ユニットケアとは?考え方から課題まで解説します

監修:森田 進
2024年07月22日
ユニットケアとは?考え方から課題まで解説します
ユニットケアは、高齢者施設における新たなケア方式として注目されています。この記事では、ユニットケアの基本的な考え方から具体的な要素、さらに従来の介護との違いや直面する課題までを解説します。

個室空間と小グループでの生活の特徴や、入居者と職員にとってのメリットやデメリットも詳述します。

ユニットケアがどのような人に適しているのか、またその課題を乗り越える方法についても探りますので、介護に関心がある方はぜひ読み進めてください。
目 次

ユニットケアとは

ユニットケアとは、高齢者や障害者などのケアが必要な人々が施設内で少人数のグループ、すなわち「ユニット」を形成し、その中で共同生活を送るケアの形式です。このケア方式は、個々の利用者のプライバシーを尊重し、より個別化されたサポートを提供することを目的としています。ユニット内で生活することによって、利用者同士の交流も促され、より家庭に近い環境での生活が可能になります。

ユニットケアは、スタッフが常にユニットに配属されるため、利用者一人ひとりのニーズや状態を深く理解し、継続的かつ密接なケアが行えるという特徴があります。これにより、利用者の自立を支援し、生活の質の向上を図ることが可能です。また、ユニットごとに日々の活動が計画されるため、より柔軟で利用者中心のケアが提供されることが期待されます。

ユニットケアの要素

ユニットケアの要素は、環境、暮らしのサポート、施設運営の仕組みの三つから成り立っています。

まず、ハード面としての環境は、居住空間の充実が求められます。そして次に、ソフト面として暮らしのサポートが重要です。さらに、システム面では施設運営の効率化と透明性が欠かせません。

これらの要素がバランス良く機能することで、住む人々にとって快適な生活環境が実現できるのです。

ハード(環境)

ユニットケアのハード面である環境については、まず居住空間の質を高めることが重要です。

例えば、住居のプライバシーを保つために個室を設けることが効果的です。また、バリアフリー設計の導入によって、移動の自由を確保することも必要です。

これに加えて、共有スペースの充実も欠かせません。住む人々が共に交流できるリビングやダイニングの設置は、心地よいコミュニティづくりに寄与するからです。最後に、自然光が差し込む設計も、精神的な健康に良い影響を与えるでしょう。

ソフト(暮らしのサポート)

ソフト面である暮らしのサポートについては、住む人々の生活の質を向上させるためのケアが不可欠です。

例えば、日常的な介護サービスの提供はもちろん、一人ひとりのニーズに応じたサポートが必要です。さらに、レクリエーション活動や社会参加の機会を提供することも重要です。これにより、住む人々の生きがいを見出すことができるでしょう。

また、家族との連携も大切です。家族の意見を取り入れたケアプランを策定することで、より個別化されたサポートが実現します。心と体の健康を維持するための栄養バランスの取れた食事の提供も重要です。

システム(施設運営の中での仕組みづくり)

施設運営の中での仕組みづくりは、ユニットケアを円滑に進めるために欠かせない要素です。

まず、スタッフ間の情報共有がスムーズに行えるシステムの構築が必要です。これにより、一貫性のあるケアが提供できるでしょう。

次に、定期的な研修や勉強会を通じて、スタッフのスキルアップを図ります。これは、高品質なサービスを維持するために重要です。

また、利用者とその家族からのフィードバックを取り入れる仕組みも欠かせません。最終的には、これらの要素が連携しあい、効率的かつ透明性の高い施設運営が実現されるのです。

従来の介護とユニットケアの違い

従来の介護とユニットケアでは、いくつかの重要な違いがあります。

まず、環境の面での大きな違いがあります。従来型介護施設では多くの場合、多床室が一般的で、一つの部屋に4名程の入居者が共に生活しています。これに対して、ユニットケアでは、少人数で構成されるユニットごとに個室や少数の共有スペースが設けられており、プライバシーが保護され、家庭的な環境が提供されます。

次に、ケアの方法にも違いがあります。従来型の介護では、多くの入居者に対して一斉に同じスケジュールでケアが提供されることが一般的です。これは効率的な運営を可能にしますが、個々の入居者のニーズや好みに柔軟に対応することは難しいです。一方で、ユニットケアでは、各ユニット内で個別化されたケアが行われ、入居者一人ひとりの生活リズムや好みに合わせてケアが提供されます。

さらに、利用者の生活の質に関しても違いがあります。ユニットケアでは、入居者がより自立した生活を送りやすい環境が整えられており、社会的な交流や活動が促されます。これにより、生活の質が向上し、精神的な健康も保たれやすくなります。

このようにユニットケアは入居者の個性を尊重し、より質の高いパーソナライズされたケアを提供することを目指しています。

要介護1

要介護1は、日常生活において常に何らかのサポートが必要な状態です。具体的には、食事や入浴、着替えなどが一人では難しくなり、定期的な介護が求められます。

体力や判断力の低下が進んでいるため、専門的な介護サポートが役立ちます。この段階では、介護の頻度や質が重要になり、家族や介護者による継続的な支援が求められます。要介護1に適した介護計画を作成することで、生活の質を維持することが可能です。

