介護うつとは?特徴や原因、対処法について解説します。

監修:森田 進
2024年03月11日
介護うつとは?特徴や原因、対処法について解説します。
目 次

介護うつとは

介護うつは、介護者が長期間にわたって高いストレスや負担を抱え続けることによって発症する精神疾患で、主に高齢者や障害者の介護を担当する家族や介護者に見られます。

主な症状には、慢性的な疲労感、抑うつ感、不眠、食欲の変化、無気力感、集中力の低下などがあり、これらの症状は、要介護者の生活の支援、身体介助、医療ケア、精神的な支援など、様々な面で大きな責任を負っているという介護の負担やストレスによって引き起こされ、介護者自身の日常生活や介護活動への支障をもたらすことがあります。

介護うつの予防策としては、まず介護者本人の健康管理が重要となります。適切な休息や睡眠をとったり、バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけることが必要です。また、介護業務を家族や友人と分担したり、定期的な休息や休暇を取ることも大切です。

介護者のストレスを軽減するためには、支援システムの情報をしっかりと集め、地域の支援サービスや専門の相談機関を利用しながら、介護者が適切な支援を受けられるようにすることが必要です。また、家族や友人とのコミュニケーションや、ストレスを発散できる趣味やレジャー活動を楽しむこともとても大切とされます。介護者が精神的、肉体的に健康で、安心して介護活動を続けられるよう、社会全体での支援が求められています。

介護うつの症状とサイン

介護うつの症状やサインは、介護者が長期間にわたって高いストレスや負担を抱え続けることで現れます。主な症状やサインを以下にご説明していきます。

睡眠障害

睡眠不足や睡眠の質の低下は、介護者の身体的・精神的負担が増加し、介護うつを引き起こす可能性があります。以下は、睡眠障害が介護うつの症状やサインとして現れることがある点です。このような睡眠障害が介護うつの症状やサインとして現れる場合、介護者は早期の対策や適切なサポートを受ける必要があります。

不眠症

介護者は仕事や介護活動によってストレスを感じ、眠りにつくことが難しくなります。寝付きが悪く、夜中に目が覚めてしまうことがあります。

過眠症

介護者は過度の疲労やストレスから過眠症の症状が現れることもあります。昼間でも眠気を感じ、仕事や日常生活の活動に支障をきたすことがあります。

睡眠の質の低下

介護者はストレスや不安から、深い睡眠に入ることが難しくなります。また、夜間に頻繁に目が覚め、中途覚醒が起こりやすくなります。

睡眠時無呼吸症候群

介護者はストレスや疲労によって、睡眠時無呼吸症候群の症状が現れることがあります。これにより、呼吸が一時停止したり、浅い呼吸が続くことがあります。

食欲不振

食欲不振は、睡眠障害や介護うつの症状やサインの一つとして考えられます。睡眠不足やストレスによって引き起こされることがあります。以下は、食欲不振が介護うつの症状やサインとして現れる可能性がある点です。これらの症状やサインが現れた場合、介護者は睡眠やストレス管理に加えて、食事にも注意を払う必要があります。

食事の摂取量の減少

介護者はストレスや疲労感から、食事の摂取量が減少することがあります。食事の回数や量が減り、栄養不足や体力の低下につながる可能性があります。偏った食生活: 食欲不振により、介護者は偏った食生活を送ることがあります。栄養バランスの偏りや不規則な食事時間によって、体調や健康状態が悪化する可能性があります。

偏った食生活

食欲不振により、介護者は偏った食生活を送ることがあります。栄養バランスの偏りや不規則な食事時間によって、体調や健康状態が悪化する可能性があります。

食事の満足感の低下

介護者はストレスや疲労感から、食事を楽しむ気持ちが減ってしまうことがあります。食事の満足感が低下し、食事を摂ること自体が負担に感じられる場合があります。

身体的な不調

食欲不振によって、体重減少や栄養失調などの身体的な不調が現れることがあります。それが体力の低下や免疫力の低下につながり、健康リスクが増加する可能性があります。

疲労感と倦怠感

介護うつの症状やサインの一つに疲労感と倦怠感が挙げられます。長期間にわたる過度のストレスや、身体的負担によって引き起こされ、介護者の心身の健康に影響を与えることがあります。

