寝たきりの高齢者に必要なカロリーはどのくらいか解説します!

監修:森田 進
2024年04月29日
寝たきりの高齢者に必要なカロリーはどのくらいか解説します!
寝たきりの高齢者にとって、適切なカロリー摂取はとても重要です。今回は、その人の健康を支える力となる栄養管理について、「消費カロリーとの関係」と「食事時の注意点」を詳しくお伝えします。

高齢者に必要なカロリーを理解し、より良い健康維持につなげていきましょう。å
目 次

寝たきりの高齢者に必要なカロリーの求め方

寝たきりの高齢者は、活動量が著しく低下しているため、一般的な成人に比べて消費カロリーが少ないことが多いですが、これは基礎代謝も影響しています。基礎代謝とは、生命維持のために最低限必要なエネルギー消費のことです。

寝たきり状態では、運動による消費カロリーがほぼゼロに近いため、カロリーの摂取量も抑える必要があります。しかし、栄養不足にならぬよう、必要十分なカロリーを確保することが肝要となります。

標準体重の求め方

標準体重を知るためには、身長を利用した計算が一般的で、BMI(ボディマス指数)が広く用いられる指標です。BMIは単純な式でありながら、私たちの健康状態を把握するのに非常に有効です。具体的には、体重(kg)を身長(m)の2乗で割ることで算出され、この値から個人の体重が適正範囲内にあるかどうかが推測できます。

日本では、BMIの標準値は22を目安とされています。日本肥満学会によると、18.5未満を「低体重(やせ型)」と分類し、18.5以上25未満を「普通体重」とします。また、BMIが25以上の場合は「肥満」とされ、その程度に応じて「肥満1度」から「肥満4度」までのカテゴリーに細分化されます。この数値は、多くの健康指標を設定する際の基準とされており、個々の健康管理においても非常に重要です。

たとえば、身長が160cmの人の場合、まず160cmを1.6mに換算します。次に、1.6mを2乗して2.56m²を得ます。そして体重をこの数値で割ることで、その人のBMIが算出されるのです。160cm、60kgだった場合、BMIは23.4ほどになり、「普通体重」という事になります。BMIは摂取カロリーを決定する際など、具体的な健康計画を立てる基礎となります。

体重1kgあたりの必要カロリー

体重1kgあたりに必要なカロリーは、個々の活動レベルや年齢、性別によって大きく変わるため、一概に定めることは難しいです。特に一般的な成人男性の場合、基礎代謝だけで約25kcalが必要とされていますが、寝たきりの高齢者の場合はこれよりも少ない、約20kcal程度が適切とされています。

この違いは、高齢者は通常、筋肉量が減少し、体の代謝率が低下するためです。したがって、体重が50kgの高齢者であれば、日々の基礎代謝には約1000kcalのカロリーが必要となります。しかし、この数値はあくまで一つの目安に過ぎず、健康状態や活動性に応じて調整が必要です。

必ず医師に相談する

寝たきりの高齢者の適切なカロリー摂取は、医師と密接に相談しながら栄養計画を立てることが非常に重要です。体重管理が困難な状況では、過剰あるいは不足したカロリー摂取が、肥満や栄養不足といった問題を引き起こす可能性があるため、個々の状況に応じた食生活の見直しは必須となります。

定期的な健康診断を受けることも重要であり、医師の専門的な指導のもとで食事管理を行うことを推奨します。医師は患者の健康状態を正確に把握し、その情報をもとにした栄養摂取の調整が可能です。

食事の際に気をつけること

寝たきりの高齢者の食事は、一般の人とは異なる注意点が多くあります。まず、食べる行為そのものが困難である場合が多いため、食事の準備や提供の方法も考慮する必要があるのです。

また、消化吸収の能力の低下や、特定の疾患を持つ方には、特別な措置が必要となります。これらの点を踏まえ、安全でかつ栄養バランスのとれた食事を提供することが重要です。以下に、具体的な注意点について詳しくお話していきます。

カロリーだけでなく栄養バランスも考える 

寝たきりの高齢者にとって、カロリーを摂取することは生命を維持する基本である一方で、それだけで十分ではありません。真に健康的な生活を送るためには、栄養バランスを考慮した食事の提供が極めて重要です。

