腰椎圧迫骨折とは?原因から症状、治療法、予防策まで徹底解説

監修:市姫 久春
2024年10月23日
腰椎圧迫骨折とは?原因から症状、治療法、予防策まで徹底解説
腰椎圧迫骨折は、特に高齢者や骨粗しょう症の方に多く見られる脊椎の損傷です。

この記事では、腰椎圧迫骨折の原因や症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。

また、骨折の予防方法や介護用品の活用についても紹介しますので、腰痛や圧迫骨折の疑いがある方に役立つ情報が満載です。
目 次

腰椎圧迫骨折とは?

腰椎圧迫骨折は、脊椎の椎体が外からの圧力で潰れ、強い腰の痛みを引き起こしている状態です。安静にしている時は痛みが和らぐものの、体を動かすと激痛が走ることが特徴です。進行すると、下肢のしびれや麻痺といった神経症状が現れ、日常生活に支障をきたす場合もあります。

特に高齢者や骨粗しょう症の方に多く見られ、軽い転倒やくしゃみといった日常動作でも発生することがあります。早期の適切な治療が、痛みや骨の変形の進行を防ぐ鍵となります。

脊椎の構造と圧迫骨折しやすい部位

脊椎は、首の部分の頸椎、胸の部分の胸椎、腰の部分の腰椎、そして仙骨から構成されています。腰椎圧迫骨折は、このうち特に胸椎と腰椎の間にあたる胸腰椎移行部で起こりやすく、尻もちをつくなどの外力や、骨粗しょう症により脆弱になった骨に発生します。

腰椎圧迫骨折の原因

腰椎圧迫骨折は、さまざまな原因によって引き起こされます。特に骨粗しょう症や外部からの圧力、さらに腫瘍の転移による骨の脆弱化が大きな要因となります。それぞれの原因について詳しく解説します。

骨粗しょう症

骨粗しょう症は、加齢やホルモンバランスの変化により骨密度が低下し、骨が脆くなる状態です。特に高齢者や閉経後の女性に多く見られ、軽い尻もちや日常的な動作でも腰椎にかかる圧力で骨折を引き起こすことがあります。骨粗しょう症は、腰椎圧迫骨折の最も一般的な原因とされています。

外部からの圧力や日常動作による負傷

交通事故や転落などの外部からの強い衝撃が直接腰にかかることや、くしゃみ、せき、重いものを持ち上げた際の負荷も、腰椎圧迫骨折の原因となり得ます。特に骨粗しょう症の方は、わずかな力でも骨が折れやすいため、日常的な動作が思わぬ負傷につながることがあります。

腫瘍の転移

がんが脊椎に転移すると、その部分の骨が弱くなり、通常では考えられないほどの軽い力でも圧迫骨折が発生することがあります。転移性腫瘍は、脊椎の構造を損なうため、神経症状や麻痺が伴うこともあります。この場合、圧迫骨折は単なる外傷性の骨折とは異なり、腫瘍治療と併せた専門的な治療が必要です。

腰椎圧迫骨折の主な症状

腰椎圧迫骨折では、主に腰の激しい痛みや、神経圧迫によるしびれなどが見られます。これらの症状は体を動かす際に顕著になり、場合によっては生活に支障をきたすこともあります。

腰の強い痛みと体動時の特徴的な痛み

腰椎圧迫骨折の最も一般的な症状は、腰の強い痛みです。特に寝返りや起き上がるとき、立ち上がるときなど、体を動かす際に激しい痛みが生じます。安静にしている時は痛みが軽減する場合が多いものの、体動時に再び強い痛みが発生するのが特徴です。

下肢の痛みやしびれ

腰椎圧迫骨折が進行すると、椎体が潰れることで脊髄を圧迫し、下肢に痛みやしびれが現れることがあります。これは、神経が圧迫されるために生じる症状で、放置するとさらに神経症状が悪化し、麻痺や歩行障害に発展するリスクもあります。

腰椎圧迫骨折の検査・診断方法

腰椎圧迫骨折の正確な診断には、さまざまな検査が必要です。詳しくお話ししていきます。

X線、CT、MRI検査

腰椎圧迫骨折の診断には、まずX線検査が最初に行われます。X線では、骨のつぶれ具合や椎体の変形を確認しますが、初期段階でははっきりと見えないこともあるため、CTやMRIが使用されることもあります。特にMRIは、脊髄や神経の状態を詳しく確認できるため、下肢のしびれや痛みがある場合に有効です。

骨密度検査

腰椎圧迫骨折の多くは骨粗しょう症によるものです。そのため、骨粗しょう症が疑われる場合は骨密度検査が重要です。骨密度が低いと、軽い外力でも骨折のリスクが高まるため、予防と早期発見のために定期的な骨密度検査が推奨されます。これにより、適切な治療や骨折防止対策を取ることが可能です。

腰椎圧迫骨折の保存療法

腰椎圧迫骨折の保存療法について詳しく解説いたします。腰椎圧迫骨折は骨粗しょう症の高齢者に多く見られる疾患であり、適切な治療を行うことが必要です。保存療法は、手術に頼らずに症状を緩和するための基本的な治療方法です。

