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秋の変わり目に要注意!高齢者の秋バテ対策

監修:市姫 久春
2025年09月22日
秋の変わり目に要注意!高齢者の秋バテ対策
ウォーキングは、年齢を問わず体の調子を整える運動として知られています。特に高齢の方にとっては、無理のない範囲で体を動かすことで、関節や筋力の維持、生活機能の低下を防ぐうえでも有効です。
ただし、暑い夏の時期には注意が必要です。無理をすると体調を崩したり、思わぬ事故につながることもあるため、安全に配慮した取り組みが求められます。

この記事では、夏場でもウォーキングを気持ちよく続けるためのポイントや注意点、続けるコツなどをわかりやすくご紹介します。
目 次

秋バテとは?

秋バテとは、夏の暑さによる疲労や自律神経の乱れが、秋口になって表面化する状態を指します。

正式な医学用語ではありませんが、内科外来では「夏の疲れが取れない」「朝起きられない」「食欲が戻らない」といった訴えが多く見られる現象です。近年では季節性不調の一つとして注目され、健康情報メディアや研究論文でも取り上げられるようになっています。

夏バテが暑さによる直接的な影響であるのに対し、秋バテは気温差や気圧変動といった環境変化への適応不全が主な原因となります。秋バテは寒暖差によって自律神経が変調を起こし、様々な症状を引き起こすとされています。また、夏の間の冷房による体の冷えや、冷たい食べ物の摂取過多も影響要因として挙げられています。

高齢者が秋バテに注意すべき理由

高齢者は年齢に関係なく秋バテになる可能性がありますが、特になりやすいとされています。

その理由として、基礎体力が低く免疫力が低下しやすいこと、暑さに弱く気温の変化についていきにくいこと、食事量や水分摂取量が少なくなりやすいこと、体調不良を自覚しにくいため対処が遅れやすいことが挙げられます。

さらに高齢者は、暑さや寒さを感じにくくなり、体温調節をする機能が衰えるため、気づかないうちに自律神経のバランスが乱れていることがあります。筋肉量の減少により熱産生がうまくできず、夏でも冷えを感じやすい特徴もあります。秋冬は風邪やインフルエンザなどの感染症が流行しやすい時期であり、秋バテで体力や免疫力が落ちている状態で感染症にかかると、重症化のリスクがさらに高まる可能性があります。

秋バテの症状とそのメカニズム

夏の疲労が蓄積し、気温変化の激しい秋口に現れる「秋バテ」は、様々な身体症状として表面化します。

これらの症状は単なる季節の変わり目の不調ではなく、自律神経系の機能低下や体温調節機能の乱れといった、医学的なメカニズムに基づいて発生しています。症状の特徴を理解し、その背景にある生理学的変化を把握することで、適切な対処法を見つけることができます。

主な症状とその特徴

秋バテの症状は夏バテによく似ており、以下のような症状が見られます。

・疲れやすさや倦怠感
・肩こりや頭痛
・食欲不振や胃もたれ
・不眠、めまい
・意欲の低下
・手足の冷えやむくみ
・便秘や下痢

高齢者では思考力の低下や頭がぼーっとするなどの症状もみられることがあるため、認知症の症状との判別も重要とされています。これらの症状が1~2週間以上続く場合、該当する症状が2個あれば秋バテの可能性、3~4個で可能性が高い、5個以上あれば秋バテである可能性が高いとされています。

自律神経の乱れが引き起こす影響

秋バテは自律神経の乱れにより起こるとされています。

自律神経には体温調節機能があり、屋内外で気温差がある、季節の変わり目で昼夜の気温差が激しい、台風や秋雨などによる低気圧の影響を受ける秋は、体温を調節する自律神経に負担がかかりやすい季節となっています。昼夜の気温差が10℃以上になると、自律神経系が過剰に反応し、交感神経・副交感神経の切り替えがうまくいかなくなるとされています。

さらに、夏バテの疲労が戻らないまま、気温差や気候変化が激しい秋に突入してしまうと、体温調節機能がうまく働かなくなり、秋バテを引き起こすといわれています。

生活習慣の見直しで秋バテを予防する

秋バテの改善には、夏の間に乱れた生活リズムを整えることが最も重要とされています。

気温の変化に負けない体づくりのためには、日常生活での小さな工夫の積み重ねが効果的です。医療機関でも推奨される基本的な対策を取り入れることで、自律神経のバランスを整え、快適な秋を過ごすことが期待できます。

日常生活での工夫

秋バテ対策として以下の生活習慣の工夫が医療機関で推奨されています。

入浴:38~40℃程度のお湯にゆっくり入ることで、体を温めるだけでなくリラックス効果により自律神経の乱れを整える効果が期待されます
体温調節:日中と夜の気温差が大きいため、着脱しやすいカーディガンなど上着を活用した体温調節が重要です
水分補給:暑い夏が過ぎても水分補給は必要で、冷たい飲み物は内臓を冷やすため常温から温かい飲み物が推奨されています
適度な運動:軽いジョギング、ウォーキング、ストレッチなどにより自律神経のバランスが整うとされています

あとはラジオ体操やストレッチによる血行促進、エアコン調整や上着着用による冷え対策も効果的とされています。

食事の改善

夏の間に乱れた食事習慣を立て直すことが重要です。暑い時期はそうめんやざる蕎麦などのど越しの良い麺類に偏りがちで、栄養バランスが崩れやすくなります。秋バテを予防するためには、以下の食事改善が効果的とされています。

