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高齢者の乾燥肌について原因と対策・スキンケア方法

監修:市姫 久春
2024年12月24日
高齢者の乾燥肌について原因と対策・スキンケア方法
年齢を重ねると、多くの方が悩む「乾燥肌」。

肌がカサカサして粉をふいたり、かゆみが生じたりといった症状は、高齢者にとって日常生活の質を低下させる要因となります。なぜ高齢になると乾燥肌が起こりやすいのか?また、その原因に適した対策やスキンケア方法はどのようなものなのか?

この記事では、高齢者の乾燥肌のメカニズムを解説しながら、日々取り入れられる具体的なケア方法をご紹介します。肌の健康を保つためのヒントを得られる内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。
目 次

高齢者の乾燥肌とは?

高齢者にとって乾燥肌はとても身近な問題であり、日常生活の質にも大きく影響します。肌がカサつき、粉をふいたようになるだけでなく、かゆみやひび割れなどの症状を伴うことが多いです。高齢者特有の乾燥肌には、加齢による皮膚の変化が深く関わっており、放置すると症状が進行してしまう場合もあります。

高齢者が乾燥肌になる原因

以下では、高齢者の乾燥肌の要因について詳しく見ていきます。

水分不足

高齢者は体内の水分保持能力が低下しやすい傾向があります。加齢によって、のどの渇きを感じにくくなることや、トイレの回数を気にして水分を摂取する量が減ることが多いです。その結果、体全体が慢性的な水分不足になり、肌の乾燥が進行します。

さらに、水分不足は肌のバリア機能にも影響を及ぼします。十分な水分がなければ、肌の細胞間脂質が機能せず、外部刺激から肌を守る力が弱まります。特に冬場は空気が乾燥しているため、体内の水分が蒸発しやすく、乾燥が一層進む傾向があります。

皮脂や保湿要素の減少

高齢者になると、皮脂腺や汗腺の活動が衰え、皮脂や天然保湿因子(NMF)の分泌量が減少します。これにより、肌を覆う皮脂膜が薄くなり、角質層に保持される水分量が減ります。その結果、肌が乾燥しやすくなり、カサカサとした触感が目立つようになります。

また、角質細胞間脂質(セラミドなど)の減少も乾燥を助長する要因です。これらの保湿要素が不足すると、肌の弾力性や柔軟性が失われ、ひび割れやかゆみといった症状が現れやすくなります。特に顔や手足など、外部環境にさらされやすい部位でこの影響が顕著にあらわれます。

室内環境

室内環境も高齢者の乾燥肌に大きく影響を与える要因です。特に冬場の暖房や夏場の冷房など、空調の使用によって室内が乾燥することが多く、肌の水分が失われやすくなります。

冬場は暖房による乾燥が問題となり、湿度が低下することで肌のバリア機能がさらに弱まります。これにより、かゆみや粉ふきといった症状が出やすくなります。一方、夏場は冷房が直接肌に当たることで肌の表面が乾燥し、外部の湿気が高いにもかかわらず、肌がカサカサするという現象が起こることもあります。

乾燥肌が引き起こす症状

高齢者の乾燥肌は、放置するとさまざまな不快な症状を引き起こします。肌が乾燥することで、日常生活に支障をきたす場合もあるため、早めのケアが重要です。

以下では、乾燥肌によって起こりやすい代表的な症状を詳しく解説します。

かゆみ

乾燥肌の最も一般的な症状の一つが「かゆみ」です。皮膚のバリア機能が低下することで、外部刺激に対して敏感になり、軽い摩擦や衣類が触れるだけでもかゆみを感じることがあります。

また、かゆみが強くなると無意識に掻いてしまい、肌に傷がつきやすくなります。これにより、さらにバリア機能が損なわれ、悪循環が起こりやすくなります。特に、夜間のかゆみは睡眠の妨げとなり、生活の質を低下させる要因となることがあります。

鱗屑(りんせつ)や粉ふき

乾燥が進むと、肌の表面に鱗屑(白い粉状の皮膚片)が見られることがあります。これは、皮膚の水分が不足して角質層が剥がれやすくなった状態を表しています。特に、すねや腕など、皮脂腺が少ない部位に顕著に現れます。

この症状は見た目にも影響を与えるため、本人にとって精神的なストレスになることもあります。

ひび割れや亀裂

乾燥が重度になると、肌にひび割れや亀裂が生じることがあります。これは、皮膚が柔軟性を失い、日常的な動作や摩擦による負荷に耐えられなくなるためです。

ひび割れた皮膚は痛みを伴う場合が多く、さらに傷口から細菌が侵入することで感染症を引き起こすリスクも高まります。特に、手指やかかとなど頻繁に動かす部位で起こりやすい症状です。

赤みや炎症

乾燥肌は、外部刺激に対する防御力が低下しているため、軽い刺激でも赤みや炎症が発生しやすくなります。特に、乾燥が進行して掻き傷が増えると、その部分が炎症を起こし、湿疹や皮膚炎に発展することがあります。