ユニットケアの課題

ユニットケアは、高齢者や障害者の生活をより快適にするためのケア形式ですが、いくつかの課題があります。この制度は個人のニーズに対応するためのものですが、人員配置や設備投資に課題が残ります。それぞれの施設が持つリソースに応じて対策が必要です。そのため、現場の声に耳を傾け、解決策を見つける姿勢が重要となります。

人員配置基準が厳しい

ユニットケアの中で特に課題となるのは、人員配置基準の厳しさです。政府が定める基準に達するためには、多数の職員を雇用しなければなりません。そのための財政的負担が大きく、運営に支障が出ることが多いです。雇用だけでなく、人材の育成や労働環境の整備など、質の高いケアを維持するための努力が必要になります。

さらに、人員配置が厳しいと、職員一人ひとりにかかる負担も増えます。その結果、職員の疲労やストレスが蓄積し、離職率が高くなる傾向にあります。それによって、新しい職員の採用と教育コストがさらに増大します。この連鎖的な問題への効果的な対処法が求められます。

設備投資が高額である

設備投資の高額さもユニットケアにおける大きな課題です。特に、バリアフリーの施設や最新のケア機器を導入するには、多大なコストがかかります。国や自治体からの補助金を受けても、施設の運営者が十分に資金を用意することは難しいです。それゆえ、費用負担の重さが運営を圧迫します。

また、設備の更新が必要な場合もありますが、そのたびに多額の費用がかかります。新しい技術や設備を導入することで、ケアの質が向上しますが、運営者にとっては大きな経済的リスクとなります。そのため、計画的な資金運用と効率的な設備投資が求められます。

ユニットケアが向いている人

ユニットケアがどのような方に適しているのかを考えることは、介護サービスを選ぶ際に非常に重要です。それでは、ユニットケアが向いている人の特徴について、具体的に見ていきましょう。

入居者

ユニットケアが特に向いている入居者は、以下のような特徴を持つ方々です:

  • プライバシーを重視する方
    ユニットケアでは、個室が基本で、プライベートな空間が保障されます。そのため、自分の時間を大切にしたい方や、プライバシーを確保しながらケアを受けたい方に適しています。
  • 自立を望む方
    個別対応が可能なユニットケアでは、できるだけ自立した生活を支援します。自分でできることは自分で行いたいと考える方や、日々の活動において自分のペースで行動したい方に最適です。
  • 社交的な性格の方
    ユニットごとに設けられた共有スペースでは、他の入居者との交流が促されます。そのため、人とのコミュニケーションを楽しむ社交的な方にも適しています。
  • 個別のケアを求める方
    ユニットケアのスタッフは、入居者一人ひとりのニーズに応じたケアを提供します。そのため、個々の健康状態や好みに合わせた細やかなサービスを求める方にとっても適した環境と言えるでしょう。

これらの特徴を持つ方々は、ユニットケアのもたらす個別性とコミュニティの両方の利点を享受することができるため、ユニットケアが非常に向いていると考えられます。

職員

ユニットケアが向いている職員は、次のような特性を持つ方々です:

  • 個別ケアに情熱を持つ人
    ユニットケアでは、入居者一人ひとりのニーズに合わせた個別のケアが中心です。そのため、個々の入居者に寄り添い、細やかなサポートを提供することに情熱を持っている職員に非常に適しています。
  • コミュニケーション能力が高い人
    ユニットケアでは、入居者だけでなく、他のスタッフや入居者の家族とも密にコミュニケーションを取ることが求められます。明確で効果的なコミュニケーションスキルを持つ人は、このような環境で特に力を発揮できます。
  • フレキシブルな対応ができる人
    ユニットケアの環境は、入居者の状態やニーズに応じて日々変わります。そのため、柔軟性を持って迅速に対応できる能力が求められるため、適応力のある職員に適しています。
  • チームワークを重視する人
    ユニット内でのケアは、スタッフ間の協力に大きく依存します。チームの一員として協力し、他の職員と連携を取りながら効果的に働くことができる人は、ユニットケアで成功する可能性が高いです。
  • 継続的な学習と成長を求める人
    ユニットケアは、最新の介護技術や方法が導入されることが多く、常に学び続ける必要があります。自己啓発を続け、専門知識を深めたいと考える職員にとって、充実した職場環境を提供します。

これらの特性を持つ職員は、ユニットケアの環境で特に有効に活動でき、入居者に対して質の高いケアを提供することができるでしょう。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、在宅など、お住まいの場所でのリハビリや鍼灸、マッサージサービスにより、一人ひとりの生活環境と状態に合わせたパーソナライズされたケアを実現しています。安心して生活できる空間で、個々のニーズに応じた支援を行い、皆様の健康をサポートいたします。

わたしたちは、身体的なリハビリはもちろん、心の健康も重視しており、患者様一人一人が自分らしく豊かな生活を送れるサポートができるよう努めております。ご自宅でのケアが必要な方、健やかな毎日を送りたいとお考えの方は、お気軽に、ぜひご相談ください。

まとめ

ユニットケアは、ただの介護方法ではなく、それぞれの人が尊厳を持って生きるための選択です。わたしたち一人ひとりが自分らしさを失わずに生活できるように、このケア方法がどのように役立つのかを理解し、支持することが大切です。ケアを受ける人も、提供する人も、一緒に学び、成長し、お互いを尊重することが、より良い社会を作る第一歩です。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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