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訪問介護の「身体0」とは?身体01・02との違いなど解説

監修:森田 進
2025年03月31日
訪問介護の「身体0」とは?身体01・02との違いなど解説
訪問介護の「身体0」は、短時間で必要な支援を受けられるサービスとして注目されています。

しかし、「身体01」「身体02」との違いや、どのような利用者が対象となるのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、それぞれの違いや算定要件、メリット・デメリットを解説します。
目 次

訪問介護の身体介護とは?

生活支援と間違われやすい「身体介護」には、利用者の見守りや声かけが含まれます。日常生活動作の向上を目的とした見守りや声かけは「身体介護」として扱われますが、単なる安否確認や会話だけの見守りは「生活支援」に分類されます。

以下は「身体介護」に該当する見守りや声かけの具体例です。

・利用者と一緒に調理や洗濯物を干す、畳むなどの生活動作を行いながら、転倒を防ぐための安全確認や体調の観察を行う
・利用者の意思を尊重しつつ、買い物の補助や冷蔵庫内の食品の賞味期限確認を行う
・入浴や衣類の着脱を見守りながら、体調変化の確認や転倒防止の声かけを行う
・起床や移動、歩行の際に見守りを行い、必要に応じて体調の確認や安全確保の声かけをする

このように、利用者の動作を支えながら、必要な介助やサポートを行うことが「身体介護」として分類されます。

訪問介護の「身体0」とは?

訪問介護の「身体0」は、1回あたり20分未満の短時間の身体介護サービスを指します。

通常の身体介護よりも提供時間が短く、起床や就寝の介助、排泄のサポート、服薬の確認など、日常生活の中で特に必要とされる動作を重点的に支援します。

特に、認知症の方の生活リズムを整えるための支援や、終末期にある方への体調管理などに適しており、短時間であっても定期的に訪問することで、利用者が安心して過ごせる環境を作ることが目的です。

訪問介護の「身体0」には、さらに「身体01」と「身体02」の2つの区分があり、訪問時間の間隔やサービスの提供条件によって分類されています。

「身体01」と「身体02」の違い

訪問介護の「身体0」は、「身体01」と「身体02」の2種類に分かれています。どちらも20分未満の短時間介護ですが、訪問間隔や算定の仕組みに違いがあります。

「身体01」とは

「身体01」は、2時間ルールが適用される訪問介護です。これは、同じ利用者に対して複数回訪問する場合、訪問の間隔が2時間以上空いていないと、各訪問時間を合算して1回分の介護報酬として計算される仕組みです。

例えば、午前9時に「身体01」のサービスを提供し、次の訪問が午前10時半であれば、それぞれ別々に算定されます。しかし、次の訪問が午前10時で間隔が2時間未満の場合は、訪問時間が合算されてしまいます。

「身体02」とは

「身体02」は、2時間ルールが適用されない訪問介護です。そのため、1日に何度でも短時間の訪問介護を行い、それぞれを個別に算定できます。

この仕組みは、ターミナルケアや認知症の方の頻回訪問を想定したものです。例えば、定期的に体位交換をする必要がある場合や、短時間ごとに排泄の介助が求められるケースでは、「身体02」を利用することで適切な支援を受けることができます。

「身体01」と「身体02」は、主に訪問間隔によって使い分けられます。1日に何度も短時間で訪問し、2時間未満の間隔で介護が必要な場合は「身体02」、ある程度間隔を空けて訪問できる場合は「身体01」が適用されます。

訪問介護の身体0の算定要件

訪問介護の身体0を利用するためには、一定の算定要件を満たす必要があります。特に、身体0には「身体01」と「身体02」の2つの区分があり、それぞれ算定基準が異なります。

身体0の算定要件

身体0は、1回あたりのサービス提供時間が20分未満の短時間介護であり、主に起床介助、排泄介助、服薬確認、体位交換などの支援を目的としています。算定要件としては、以下の点が挙げられます。

