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介護保険サービスとは? 仕組みと基本を詳しく解説

監修:森田 進
2025年06月25日
介護保険サービスとは? 仕組みと基本を詳しく解説
介護が必要になったとき、「どこに相談すればいい?」「どんなサポートがあるの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
そんなときに活用できるのが、「介護保険サービス」です。

この制度を使えば、訪問介護や通所(デイサービス)、施設への入所など、さまざまな介護サービスを受けられます。
この記事では、介護保険サービスの基本的な仕組みや、サービスの種類、利用できる条件や費用について、わかりやすく解説していきます。
目 次

介護保険サービスの概要

介護保険は、40歳以上の人が加入する公的な保険制度です。
介護が必要になったときに、サービスを利用する費用の一部を保険でまかなえます。

対象になるのは、主に65歳以上の高齢者ですが、40〜64歳の方でも、特定の病気が原因で介護が必要になった場合は利用できます。

「要介護」や「要支援」と認定された人が、在宅や施設などで、自分の状態に合った介護サービスを受けられる仕組みです。

介護保険サービスの主な種類

介護保険サービスには、住んでいる場所や介護の必要度に合わせて、さまざまな種類があります。
大きく分けると、自宅で受けられる「在宅サービス」、施設に通う「通所サービス」、短期間だけ施設を利用する「短期入所サービス」、そして入所して生活する「施設サービス」などがあります。

施設サービスには、「特別養護老人ホーム」や「介護医療院」のほか、介護付き有料老人ホームなどの「特定施設」も含まれます。

ここでは、それぞれのサービスについてわかりやすく紹介します。

訪問介護などの在宅サービス

ご自宅で生活しながら介護を受けたい方に向けたサービスです。

「訪問介護」では、ヘルパーが自宅に来て、食事の準備や掃除、洗濯、入浴の介助など、日常生活をサポートします。買い物や通院の付き添いをお願いできることもあります。

医療的なケアが必要な方には、「訪問看護」や「訪問リハビリ」があり、看護師やリハビリ職が薬の管理や健康チェック、体の機能維持をサポートします。

また、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」では、1日に複数回の訪問や緊急対応も可能で、安心して自宅での生活を続けられます。

デイサービスなどの通所サービス

「デイサービス」や「デイケア」は、日中に施設へ通って介護やリハビリを受けるサービスです。
施設では、入浴や食事、体操、レクリエーションなどが行われており、自宅で過ごすだけでは得られにくい刺激を受けられるのが大きなメリットです。

利用者同士の交流や外出の機会にもなり、「人と話す」「笑う」「体を動かす」といった活動が、心と体の元気を保つ助けになります。
また、家族の方が仕事や用事で一時的に介護から離れたいときにも、安心して任せられる場所として活用されています。

認知症の方に特化したデイサービスもあり、専門的なプログラムで安心して利用できる体制が整っています。

ショートステイなどの短期入所

「ショートステイ」は、短期間だけ介護施設に入所して介護を受けるサービスです。

ご家族の出張や入院、介護者の体調不良などで一時的に介護が難しいときに利用されるほか、「少し休みたい」という気持ちにも応えられます。

施設では、食事・入浴・排せつなどの日常介助に加え、必要に応じて看護師による健康チェックや医療的ケアも受けられます。

重度の介護が必要でない方でも、定期的に利用することで生活リズムの安定や認知症予防につながることがあります。

介護老人福祉施設などの施設サービス

介護の必要度が高く、自宅での生活が難しい方には、施設に入所して介護を受ける「施設サービス」があります。

代表的なのは「特別養護老人ホーム(特養)」で、要介護3以上の方が対象です。
24時間体制で、食事・入浴・排せつなどの介護を受けながら、安心して生活できます。

医療的ケアが必要な方には、「介護医療院」や「介護療養型医療施設」があり、医師や看護師のサポートが受けられます。

また、「特定施設入居者生活介護」に指定された有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅でも、介護保険を使った支援が可能です。
生活支援と医療の連携が整った施設を希望する方にとって、有力な選択肢となります。