疲労感は日常的な疲れや身体的な疲労を指し、介護活動による長時間の身体的労働や睡眠不足、心理的なストレスによって引き起こされます。介護者は体力を消耗し、常に疲れや疲労感を感じることがあります。この疲労感は持続的であり、十分な休息を取っても簡単に解消されない場合があります。

そして、倦怠感は、精神的な疲れややる気の低下を指します。介護者は日常的なストレスや心理的負担により、活動への興味や意欲が無くなってしまい、何もする気力が湧かない状態になってしまうこともあります。楽しいことや興味を持っていた活動に対する関心が失われ、人と関わり合う事さえ困難になることがあります。これらの症状が続くと、介護者は身体的にも精神的にも疲れてしまい、介護活動や日常生活に支障をきたす可能性があります。

憂鬱感

憂鬱感は、長期間にわたる高いストレスや心理的負担によって引き起こされます。憂鬱感は、抑うつ状態や鬱病の兆候の一つであり、介護者は抑うつ感情に囚われやすくなります。介護者は日常的なストレスや負担によって心身が疲弊し、希望や喜びを感じにくくなります。趣味などいろいろな活動への関心や意欲も無くなり、日常生活に対する興味自体を失うことがあります。また、未来への希望や楽観的な考え方を持つ事が難しくなり、生活への不安や虚無感が増大することがあります。

憂鬱感は身体的な症状とも関連して現れることがあり、睡眠障害や食欲不振、疲労感などが憂鬱感と並発してしまう可能性もあります。介護者は身体的な不調や精神的な症状によって、さらに憂鬱感が増えてしまうことがあります。

不安感や焦燥感

介護うつの症状やサインとして、不安感や焦燥感もその中のひとつです。これらの感情は、介護者が高いストレスや心理的負担に晒されることによって引き起こされることがあります。不安感は将来に対する不安や心配、不確かなものへの恐れなどを指します。介護者は、介護活動や家族の健康状態に関する不安感を抱くいてしまう事が多く、将来の見通しや介護の責任に対する不安が頭をよぎり、心の安定を失うことがあります。

焦燥感は物事がうまくいかないことへの不安やイライラ、焦りを指します。介護者は、介護活動や家事、仕事など多忙な日常生活や、時間の制約や負担感によって焦燥感を感じることがあります。物事がうまくいかないという不安やプレッシャーによって、焦りや緊張が増大し、心身のバランスが崩れることがあります。こういった状態が続くと、介護者は心身の健康に影響を受けてしまう可能性があります。

介護うつの調べ方

介護うつは深刻な課題であり、早期に認識し適切な対処をすることが重要です。介護うつを調べる方法には、以下のような2つの方法があります。

セルフチェック

介護うつは、長期にわたる介護の負担によって生じる精神的な状態であり、自己チェックを通して早期に気付くことが大切です。介護うつの自己評価には、以下の手順やポイントが役立ちます。

まず、自分の感情や体調の変化に注意を払い、日々の変動を日記やメモに記録します。特に、気分の落ち込み、興味・喜びを感じなくなった活動、睡眠や食欲の変化、過度の疲れや無力感、集中力の低下、過度の罪悪感や無価値感、死に対する考えが頻繁に出る場合は注意が必要です。

次に、インターネット上で利用可能なセルフチェックリストや診断ツールを使用することで、自分の状態をより客観的に評価することができます。これらのツールは、専門家が作成したもので、一般的なうつ病の症状を基にしていますが、介護うつに特有の状況も考慮した質問が含まれている場合があります。