保存療法は、身体への負担が少ない治療法であり、高齢者にとっても安心して受けられる選択肢です。骨折後の早期段階では、痛みの緩和や骨が自然に治癒するための安静が重要とされています。

バルーン椎体形成術(BKP)などの手術療法

保存療法が効果を発揮しない場合や、腰椎の変形が進行している場合には、手術療法が選択されることがあります。特に、バルーン椎体形成術(BKP)は低侵襲であり、患者にとっても比較的負担が少ない手術法として知られています。

この手術では、まず潰れてしまった椎体にバルーンを挿入し、背骨の骨を持ち上げて骨の元の形状を回復させます。その後、骨セメントを注入して骨を強固に固定します。BKPは、患者が早期に痛みから解放され、日常生活に早く戻るための手術法として広く行われており、治癒までの期間も短くなる傾向があります。

コルセット

保存療法の一環として、腰椎圧迫骨折の患者にはコルセットの使用が推奨されます。コルセットは、骨折した腰椎を安定させ、過度な動きを制限するためのサポート器具です。これにより、骨の自然治癒を助け、痛みを軽減させる効果が期待できます。

コルセットを装着することで、患者は日常生活での動作における痛みが緩和され、体を安定させることができるため、骨折箇所のさらなる損傷を防ぐことが可能です。ただし、コルセットの使用期間や頻度は医師の指示に従い、適切に管理する必要があります。

腰椎圧迫骨折の予防法

腰椎圧迫骨折を予防するためには、骨粗しょう症の対策と日常生活での工夫が重要です。特に高齢者や骨が脆くなりやすい方は、適切な介護用品や福祉用具を活用することで転倒リスクを減らすことができます。

骨粗しょう症予防

腰椎圧迫骨折の大きな原因の一つである骨粗しょう症は、日常的な予防が可能です。日々の食事でカルシウムやビタミンDを意識して摂取し、適度な運動を行うことが骨を強く保つための基本です。牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、ビタミンDを含む魚やキノコ類を積極的に取り入れることが推奨されます。

また、太陽の光を浴びることで体内でビタミンDが生成されるため、日光浴も効果的です。住環境を整えることも大切です。段差や滑りやすい床をなくし、転倒防止のための工夫をしましょう。

介護用品・福祉用具を使う

腰椎圧迫骨折を予防するために、介護用品や福祉用具の導入も効果的です。例えば、立ち上がりをサポートする手すりの設置や、歩行を安定させる杖や歩行器の使用は、転倒リスクを減らすだけでなく、腰にかかる負担を軽減します。また、介護ベッドのリクライニング機能を利用すれば、腰への負担を減らしながら楽に起き上がることができます。

介護ベッドや歩行補助用具の選び方

介護ベッドや歩行補助用具は、種類ごとに選び方のポイントを理解し、適切に活用することが大切です。

・介護ベッド
起き上がりや立ち上がりのサポート: 介護ベッドは、利用者がスムーズに起き上がったり立ち上がったりすることをサポートし、腰への負担を軽減する効果が期待されています。
リクライニング機能の重要性: リクライニング機能を備えているため、寝たままの状態でも楽に体を起こすことができ、腰椎圧迫骨折の予防にも役立つとされています。

・歩行補助用具
歩行時の姿勢安定: 杖や歩行器を使用することで、歩行時の姿勢が安定し、転倒リスクを軽減する効果が見込まれます。腰への負担軽減: 杖や歩行器を使うことで、歩行時の腰への負担を和らげることが期待されています。

・手すりや転倒予防グッズ
トイレや浴室、ベッドサイドに手すりを設置することで、腰への負担を大幅に軽減できます。また、転倒防止マットや滑り止めシートといったグッズは、転倒リスクを抑えるのに効果的です。これらのアイテムはシンプルながらも大きな予防効果を持っています。

選び方のポイント
使用者の体格や生活環境に適したものを選ぶことが重要です。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、訪問鍼灸マッサージをご提供しております。ご自宅やお住まいの場所におられながら、専門のスタッフが一人ひとりの症状に合わせたケアを行い、痛みの軽減や機能回復のお手伝いをいたします。

腰椎圧迫骨折は早期のリハビリやケアが重要です。わたしたちは鍼灸やマッサージによる自然治癒力の向上を目指し、無理のない形でご自宅での生活が快適に過ごせるようサポートさせていただきます。お困りのことやご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

まとめ

腰椎圧迫骨折は、特に高齢者や骨粗しょう症の方にとって大きなリスクとなります。日常的な運動や栄養管理に加え、適切な介護用品や福祉用具を活用することで、腰への負担を減らし、転倒のリスクを軽減することが可能です。早期の診断と適切な治療はもちろん、日常生活での予防策を取り入れることで、腰椎圧迫骨折のリスクを大幅に減らすことができます。

監修:市姫 久春
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 株式会社さくらリバース 訪問鍼灸リハビリマッサージ事業部
   

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