いずれも利用には要介護度や申込状況に応じた調整が必要なため、早めの情報収集が大切です。

小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービス

地域に住む高齢者が、住み慣れた自宅での生活を続けられるように支援する「地域密着型サービス」もあります。

中でも「小規模多機能型居宅介護」は、「通い(デイサービス)」「訪問(ホームヘルプ)」「泊まり(ショートステイ)」の3つを、ひとつの事業所で柔軟に組み合わせて使えるのが特徴です。
顔なじみのスタッフによる対応が基本で、利用者にとっても安心感があります。

また、認知症の方が少人数で共同生活を行う「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」もこの分類に含まれます。
家庭的な雰囲気の中で暮らすことで、症状の安定や安心感につながるケースも多いです。

福祉用具の貸与・購入、住宅改修費の支給

自宅での介護を助けるために、「福祉用具」や「住宅改修」に関する支援もあります。

【福祉用具の貸与(レンタル)】
・介護用ベッド
・手すり
・歩行器
・車いす など

これらの用具を、月額数百円〜数千円の費用でレンタルできます。必要な期間だけ使えるので、経済的にも助かります。

【福祉用具の購入支援】
ポータブルトイレや入浴用のイスなど、購入が望ましいとされる一部の用具には、購入費の一部が保険で補助されます。

【住宅改修費の支給】
たとえば、
・玄関や浴室の手すり取り付け
・段差の解消(スロープ設置など)
・滑りにくい床材への変更
などの改修を行う際、工事費の一部(上限20万円まで)に対して、介護保険から補助を受けられます。

住まいの安全性を高めることで、介護者の負担も軽くなり、本人の自立支援にもつながります。

要支援~要介護判定と、受けれる介護保険サービスについて

介護保険サービスを利用するには、「この人にはどれくらいの介護が必要か?」という判定を受ける必要があります。
この判定結果によって、使えるサービスの種類や内容が変わってくるため、とても大切なステップです。

要支援・要介護判定とは?

まず、市区町村の窓口に申請を行います。本人または家族が申請すると、専門の職員(介護認定調査員)が自宅などを訪問し、体の状態や生活の様子を確認します。

主治医の意見書とあわせて審査が行われ、「要支援1・2」または「要介護1~5」に認定されます。数字が大きいほど、介護の必要度が高く、支援の内容も手厚くなります。

・要支援1・2:日常生活はある程度できるが、部分的に手助けが必要
・要介護1〜5:生活全般にわたって継続的な支援が必要

歩行が不安定になったり、入浴や着替えに介助が必要になった場合などに該当することがあります。

状態に応じた支援体制の違い

介護保険では、認定結果に応じて利用できるサービスが変わります。

要支援の方の場合

「まだ大きな介護は必要ないけれど、将来に備えて支援があった方が安心」という段階です。
この段階では、介護予防を目的としたサービスが中心になります。

たとえば、

・軽い運動や体操を行う「通所型サービス(デイサービス)」
・買い物や掃除などを手伝ってもらう「訪問型サービス」

などを利用しながら、今できていることを維持したり、できることを増やしていくことを目指します。

要介護の方の場合

日常生活で継続的な介護が必要になってくる段階です。
認定された要介護度に応じて、受けられるサービスの範囲や回数が増えます。

たとえば、

・入浴や食事などを手伝う「訪問介護」
・日中を施設で過ごす「デイサービス」
・夜間を含む「ショートステイ」や「施設入所」

など、必要に応じて組み合わせて利用できます。状態が重くなると、医療や看護の支援が加わるケースもあります。

医療的ケアが必要な場合の支援体制

介護が必要な方の中には、慢性の病気や障がいにより、日常的に医療的な支援が欠かせない方もいます。
このような場合は、「医療と介護の連携」が重要です。

たとえば、

・看護師が訪問して処置や健康管理を行う「訪問看護」
・リハビリ専門職が機能回復を支援する「訪問リハビリ」
・医療と介護が一体となった「介護医療院」

といったサービスがあります。

これらでは医師・看護師・ケアマネジャーが連携し、状態の変化にも柔軟に対応してくれるため、安心して暮らしを続けられます。

介護保険サービスの料金

介護保険を利用すれば、さまざまな介護サービスを比較的少ない自己負担で受けられます。
ここでは、費用の仕組みや、具体的な料金の目安、税金上のメリットについて詳しく見ていきましょう。

