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高齢者の夏バテを防ぐために知っておきたい原因と対策

監修:市姫 久春
2025年05月01日
高齢者の夏バテを防ぐために知っておきたい原因と対策
暑さが厳しくなると、体にさまざまな不調が現れやすくなります。とくに高齢者は、夏バテから体調を大きく崩すリスクがあるため、早めの対策が大切です。

今回は、高齢者が夏を元気に乗り越えるために、知っておきたい原因と予防のポイントをわかりやすくご紹介します。
目 次

高齢者の夏バテが危険といわれる理由

暑さによる体調不良はどの年代にも起こりますが、とくに高齢者にとっては注意が必要です。

ここでは、高齢者が夏バテによって体にどのようなリスクを抱えやすいのかを、詳しく見ていきましょう。

回復力の低下による重症化のリスク

若いころは、夏バテで体調を崩しても、数日で自然と元気を取り戻すことができたかもしれません。

しかし、年齢を重ねると、体力や免疫力が落ちていくため、回復までに長い時間がかかるようになります。

軽い疲れや食欲不振をきっかけに、持病が悪化したり、体全体の衰弱が進んでしまったりすることも珍しくありません。

夏バテを軽く考えず、早めに対策をとることが大切です。

水分不足が引き起こす重大な病気

高齢者は、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなりやすく、気づかないうちに水分が不足してしまう傾向があります。

体内の水分が減ると、血液がドロドロになりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった重大な病気の引き金になる恐れもあります。

「汗をかいていないから大丈夫」と思い込まず、室内にいてもこまめな水分補給を心がけることが大切です。

自律神経の乱れによる体調悪化

暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来することで、体は温度変化にさらされ続けます。

とくに高齢者は、自律神経の働きが衰えやすく、体温調整がうまくできなくなることがあります。

この自律神経の乱れは、食欲不振や不眠、だるさなど、さまざまな不調の原因となりやすいため、注意が必要です。

過ごす環境の温度管理を工夫しながら、体に余計な負担をかけないよう意識していきましょう。

夏バテと熱中症の違い 

暑さによる体調不良というと、夏バテと熱中症がよく話題になりますが、実はこの二つには大きな違いがあります。

間違った対応を防ぐためにも、それぞれの特徴をきちんと理解しておきましょう。

夏バテは、暑さや湿度による体力消耗や、栄養・水分不足が積み重なることで起こる体のだるさや食欲不振などの状態を指します。

比較的ゆるやかに不調が進むのが特徴で、疲れがたまって元気が出ない、眠れないといった悩みにつながることが多いです。

一方、熱中症は、高温多湿の環境で体温調節がうまくいかなくなり、急激に症状が悪化する非常に危険な状態です。

めまいや頭痛、吐き気、さらには意識障害などが急に現れることもあり、早急な対処が求められます。

夏バテと違って、熱中症は命に関わる緊急事態になることもあります。

少しでも異変を感じたら、無理をせず涼しい場所に移動して水分をとり、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。

高齢者の夏バテの原因とは?

高齢者が夏バテを起こしやすい背景には、いくつかの体の変化が関係しています。

ここでは、とくに注意しておきたい三つの主な原因について、順番に見ていきましょう。

胃腸機能の低下

暑さが続くと、食欲が落ちたり、さっぱりしたものばかりを好んだりすることが多くなります。

高齢者の場合、もともと胃腸の働きが弱っているため、少しの不調でも消化不良を起こしやすくなります。

さらに、冷たいもののとりすぎは胃腸に負担をかけ、働きをさらに鈍らせてしまう原因にもなります。

これにより、十分な栄養がとれず、体力の低下を招きやすくなるため注意が必要です。

のどの渇きに気づきにくい

年齢を重ねると、のどの渇きを感じる感覚が鈍くなりがちです。

そのため、暑さの中でも水分補給を後回しにしてしまい、気づかないうちに体内の水分が不足することがあります。

水分不足が続くと、血液がドロドロになり、熱中症や脳梗塞など命にかかわる病気のリスクが高まります。

のどが渇いたと感じる前に、こまめに水分をとる習慣を身につけることが大切です。

自律神経の乱れと体温調整機能の低下

暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来することで、体はたびたび温度変化にさらされます。

高齢者はこの変化に対応する力が弱くなりやすく、自律神経のバランスも崩れやすくなります。

また、体温を調節する働きも低下しているため、暑さにうまく適応できず、だるさや疲労感がたまりやすくなります。

環境に合わせた温度調整を意識し、体に過度な負担をかけないよう心がけることが重要です。

高齢者の夏バテに気づくためのチェックポイント

高齢者の夏バテは、見た目にはわかりにくいことも多いため、日ごろから小さな変化を見逃さないことが大切です。

以下に、夏バテのサインに気づくためのポイントをご紹介します。

【夏バテを疑うチェックポイント】

□ 以前より食事の量が減っている
□ 好きな食べ物にも手をつけないことが増えた
□ 夜なかなか寝つけず、途中で目が覚めることがある
□ 日中にぼんやりしている時間が増えている
□ 外に出たがらず、家の中でも動くのを嫌がる
□ 顔色が冴えない、または熱っぽさがある
□ 普段より汗の量が極端に少ない、または多すぎる
□ 立ち上がったときにふらつくことがある
□ 会話中に何となく元気がないように感じる