しかし、セルフチェックはあくまで参考程度に留め、専門家による正確な診断が不可欠です。

医療機関を受診する

介護うつを疑う場合、適切な診断と治療を受けるためには、医療機関を受診することが重要です。医療機関を受診する際には、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

最初に、かかりつけ医や地域のクリニックを訪れることから始めます。精神的な問題やうつ症状について話しやすい医師を選ぶことが大切です。訪問時には、自分が感じている症状や、介護の状況、生活環境の変化など、具体的な情報を伝えられるよう準備しておきましょう。

もし、かかりつけ医での対応に不安がある場合や、より専門的な治療が必要と判断された場合は、精神科や心療内科を受診することをお勧めします。精神科や心療内科では、専門の医師が詳細な診断を行い、必要に応じて薬物療法やカウンセリング、心理療法などの治療を提案してくれます。

また、医療機関を受診する際には、これまでの介護経験や、うつ症状が現れた経緯、日常生活での困難、睡眠や食欲の変化など、症状に関する詳細な情報を医師に伝えることが大切です。これにより、医師は症状の原因をより正確に把握し、適切な治療方針を立てることができます。受診の際は、家族や友人に同伴してもらうと、精神的なサポートを受けながら話を進めやすくなります。

介護うつの原因

介護うつの原因は多岐にわたりますが、主な要因は以下のようなものです。

精神的負担

介護うつの大きな原因は、精神的負担です。介護者は、日々の介護活動によって、患者の状態やケアに関する様々な問題に直面します。これには、患者の病状の悪化や振る舞いの変化、コミュニケーションの困難さ、医療やケアの課題などが含まれます。精神的負担は、介護者が直面するストレスや心理的な圧力に関連しています。

例えば、患者の病状の悪化や合併症の発生により、介護者は無力感や絶望感を感じることがあります。また、患者とのコミュニケーションが難しくなったり、感情的な問題に直面したりすることも精神的負担を増加させます。介護者は自身のストレスや感情を抑えなければならない場面もあります。

介護者は、常に患者のために強くなり、安定した姿勢を保つことが求められますが、それにより感情を抑え込んでしまうと、ストレスが溜まってしまいます。その結果、介護者はうつ症状に苦しむ可能性が高まります。

経済的負担

経済的負担も、介護うつの原因の一つとして大きく関わっています。介護を必要とする家族がいる場合、そのお世話には多額の費用がかかります。これには医療費、介護サービス利用料、日用品や介護用品の購入、場合によっては住環境の改修など、見えない費用も含まれます。特に、公的支援が十分でない場合や自己負担額が高い場合、家計に重大な影響を及ぼすことになります。

介護を行う側の収入減も問題です。介護に多くの時間を割く必要があるため、仕事を減らしたり、完全に辞めたりすることも少なくありません。これにより、既に厳しい家計がさらに悪化し、経済的なストレスが増大します。経済的な不安は、精神的な負担を一層重くし、介護者のうつ症状を引き起こす原因となります。

身体的負担

長時間にわたる介護活動は、介護者の体力を消耗させ、肉体的な疲労を蓄積させます。特に、移動の介助、入浴や食事の支援など、身体的に要求される作業は多く、これらの活動は日々繰り返されるため、介護者の体には大きなストレスがかかります。

さらに、睡眠不足も身体的負担を増大させる一因となります。介護が必要な家族が夜間に頻繁に目を覚ますことがあると、介護者の睡眠時間が不規則になりがちで、十分な休息を取ることが難しくなります。睡眠不足は、日中の疲労感を増加させるだけでなく、集中力の低下や判断力の鈍化を引き起こし、介護ミスのリスクを高め、そのミスから気分が落ち込むなど、悪循環に至ります。

また、介護者自身が持つ既存の健康問題も、身体的負担を重くする要因となりえます。例えば、腰痛や関節痛など、身体的な問題を抱えている介護者が、重い介護負担を担うことで、これらの症状が悪化することがあります。このように、介護活動に伴う身体的な負担は、介護者の健康を直接的に害し、うつ症状を引き起こすリスクを高めます。