・利用者が要介護認定を受けていること
・生活リズムの維持や終末期ケアなど、短時間の支援が必要と判断されていること
・訪問介護員が適切な介護を提供し、必要な記録を作成していること

このうえで、身体0が「身体01」または「身体02」として算定されるかどうかが決まります。身体01と身体02は、訪問の頻度や2時間ルールの適用有無によって分類されます。

身体01の算定要件

身体01は、2時間ルールが適用される訪問介護のため、同じ利用者に対して短時間の訪問を複数回行う場合は、前回の訪問から2時間以上の間隔を空けなければ、それらの訪問時間が合算されてしまいます。

例えば、午前9時に身体01のサービスを提供し、次の訪問が午前10時の場合、間隔が2時間未満のため合算されて1回分の算定となります。しかし、次の訪問が午前11時ならば、それぞれ別々に算定されます。

このルールにより、短時間の訪問を1日に何度も利用する場合は、訪問の間隔を調整することが求められます。

身体02の算定要件

身体02は、2時間ルールが適用されない訪問介護のため、1日に何度でも短時間の訪問を行うことが可能です。算定要件には以下のような条件があります。

・要介護1または2で認知症の診断を受けている利用者
・要介護3以上で、日常生活の自立度が低い利用者
・サービス担当者会議で、週5日以上の頻回訪問が必要と判断された利用者

このように、身体02は頻回訪問が求められるケースに適用されるため、ターミナルケアや認知症の利用者に対する支援として活用されています。

訪問介護における「身体0」のメリット

訪問介護の身体0は、短時間の身体介護を必要とする利用者にとって、大きなメリットがあります。特に、認知症の方の生活リズムを整えたり、終末期ケアに対応したりする場面で効果的に活用されています。

また、定期的な訪問による安心感や、利用料金が明確である点も利用者やその家族にとって大きな利点となります。

認知症利用者の生活リズム改善

認知症の方は、昼夜逆転や生活リズムの乱れが生じやすく、日常生活に支障をきたすことがあります。身体0のサービスを活用することで、短時間でも定期的な訪問を受け、必要な声かけや介助を行うことで、生活リズムを整えることが可能になります。

例えば、朝の起床時間に合わせて訪問し、着替えや食事の準備をサポートすることで、一日のスタートをスムーズに切ることができます。また、日中の訪問では、軽い体操や水分補給の促しなどを通じて、健康的な生活を維持する手助けをすることもできます。

夜間も、就寝前のケアや服薬確認を行うことで、安定した睡眠を促し、夜間の徘徊を防ぐ効果も期待できます。定期的な訪問によって、認知症の方の混乱を減らし、生活のリズムを整えることが可能になります。

ターミナルケアにおける支援

身体0は、終末期のケアが必要な方にも適したサービスです。医師から回復の見込みがないと診断された方に対し、訪問介護員が定期的に体調確認や体位交換を行い、最期まで自宅で安心して過ごせるよう支援します。

終末期の利用者は、身体の負担を軽減するために頻繁なケアが必要になることが多く、短時間の訪問でも適切なケアを受けることが大切です。例えば、一定時間ごとの体位交換や排泄のサポート、口腔ケアなどが行われることで、苦痛を和らげ、できる限り快適な環境で過ごせるようになります。

また、家族の精神的負担を軽減するという点でも大きな役割を果たします。訪問介護員がこまめに訪問することで、家族だけでの介護負担を減らし、安心して見守ることができるようになります。

定期的な訪問による安心感

身体0の訪問は、短時間ながら定期的に行われるため、利用者にとって安定したサポートを受けられるという安心感につながります。

特に、決まった時間に訪問することで、利用者が「この時間になれば介護員が来てくれる」という安心感を持つことができ、日常生活の中での不安を軽減できます。

利用料金の明確さ

利用料金が明確である点も、身体0のメリットのひとつです。

短時間の訪問ごとに料金が計算されるため、利用した分だけ費用が発生し、家計の管理もしやすくなります。特に、頻回訪問が必要な場合でも、訪問回数を調整しながら無理のない範囲でサービスを活用できる点は、利用者やその家族にとって大きな利点となります。

