格を持ち、その資格での業務を兼任することで、資格手当などの追加収入を得ることも可能です。役職に就いたり、独立型ケアマネジャーとして活動することでも、給料をアップさせることができます。
ケアマネジャーとしての将来性は非常に高く、特に2025年問題を迎えるにあたって、要介護者の増加に伴い、その需要はさらに高まることが予想されます。
資格の取得は、より高度な専門性を持つ介護支援専門員として、介護業界でのキャリアアップを目指す上で重要です。

さくらリバースの紹介

ケアマネジャーとの連携を図ります

さくらリバースの訪問鍼灸リハビリマッサージは、介護保険外の医療サービスでありながら、ケアマネジャーとの連携を重視しています。
利用者様の身体状況を把握し、適切な施術を提供するために、定期的に施術経過報告書を作成し、ケアマネジャーに送付しています。
また、担当者会議に積極的に出席し、各事業所との情報交換を行うことで、利用者様のケアプランに沿った施術内容を確認し、リハビリをサポートしています。
これにより、利用者様の健康維持やリハビリテーションに貢献していくことを目指しています。

まとめ

この記事では、ケアマネジャーとは何か、その社会的役割や、仕事内容について詳しく解説しました。
ケアマネジャーは、高齢者や障害を持つ人々の生活をサポートする重要な役割を担い、個別のケアプラン作成からサービスの調整まで、多岐にわたる業務を行っています。
ケアマネジャーの需要は今後も増え続けることが予想されており、介護分野でキャリアを築く上で魅力的な選択肢の一つです。特に2025年問題に伴う要介護者の増加に対応するため、その専門性や経験はより重要になります。
本記事で解説した内容について、何か疑問点があれば、気軽にさくらリバースへお問い合わせください。専門のスタッフが、皆様の疑問や不安を解消するために、親切・丁寧に対応いたします。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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