介護うつの治療法について

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介護うつの治療法は、複数のアプローチがあります。介護うつの治療には時間がかかる場合がありますが、適切な治療やサポートを受けることで、症状の改善や再発の予防が可能です。介護者自身の健康を第一に考え、必要な支援を受けることが重要です。次からは主な治療法について記していきます。

休養する

介護うつの治療法として大事な事は、休養です。介護者は、日常的な介護活動やストレスによって身体的、精神的に疲れやストレスを感じることが多く、また休息を取りにくい状況にある場合がほとんどです。そのため、時間を見つけて適切な休息を取ることは非常に重要です。休養は、身体の疲れを取り除くだけでなく、心のリフレッシュやストレス解消にもつながります。介護者が日常生活や介護活動から離れてリラックスすることで、ストレスホルモンの分泌が抑制され、心身のバランスが整います。

休養を取る方法は様々ありますが、日常生活の中で短い休憩時間を取ることが大切です。介護者がストレッチや深呼吸、瞑想などのリラックス法を行うことも効果的です。また、定期的な休暇やリフレッシュタイムを設けることも有効です。家族や友人との遊びやレジャー、趣味に時間を割くことで、心身をリフレッシュできます。定期的なマッサージや温泉、散歩など、リラクゼーションを促進するアクティビティもお勧めです。

そして、介護者の代わりを頼むことも重要です。家族や友人、地域のサポートネットワークを活用して、介護の負担を分散することができます。休養を取るためには、介護者自身が自分の健康を最優先に考え、適切なケアを受ける事が大切です。

精神療法

精神療法は、心理学的なアプローチを用いて、患者の心理的な問題や苦痛を緩和し、心の健康を改善するための治療法です。介護うつの場合、精神療法はうつ症状の軽減や対処方法の向上に役立ちます。精神療法の中でも、特に有効なアプローチの1つは認知行動療法(CBT)です。

CBTは、患者の負の思考パターンや行動パターンを認識し、それらをポジティブなものに変えることに重きを置いています。介護うつの場合、介護者は自己効力感の低下や希望の喪失などの負の思考や感情に苦しむことがありますので、CBTは、これらの思考や感情を客観的に見つめ直し、ポジティブな思考や行動に向けて変化させる手助けをします。

また、心理教育やストレス管理技術のトレーニングも有効です。介護者は、ストレスフルな状況に対処するためのスキルやリラクゼーション法を学び、ストレスの軽減やストレス耐性の向上を図ることができます。そして精神療法は患者の感情やストレスの発散や整理にも役立ちます。

介護者は、心理療法のセッションで自分の感情やストレスを吐き出し、整理することで心の負担を軽減し、健康的なコーピング戦略を身につけることができます。精神療法は、個々の状況やニーズに合わせてカスタマイズされるため、専門家の指導のもとで行うことが重要です。介護うつの治療において精神療法を取り入れることで、患者の心の健康を改善し、より良い介護環境を構築することができます。

薬による治療

薬物療法は、うつ症状の軽減や改善を目指し、抗うつ薬やその他の精神安定剤を使用する治療法です。介護うつの場合、長期間にわたる身体的、精神的なストレスや負担によって脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることが考えられ、その結果、うつ症状が引き起こされることがあります。薬物療法は、この神経伝達物質のバランスを調整し、うつ症状を緩和することを目的としています。

抗うつ薬は、主にセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の再取り込みを阻害する作用を持ちます。これにより、脳内の神経伝達物質の濃度を増加させ、うつ症状を改善します。一般的には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、またはトリプタンなどの抗うつ薬が処方されます。これらの薬は、精神科医や心療内科医によって処方され、患者の症状や体質に合わせて適切な薬剤と投与量が選択されます。