訪問介護における「身体0」の注意点

「身体0」を利用する際には、以下のような注意点があります。

・単なる安否確認のみでは算定対象にならない
・利用者から特定の生活援助を依頼され、それに対応した場合も算定されない

「身体0」は、排泄介助や起床介助、服薬介助などの短時間かつ定期的な身体介護を提供するサービスです。そのため、安否確認のみや、利用者からの単発的な生活援助の依頼に対応するだけでは、算定要件に該当しません。

また、訪問時間外に依頼された居室からリビングへの移動介助や、一部の居室清掃など、継続的な訪問を必要としない支援についても、「身体0」としての算定はできません。ただし、緊急時訪問介護加算が適用されている場合は、訪問時間外の対応が「身体0」の算定要件に含まれることがあります。

例えば、利用者やご家族からの要請で、訪問時間外に身体介護を提供した場合、加算の対象となることがあります。たとえば、「トイレで転倒し、動けなくなったため助けてほしい」といった緊急対応が必要なケースでは、「身体0」の算定要件に該当します。

訪問介護事業の法改正

訪問介護の制度は、より利用者のニーズに合ったサービスを提供できるよう、定期的に見直しが行われています。特に、2012年度と2015年度の介護報酬改定では、訪問介護の仕組みに大きな変更がありました。

2012年度の法改正

2012年度の介護報酬改定では、訪問介護の仕組みに新しい考え方が導入されました。

そのひとつが「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」というサービスの新設です。これは、短時間で頻回に訪問し、利用者の生活リズムを整えたり、緊急時に対応したりすることを目的としています。

また、同じ年に「身体0」という区分が新たに設けられました。これは、1回あたり20分未満の短時間の身体介護を提供する仕組みで、特に認知症の方や終末期の方への支援を目的としています。

当初、「身体0」のサービスを提供できるのは、要介護3以上の利用者を対象とした定期巡回サービスを実施する事業所に限られており、利用できる時間帯も朝6時から夜10時までと制限がありました。

2015年度の法改正

2015年度の介護報酬改定では、「身体0」の提供条件が大きく緩和されました。特に、以下のような変更が行われています。

・「身体0」の提供条件の撤廃
 定期巡回サービスを行っていない事業所でも提供が可能になった
・訪問間隔に関するルールの導入
 同じ利用者に対する訪問は、前回の訪問から2時間以上の間隔を空けることが義務付けられた

この改正により、短時間の訪問介護サービスがより利用しやすくなり、「身体0」の利用者も増加しています。特に、生活リズムが乱れがちな認知症の方や、ターミナルケアが必要な方への対応がしやすくなり、訪問介護の現場に大きな影響を与えました。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、専門知識を持つスタッフがご自宅や滞在先へ伺い、一人ひとりに寄り添ったリハビリやケアを提供しています。身体機能の維持をサポートし、心の安定を大切にしながら、自立した生活を支え、ご家族の負担を軽減するお手伝いをいたします。

「どのようなサポートを受けられるのか知りたい」「自宅でのケアに不安がある」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。安心してお過ごしいただけるよう、わたしたちがしっかりとサポートいたします。

まとめ

訪問介護の「身体0」は、短時間の身体介護を必要とする方にとって大切な支援のひとつです。身体01や身体02との違いを理解し、利用者の状態に合ったサービスを選ぶことで、日々の生活をより快適に過ごすことができます。

認知症の方の生活リズムを整えたり、終末期のケアを支えたりと、短時間でも必要なサポートを受けることで、心身の負担を軽減できます。また、定期的な訪問があることで安心感も生まれ、ご家族にとっても頼れる存在となります。どのサービスを選べばよいか迷われたときは、まずは専門家に相談してみることが大切です。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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