栄養バランスの回復:夏場に不足しがちなビタミンやミネラル、タンパク質、脂質を意識的に補給することが重要です
体を温める食事への転換:冷たい食べ物や飲み物を控え、温かい料理を中心とした食事に切り替えることが推奨されています
規則正しい食事リズム:1日3食を規則正しく摂ることで、乱れた自律神経のバランスを整える効果が期待されます
消化に配慮した食事:夏の間に冷たいものの摂りすぎで疲れた胃腸をいたわる、消化の良い食事を心がけることが大切です

食事の内容については、体を温める効果のある食材や栄養素を活用することで、より効果的な秋バテ対策が可能になります。

秋バテに効果的な食材や栄養素

秋バテの改善には、夏の間に消耗したビタミンやミネラルを効率的に補給することが重要です。この時期に旬を迎える食材は、栄養価が高く、疲労回復や体調回復に必要な成分を豊富に含んでいます。南港病院の栄養科では、特定の栄養素を意識して摂取することで、秋バテの症状軽減が期待できます。

秋の旬の食材

以下の秋の旬の食材が秋バテ対策に効果的とされています。

かつお:ビタミンB6、タンパク質、鉄分を豊富に含み、肌の調子を整える効果が期待されます
秋鮭:ビタミンB6、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、タンパク質が豊富で、さっぱりとした味わいが特徴です
さつまいも:ビタミンC、食物繊維、ビタミンB6を含み、アヒージョや塩きんぴらなど調理法も多彩です
柿:ビタミンCの含有量はトップクラスで、皮膚や粘膜を強化するビタミンAや食物繊維も豊富に含まれています
きのこ:食物繊維、免疫力を活性化するβグルカン、ビタミンDを含み、秋の味覚として重宝されています
かぼちゃ:抗酸化作用をもつβカロテン(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンEが豊富で、整腸や免疫力向上効果が期待されます

旬の食材は栄養価が高く、ビタミンやミネラルの含有量が他の時期の1.5~2倍も多いものもあります。

効果的な栄養素

秋バテ対策に特に重要な栄養素として以下の3つが挙げられています。

ビタミンB6:タンパク質の元となるアミノ酸の代謝に必要で、肌や粘膜の健康維持、ニキビ予防に作用し、幸せホルモンの合成を助けて精神を安定させる効果があります
ビタミンC:免疫力を高める、ストレスや疲労を緩和する、メラニン色素の生成を抑える働きがあり、ストレスの多い方や喫煙者には積極的な摂取が推奨されています
食物繊維:整腸効果が期待でき、腸は自律神経と影響し合うため、腸内環境を整えることで自律神経にも作用し、秋バテ予防につながるとされています

ビタミンB1は豚肉に、ビタミンB12は鮭に豊富に含まれ、これらも疲労回復に効果的な栄養素として推奨されています。

秋バテを乗り越えるための心構え

秋バテの克服には、身体的なケアだけでなく、生活全体を見直す心構えが重要とされています。

季節の変わり目は自律神経のスイッチが切り替わる重要な時期であり、適切な対応により心身の不調を防ぐことが期待できます。単なる体調管理ではなく、総合的なライフスタイルの調整が必要です。

生活習慣の見直し

自律神経の乱れを防ぐためには、日中はしっかり活動し、夜はリラックスして過ごすといったメリハリのある生活を送ることが大切です。秋バテの予防と改善には、以下のような生活習慣の見直しが推奨されています。

規則正しい起床:毎日できるだけ決まった時間に起床し、日光を浴びる習慣をつくることが重要です
適度な運動:有酸素運動や筋トレで体をしっかり目覚めさせる効果が期待されます
リズム運動:歩く、走る、サイクリングなど一定リズムを保つ運動にはセロトニンの分泌を促す作用があるとされています
入浴習慣:40℃程度のぬるめのお湯に浸かると副交感神経が優位になり、眠りにつきやすくなる効果があるとされています

忙しい毎日でつい無理をしがちですが、自律神経を整えるためには身体を労わる行動が重要になります。

ストレス管理

秋バテでは身体的な不調に加えて、精神面にも様々な症状が現れることがあります。

意欲の低下や集中力の減退、感情の起伏が激しくなったり、些細なことでイライラしやすくなる方も少なくありません。また、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなるなど、睡眠の質に影響が出ることもあるでしょう。

これらの症状は、過度に働く交感神経を鎮めることで改善が期待されます。規則正しい生活リズムを保ち、十分な休息を取ることで副交感神経の働きを促すことができます。軽い散歩や深呼吸といったリラックス法も有効とされています。また、家族や友人との会話など、心の負担を軽くする時間を大切にすることも重要です。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、専門スタッフがご自宅や滞在先にお伺いし、お一人おひとりの体調や生活リズムに寄り添いながら、マッサージ・整体・鍼灸などを融合した“総合治療”をご提供しております。身体機能の維持と心の安定を両立させながら、ご本人らしい自立した生活を支援したいと考えております。

同時に、ご家族の皆さまの負担を軽減できるよう、きめ細かな対応を心がけております。「自宅でのケアはどのように進めればよいのか」「どんなサポートが可能なのか」といったご質問やご不安がございましたら、お気軽にご相談いただければと思います。

まとめ

秋バテは季節の変わり目に起こりやすい体調不良で、高齢者の方には特に注意が必要な症状です。自律神経の乱れが主な原因とされ、倦怠感や食欲不振、睡眠の質の低下などが現れることがあります。

季節の変化に体が慣れるまでには時間がかかるものです。無理をせず、ご自身のペースで体調管理に取り組んでいただければと思います。本記事が日々の健康維持の一助となれば幸いです。

監修:市姫 久春
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 株式会社さくらリバース 訪問鍼灸リハビリマッサージ事業部
   

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