これらにいくつか当てはまる場合は、夏バテが進行している可能性が疑われます。

放っておくと体力の低下や持病の悪化にもつながるため、早めのケアが大切です。

「年齢のせい」と思い込まず、変化に気づき必要な処置をしてあげることが必要です。

夏バテを防ぐためにできること

夏バテを防ぐためには、日常生活の中でちょっとした工夫を取り入れることが大切です。

ここでは、すぐに始められる身近な対策について、わかりやすくご紹介していきます。

室温管理は体感でなく温度計で確認する

年齢とともに暑さや寒さを感じる力は弱くなることがあります。

そのため、体感だけを頼りにするのではなく、室温計を使って客観的に温度を確認することが安心につながります。

室内の温度は28度前後を目安にし、湿度にも気を配りましょう。

快適な環境を保つことで、体への負担を減らすことができます。

朝と夜の水分補給

暑さで汗をかく夏は、気づかないうちに体から多くの水分が失われています。

特に夜間は水分補給の機会が少なく、朝起きたときには軽い脱水状態になっていることもあります。

朝起きたあとにコップ1杯の水を飲むことや、夜寝る前に水分を摂ることが、体調管理に役立つといわれています。

日中も意識的に水分をとりながら、体の負担を軽くしていくことが大切です。

質のよい睡眠をとる

体力の回復には、質のよい睡眠が欠かせません。

夏場は寝苦しさや暑さで眠りが浅くなりがちですが、できるだけ涼しく快適な環境を整えて、しっかり休めるようにしたいところです。

寝室の温度は高すぎず低すぎず、28度前後を目安に設定し、風が直接あたらないよう工夫しましょう。

深く眠れると、体力も気力も自然と回復しやすくなります。

湯船につかる入浴習慣

暑いとついシャワーだけで済ませたくなりますが、湯船にゆっくり浸かることも夏バテ対策には効果的です。

ぬるめのお湯に10分ほど浸かることで、自律神経が整いやすくなり、心身のリラックスにつながります。

また、体の奥から温まることで寝つきがよくなり、質のよい睡眠にもつながるといわれています。

無理のない範囲で、できる日には湯船に浸かる時間を意識してみることも大切です。

夏バテ予防に必要な栄養素とは

夏バテを防ぐためには、食事からしっかり栄養をとることが欠かせません。

ここでは、暑い時期に意識して取り入れたい栄養素についてご紹介します。

クエン酸

クエン酸は、疲労のもととなる乳酸を分解し、体の回復を支える働きがある成分です。

食欲が落ちやすい夏でも、クエン酸を摂ることで胃腸の働きが活発になり、食欲を引き出す効果が期待できます。

レモンや梅干し、キウイフルーツなど、酸味のある食材に多く含まれており、さっぱりとした味わいが暑い日の食事にも合います。

ビタミンとミネラル

ビタミンとミネラルは、エネルギーをつくるために欠かせない大切な栄養素です。

特に夏場は汗と一緒にミネラルが失われやすく、疲れやだるさを感じやすくなることがあります。

ビタミンB群は体力回復に、ビタミンCは免疫力の維持に役立つといわれています。

また、ミネラルは筋肉や神経の働きを支える役割も担っています。

野菜、果物、海藻、魚介類などを取り入れながら、栄養バランスを整えることが大切です。

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や血液、免疫細胞を作るために必要な栄養素です。

夏バテで食欲が落ちると、たんぱく質が不足しやすくなり、体力や抵抗力が下がってしまうおそれがあります。

肉、魚、卵、大豆製品など、消化しやすい食材を選び、毎日の食事に少しずつ取り入れていきましょう。

やわらかい煮物や、あっさりした冷奴など、体に負担をかけない調理法を工夫することもポイントです。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、訪問鍼灸リハビリマッサージを通じて、心と体の両面からやさしく支えるケアを心がけております。

お体の不調をやわらげることで、精神的な安定を促し、より快適な日々を過ごしていただけるよう努めております。

ご自宅や滞在先に伺い、リラックスできる環境で施術を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

まとめ

夏の暑さは、体にも心にもさまざまな影響を及ぼします。

とくに高齢者の方にとっては、小さな変化が思わぬ体調不良につながることもあるため、日々のケアが支えになります。

みなさまに、心地よい時間を過ごしていただけますよう願っております。

監修:市姫 久春
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 株式会社さくらリバース 訪問鍼灸リハビリマッサージ事業部
   

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