薬物療法の利点は、比較的迅速に効果が現れることがあり、重度のうつ症状に対して有効とされます。また、薬物療法は他の治療法と併用することができ、症状の改善を促進することができます。ただし、薬物療法には副作用や依存性のリスクがあります。また、個々の患者によって効果や副作用が異なるため、適切な薬剤と投与量を見つけるまでには時間がかかる場合があります。薬物療法は、医師の指導のもとで行われるべきであり、定期的なフォローアップや調整が必要です。

介護うつの予防方法

介護うつの予防には、以下のような方法があります。これらの予防方法を実践することで、介護者は自己の健康を守り、介護うつのリスクを軽減することができます。

介護サービスを利用する

介護サービスを活用することで、介護者の身体的、精神的負担を軽減し、うつ症状の予防につながります。

介護サービスには、訪問介護、デイサービス、ショートステイなど、様々な形態があります。これらのサービスを適切に組み合わせることで、介護者は日々の介護責任から一時的に解放され、自身の健康管理やリフレッシュの時間を持つことが出来ます。また、プロの介護スタッフからのサポートを受けることで、介護技術の向上や適切な介護方法についての知識が得られ、介護の質の向上にもつながります。

介護サービスを利用する際には、まず自分や家族のニーズを明確にし、どのようなサポートが必要かを検討することが大切です。地域の介護支援センターやケアマネジャーに相談し、利用可能なサービスの情報収集とアドバイスを受けることも有効です。さらに、介護保険制度を活用することで、経済的負担を軽減しながら必要なサービスを受けることが可能になります。

介護サービスを利用することで、介護者は心身の健康を守りつつ、介護を必要とする家族に適切なケアを提供することができます。これは、介護うつの予防だけでなく、介護者と被介護者双方の生活の質を向上させることにも寄与します。介護の負担を感じたら、早めにサービスの利用を検討し、自身の心身の健康維持に努めることが推奨されます。

一人で抱えず、相談できる場所を作る

介護うつを予防するうえで重要なのは、一人で全てを抱え込まず、相談できる環境を作ることです。介護は身体的、精神的な負担が大きく、孤独感や無力感を感じることが多々あります。これらの感情を一人で抱え続けることは、ストレスを増大させ、介護うつへとつながるリスクを高めます。

まず、家族や友人、近隣の人々とのコミュニケーションを大切にしましょう。日常の小さな悩みから介護に関する具体的な相談まで、気軽に話せる関係を築くことが大切です。また、地域の支援グループや介護者会に参加することで、同じような状況にある人々との交流を持つことができ、有益な情報共有や心の支えとなります。

また、専門の相談窓口や介護支援センター、ケアマネージャーなど、プロフェッショナルな支援を利用するのも一つの方法です。これらの専門家は、介護の負担を軽減するためのアドバイスや、適切なサービスの紹介、心理的なサポートを提供してくれます。特に、介護に関する法律や制度、利用できるサービスについての正確な情報を得ることができるため、介護の計画を立てる上で大いに役立ちます。

オンラインフォーラムやSNSを活用することで、家を離れることなく、全国の介護者と繋がり、経験や知識を共有することも可能です。これにより、孤独感を軽減し、多様な視点からのアドバイスを受けることができます。

介護の問題は一人で抱え込むことなく、積極的に周囲に支援を求めることは、介護うつの予防に非常に効果的です。また、他者との関わりは介護者自身の精神衛生にも良い影響を与え、より良い介護環境の構築に繋がります。相談できる場所をしっかり作り、介護の負担を分かち合い、健康的な心身状態を維持できるような環境づくりを目指しましょう。

気晴らしをする趣味の時間を作る

介護うつの予防には、趣味の時間を作り、日常からの気晴らしをすることが有効です。長期間にわたる介護活動は、心身の疲労を蓄積させ、うつ症状を引き起こすリスクを高めます。このような状況の中で、自分自身のための時間を確保し、好きな活動に没頭することは、ストレスの軽減に役立つ非常に大切なポイントです。