介護保険サービスの自己負担割合

介護保険サービスは、「保険」を使って受けられる公的な支援です。
実際にかかる費用のうち、利用者が負担するのは基本的に1〜3割となっており、残りの7〜9割は介護保険から支払われます。

自己負担の割合は、利用者の「所得」によって決まります。

・年金収入のみなどで所得が少ない方 → 1割負担
・一定以上の収入がある方 → 2割または3割負担

たとえば、介護サービス費用が1万円だった場合、1割負担の方であれば1,000円、2割負担であれば2,000円の自己負担となります。

また、所得が低い世帯向けには「高額介護サービス費制度」があり、一定以上の自己負担がかかった場合に払い戻しを受けられる仕組みもあります。

サービスごとの費用相場

利用するサービスの種類や時間、頻度によって費用は異なりますが、以下のような目安があります(※すべて自己負担1割の場合の例です)。

■ 訪問介護(ホームヘルプ)
・1回30分未満:約250円前後
・1回60分程度:約400~500円前後

※掃除や食事準備、排せつ・入浴の介助などの内容により金額が変わります。

■ 通所介護(デイサービス)
・1日あたり:約700円~1,500円程度(食事代別途)

※機能訓練やレクリエーション、入浴サービスを含む場合もあります。

■ ショートステイ(短期入所)
・1泊あたり:約800円~2,000円程度+食費・居住費など
・全体で1泊2,000〜5,000円程度になるケースもあります。

■ 施設サービス(特別養護老人ホームなど)
・月額:おおよそ8万~13万円前後(自己負担+食費・居住費など含む)

※施設のタイプや地域、入居した場合の部屋のタイプ(多床室・個室)によって費用は大きく異なります。

■ 福祉用具の貸与・購入
・車いすや介護用ベッドなどを月数百円〜数千円でレンタル可能
・ポータブルトイレやスロープなどは購入時に年10万円まで保険適用の補助あり(自己負担は1〜3割)

■ 住宅改修(手すり設置・段差解消など)
・原則として上限20万円(原則1回まで)の工事費に対して、保険適用で最大18万円まで支給されます。たとえば、10万円の改修工事を行う場合、自己負担は1万円(1割負担)です。

介護保険サービス利用時の税制優遇

介護保険サービスを利用して支払った費用の一部は、確定申告で「医療費控除」として申告できる場合があります。

対象となるのは、次のような費用です。

・訪問介護、通所介護などの介護保険サービスの自己負担分
・施設での介護サービスにかかる自己負担(食費・居住費は対象外の場合あり)
・医師が必要と認めた福祉用具の購入費 など

控除を受けるには、領収書の保管が必須です。
年末調整ではなく、確定申告が必要になるため、利用者本人や家族が忘れずに手続きすることが大切です。

さくらリバースの紹介

わたしたち「さくらリバース」では、専門知識を持つスタッフがご自宅や滞在先へ伺い、お一人おひとりに寄り添ったリハビリやケアを心がけております。

身体機能の維持だけでなく、心の安定にも目を向けながら、穏やかな生活を少しでもサポートできればと願っております。

「どのようなサポートを受けられるのか知りたい」「自宅でのケアに不安がある」と感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。

訪問鍼灸やリハビリマッサージを通して、地域に根ざしたサービスを提供しています。
「住まい」での生活が、より安心で快適なものになるよう、お手伝いしております。

まとめ

介護保険サービスは、介護が必要になったときの心強い味方です。
訪問、通所、入所といったスタイルや、福祉用具・住宅改修など、生活を支える選択肢がたくさんあります。

まずは「要介護認定」を受け、自分や家族に合ったサービスを知ることが第一歩です。
不安や疑問があれば、地域の相談窓口や専門事業者へ相談することで、安心につながります。

「どこで」「どんな支援が受けられるか」を知っておくことで、これからの暮らしを前向きに整えていけるはずです。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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