炎症が慢性化すると、皮膚が硬くなったり、色素沈着が見られることもあり、美容や健康面でも大きな影響を与える可能性があります。

高齢者の乾燥肌を改善するスキンケア方法

高齢者の乾燥肌を改善するには、日々のスキンケアが欠かせません。肌のバリア機能を守りつつ、適切な方法でケアを行うことで、乾燥による症状を軽減し、健康な肌を保つことができます。

ここでは、保湿ケアと洗浄方法の2つに焦点を当てて詳しく解説します。

保湿ケア

乾燥肌対策の基本は「保湿」です。加齢によって減少した皮脂や水分を補い、肌を外部刺激から守るためには、適切な保湿を行うことが重要です。入浴後は肌がまだ湿っており、水分が保持されている状態のため、このタイミングで保湿剤を塗ると、水分の蒸発を防ぎながら効果的に潤いを閉じ込めることができます。特に、入浴後30分以内に保湿ケアを行うのがおすすめです。

高齢者の乾燥肌には、油分を多く含むクリームやワセリンが適しています。乾燥がひどい場合には、ヘパリン類似物質が含まれる保湿剤を使用するのも良いでしょう。また、季節や肌の状態に応じて、乳液やローションなどを使い分けることで、より効果的な保湿が可能です。

保湿剤を使用する際は、手のひらで温めてから優しく肌に押し込むように塗布するのがポイントです。ゴシゴシ擦ると肌を傷つける恐れがあるため、注意が必要です。特に乾燥しやすいひじやかかとなどの部位には、念入りにケアを行うことで、潤いを保つことができます。適切な保湿ケアを日々の習慣にすることで、乾燥肌の悩みを和らげることができるでしょう。

洗浄方法

肌を清潔に保つことは乾燥肌のケアにおいて重要ですが、間違った方法で洗浄すると肌の乾燥を悪化させる可能性があります。以下のポイントを押さえて、優しい洗浄を心がけましょう。

・ぬるま湯を使用する
熱すぎるお湯は、肌の必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥を助長します。38℃前後のぬるま湯で体を洗うようにしましょう。

・洗浄剤は低刺激のものを選ぶ
弱酸性で保湿成分を含むボディソープや石けんを使用することをおすすめします。肌に負担をかけない洗浄剤を選びましょう。

・泡で優しく洗う
洗浄剤をしっかり泡立てて、泡で肌を撫でるように洗います。タオルやナイロンタワシでゴシゴシ擦るのは避け、手のひらで優しく洗浄するのが理想的です。

・すすぎ残しに注意
洗浄剤が肌に残ると刺激となり乾燥を悪化させることがあります。特に関節部分や首回りなど、洗浄剤が残りやすい場所は丁寧にすすぎましょう。

高齢者の乾燥肌を防ぐために

高齢者の乾燥肌を予防するには、日常生活の中で肌に優しい環境を整えることが重要です。衣類や寝具選び、水分補給などの身近な工夫を取り入れることで、乾燥によるトラブルを未然に防ぐことができます。

以下では、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

衣類や寝具選び

乾燥肌を防ぐためには、肌に直接触れる衣類や寝具の素材を慎重に選ぶことが大切です。高齢者の肌は非常にデリケートであるため、素材や手触りに配慮した選択が求められます。

綿やシルクといった天然素材は肌触りが滑らかで刺激が少なく、乾燥した肌に優しい素材です。特に肌着やパジャマ、シーツには綿素材を使用することで、肌への摩擦を減らし、乾燥による負担を軽減することができます。一方で、ナイロンやポリエステルといった化学繊維は、肌にチクチクとした刺激を与える可能性があるため、これらの素材を使用した衣類や寝具は避けることが望ましいです。

さらに、寝具の清潔さを保つことも重要なポイントです。シーツや枕カバーは、肌に直接触れる時間が長いため、こまめに洗濯を行い、常に清潔な状態を維持する必要があります。これにより、ホコリやダニを防ぎ、肌トラブルのリスクを低減することができます。適切な素材の選択と清潔さを保つ工夫を日常生活に取り入れることで、高齢者の乾燥肌を効果的に予防することができます。

水分補給のコツ

高齢者は喉の渇きを感じにくくなる傾向があるため、意識的に水分補給を行うことが必要です。喉が渇いていなくても、1日を通して定期的に水分を摂取することが大切であり、食事と食事の間に水やお茶を飲む時間をあらかじめ決めておくと良いでしょう。

また、高齢者の中にはトイレの頻度が増えることを気にして水分を控える方もいますが、これが乾燥肌や脱水症状を招く原因となります。健康を維持するためには、適切な水分補給を心がけることが重要です。

さらに、冷たい飲み物よりも温かいお茶やスープなどを摂取することで体が冷えにくくなり、寒い季節でも快適に水分を補給できます。温かい飲み物は体を温めるだけでなく、リラックス効果も期待できるため、日々の生活に取り入れることがおすすめです。