趣味の時間は、自分だけの特別な時間として、介護の負担から一時的に離れる機会となります。読書、園芸、絵画、音楽鑑賞、写真撮影など、好きなことに集中することで、心がリフレッシュされ、ポジティブな気持ちを取り戻すことができます。また、新しい趣味に挑戦することで、自己実現の喜びを感じることもでき、自己肯定感の向上にもつながります。趣味の時間を持つことは、単に楽しむだけでなく、精神的なバランスを保つための重要な手段です。趣味を通じて、他の介護者や趣味仲間と交流することもでき、孤独感の軽減や新たな人間関係も生まれ、定期的に趣味の時間を設けることで、日々のルーティンに変化をもたらし、生活に活力を与えることができます。

趣味の時間を作るためには、介護サービスの利用を検討したり、家族や友人に協力を仰いだりすることも有効です。介護の合間に確保した時間を、自分自身のために有意義に使うことで、介護者は自分自身を大切にすることの重要性を再認識し、うつ症状の予防につなげることができます。

介護うつの予防において、趣味の時間を作ることは、自分自身の精神衛生を保つための重要な手段の一つです。自分の好きなことに没頭することで、心のオアシスを見つけ、介護によるストレスから一時的に解放されることができます。

運動をする

運動は、ストレスを軽減し、心身の健康を維持するための重要な手段となります。介護者は日々の介護活動により精神的、身体的な疲労が蓄積しやすく、このような状態が長期にわたると、うつ症状を引き起こすリスクが高まります。定期的に運動を取り入れることで、これらのリスクを低減することが可能です。

運動には、ウォーキング、ジョギング、ヨガ、ストレッチング、水泳など、さまざまな形があります。これらの活動は、ストレスホルモンのレベルを下げると同時に、幸福感をもたらすエンドルフィンの分泌を促します。特に、屋外での運動は、新鮮な空気を吸いながら自然と触れ合うことができ、心のリフレッシュにもつながります。

運動をすることで、睡眠の質も高まります。身体を動かすことにより、夜間の睡眠をより深くし、翌日のエネルギーを回復させることができるのです。また、定期的な運動は、血圧や心拍数の改善、体重管理、筋力の向上など、身体的な健康の面でも多くのメリットがあります。

運動プログラムを始める際には、自分の体力や健康状態を考慮し、無理のない範囲で実施することが重要です。最初は軽い運動から始め、徐々に活動量を増やしていくことがおすすめです。また、運動を日常生活に組み込むことで、継続しやすくなります。例えば、階段の利用、通勤時の一部を歩く、家事活動を活発に行うなど、日々の活動の中で身体を動かす機会を増やすことも大変良いでしょう。

介護うつを予防するためには、心身の健康を維持することが不可欠です。定期的な運動を通じて、ストレスを管理し、健康的なライフスタイルを送ることで、介護うつのリスクを低減することができます。

まとめ

介護うつは、介護をする人が長期間にわたり感じる心身の重圧から生まれる心の病です。特に、愛する家族の面倒を見る方々に多く見られる状態で、深い悲しみや無気力感、睡眠や食欲の問題、集中力の低下、そして疲労が続くことが特徴です。

心と体を守るためには、まずは専門家の助けを求めることが第一歩です。心の負担を少しでも軽減するために、介護サービスの活用や、趣味や運動を通じたリフレッシュ、家族や友人、支援グループとの交流を大切にしましょう。それぞれの小さな一歩が、介護うつの予防や症状の緩和に繋がり、介護者の皆さんが心身ともに健康でいられるように支えてくれます。

介護は一人で背負うべき重荷ではありません。自分自身の心と体を大切にし、必要なサポートを積極的に求めることで、より良い介護ができるようになります。どうか、一人で悩まず、手を差し伸べてください。あなたが安心して介護ができるように、私たちは出来る限りのサポートを提供します。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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