毎日の食事で、たんぱく質、ビタミン、ミネラルといった必要な栄養素をバランスよく摂取することは、身体機能を維持し、生活の質を高めるために不可欠です。

たんぱく質は、筋肉や内臓を健康に保つのに欠かせず、特に寝たきりの方の筋肉量の減少を防ぎ、体力維持に役立ちます。また、ビタミンやミネラルは、免疫機能を支え、骨の健康を保つことに直接的に関わっており、これらの栄養素が不足すると、体は病気や感染症に対する抵抗力を失い、回復力も低下します。

食事の選び方一つで、高齢者の生活の質が大きく左右されるのです。抗酸化物質を多く含む新鮮な果物や野菜を積極的に取り入れることは、慢性病のリスクを減らし、全体の健康を促進する効果が期待できます。また、十分なカルシウムを含む食品を選ぶことは、骨粗しょう症の予防にも繋がります。

水分量にも気を付ける

年齢を重ねるにつれて、人は喉の渇きを感じにくくなるものです。高齢者の場合は、意識的に水分を摂取しないと、脱水のリスクが非常に高まり健康上の重大な問題を引き起こす原因となるため、注意が必要です。

寝たきりの高齢者に適切な水分補給を提供する時は、ミネラル栄養素が含まれる麦茶やビタミンが含まれる果汁、栄養たっぷりのスープなどを上手く取り入れることが大切です。

これらの飲料は、水分だけでなく、必要な栄養も同時に供給することができ、一石二鳥の効果を期待できます。ただし、カフェインの含まれる紅茶や珈琲、緑茶、ほうじ茶は、逆に水分を輩出する作用があるので避けましょう。

介護者や家族は、一日の水分摂取量の目安を設け、寝たきりの高齢者が適宜必要な水分を摂取できるよう積極的に支援することが大切です。例えば、朝起きた後や食事のたび、そして就寝前に水分を提供する習慣をつけることで、体内の水分バランスを保つ助けとなります。

誤嚥に気をつける

食事時に特に注意が必要なのが、高齢者にとって深刻なリスクである誤嚥(ごえん)です。年齢と共に弱まる嚥下(えんげ)能力は、食べ物や飲み物が誤って気道に入る危険を高め、時には命に関わる大問題へと発展することがあります。誤嚥は肺炎を引き起こす原因となり得るため、高齢者の健康管理においてはこれを最も警戒すべき点の一つと考えるべきです。

食事を提供する際には、食材の硬さや大きさ、そして食べやすさに細心の注意を払う必要があります。高齢者の飲み込む力に合わせて、適切に食材を調理することが極めて重要です。例えば、柔らかく煮たり、細かく刻んだり、すりつぶしたりして、飲み込みやすい形状にするなどの工夫が求められます。また、食事のペースも高齢者の能力に合わせ、焦らず、快適に食事を楽しめるようにすることが大切です。

さらに、食事の際に適切な体位をとることや、効果的な介助方法を学ぶことも、安全な飲食を支援する上で重要です。介護者は正しい体位支援技術を習得し、高齢者が最も安全に食べやすい姿勢を保つ手助けをしなければなりません。

さくらリバースについて

さくらリバースでは、寝たきりの方の介護のご負担を軽減し、介護が必要な方と介護をなさる方が安心して過ごせる生活を支援することに尽力しております。当院の熟練した専門スタッフは、個々のニーズに応じパーソナライズされたプランを作成し、安全かつ効果的なサービスをお客様のご自宅やお住まいの場所でご提供します。

プロフェッショナルなケアと献身的なサポートにより、みなさまが安心して日々を送れるよう努めております。ニーズに応じて、細やかなケアをご提供し、心身の健康を全力でサポート致します。どうぞ、お気兼ねなくご相談ください。

まとめ

寝たきりの高齢者には、特に栄養のバランスやカロリー摂取が重要です。消費カロリーが減少しているため、必要なカロリー量を見極めることが大切になります。この記事では、消費カロリーと体重の関係、栄養バランスを考えた食事内容、さらに水分摂取の重要性などを経て、どのように計画的な栄養管理を行っていくべきかについてお話ししました。

適切なカロリー摂取は、ただ単に太ることや痩せることを避けるだけではなく、筋肉維持、免疫力維持、皮膚の健康状態を良好にするためにも非常に重要です。医師や専門家と相談しながら、一人一人の高齢者に合った食事の提供を心がける必要があるのです。また、コミュニケーションを取りながら楽しい食事の時間を作っていくことも、心身の健康を維持するためには大切なポイントです。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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