室内環境

高齢者の乾燥肌を防ぐためには、適切な室内環境の整備が欠かせません。特に冬場は乾燥が進行しやすいため、加湿器を利用して湿度を40~60%に保つことが重要です。この湿度の範囲は、肌の水分を維持するのに適しており、乾燥によるかゆみやひび割れを軽減する効果が期待できます。夏場は冷房の風が直接肌に当たることを避け、適切な室温を保つことで肌の乾燥を抑えられます。

室温は17~28℃程度が快適とされており、冬でも過剰な暖房は避けるよう心がけましょう。また、定期的な換気も重要です。新鮮な空気を取り入れることで、肌にとって快適な環境を作るだけでなく、部屋の空気の流れがよくなり、健康的な生活を支えることができます。室内環境を整えることは、乾燥肌の予防だけでなく、高齢者が快適に過ごすための大切なポイントです。

栄養バランスを整えた食事

乾燥肌の予防には、体内からのケアが重要です。以下の栄養素を含む食事を意識しましょう。

・ビタミンA
皮膚や粘膜を潤し、乾燥を防ぐ効果があります。緑黄色野菜や卵、乳製品に多く含まれます。

・ビタミンC
コラーゲンの生成を促進し、肌のハリや弾力を保つ働きがあります。柑橘類やピーマン、イチゴなどが豊富な供給源です。

・ビタミンE
血行を促進し、肌の新陳代謝を活性化します。アーモンドやナッツ類、植物油に含まれます。

・亜鉛
肌の修復や保湿に重要なミネラルで、牡蠣や赤身の肉、ナッツに多く含まれます。

・セラミドや必須脂肪酸
肌のバリア機能を強化し、水分を保つ働きがあります。豆類や魚、アボカドなどから摂取できます。

また、水分を多く含む料理を積極的に取り入れましょう。スープや鍋料理は体内の水分補給と栄養補給を同時に行えるため、乾燥肌の改善に効果的です。

高齢者の乾燥肌が進行すると

高齢者の乾燥肌は、適切にケアを行わないとさらに症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。乾燥が進行することで、肌のバリア機能が著しく低下し、外部刺激への耐性が弱まるだけでなく、特有の症状を引き起こします。その中でも代表的なものが「老人性乾皮症」です。

老人性乾皮症

老人性乾皮症とは、加齢に伴い皮脂や汗の分泌量が減少し、皮膚の角質層が水分を保持できなくなることで起こる状態を指します。乾燥肌の一種ではありますが、さらに進行した形態で、鱗屑(白い粉状の剥がれ)やかゆみ、ひび割れ、さらには皮膚の炎症を伴うことが特徴です。

この状態になると、肌は非常に敏感になり、ちょっとした摩擦や刺激でも傷つきやすくなります。特に、すねや腕といった皮脂腺の少ない部位で症状が顕著に現れることが多いです。また、かゆみにより無意識に掻いてしまうことで皮膚がさらに損傷し、掻破(そうは)痕や湿疹を引き起こす悪循環に陥る場合もあります。

老人性乾皮症の症状は、特に冬場の乾燥した季節に悪化しやすい傾向があります。そのため、早期の予防とケアが重要です。具体的には、適切な保湿剤を使用することで乾燥を防ぎ、入浴後のケアを徹底することで症状の進行を抑えることが可能です。場合によっては医療機関を受診し、ステロイド外用薬や保湿剤の処方を受けることも検討する必要があります。

高齢者の乾燥肌が進行して老人性乾皮症に発展すると、肌の健康を取り戻すのが難しくなるため、日々のケアを怠らないことが重要です。

さくらリバースの紹介

高齢者の皆さまやそのご家族が安心して過ごせる毎日をサポートしたいと願い、さくらリバースでは訪問鍼灸マッサージサービスをご提供しています。乾燥肌や肌トラブルは、身体の不調や日常の疲れとも密接に関係しています。鍼灸やマッサージを通じて血行を促進し、身体全体のバランスを整えることで、乾燥肌の改善や予防のお手伝いをさせていただければと思います。

わたしたちは、皆さま一人ひとりの状況に寄り添い、ご自宅やご在宅の場所でリラックスしながら安心してケアを受けていただけるよう努めております。ぜひお気軽にご相談ください。皆さまが健康で快適な日々を送れるよう、心を込めてサポートいたします。

まとめ

高齢者の乾燥肌は、日々のスキンケアや生活習慣の見直しで大きく改善することができます。乾燥肌の原因を知り、適切な対策を取ることで、肌を守りながら快適な日常を取り戻しましょう。この記事で紹介したスキンケア方法や予防のポイントを参考に、ご自身やご家族の肌の健康をサポートしてください。日々の小さな工夫が、大切な肌を守る第一歩です。

監修:市姫 久春
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 株式会社さくらリバース 訪問鍼灸リハビリマッサージ事業部
   

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