訪問リハビリ費用の料金体系と計算方法
訪問リハビリの料金は、介護保険の単位制度に基づいて設定されています。基本となる料金体系を把握することで、実際の負担額を事前に計算することができます。
介護保険適用時の基本料金
介護保険による訪問リハビリの基本料金は、2024年度改定後、1回20分を基準として308単位が設定されています。この単位数に地域の単価を乗じた金額が総費用となり、利用者の負担割合(1割から3割)に応じて自己負担額が決定される仕組みです。
具体的な計算例として、1単位10円・1割負担の地域の場合、20分間のリハビリで約308円、40分間では2倍の約616円、60分間では3倍の約924円となります。利用時間が20分単位で増加するごとに、料金も比例して増加する明確な料金体系が採用されていて、週に最大6回まで(40分なら週3回まで)の利用が可能です。
参考:厚生労働省
地域区分による単位数の違い
訪問リハビリの料金は、全国一律ではなく地域区分によって差異があります。厚生労働省が定める地域区分に応じて、1単位あたりの単価が10円から11.40円程度まで設定されており、都市部ほど高い傾向があります。
たとえば、東京23区などの1級地では1単位11.40円、地方の一般地域では10円といった具合に、同じサービス内容でも居住地域によって実際の支払額に違いが生じることとなります。3級地に該当する名古屋市では1単位10.83円、5級地の多くの市町村では1単位10.55円といったように、地域格差が料金に反映される仕組みです。利用前には、お住まいの地域の単価確認が必要です。
参考:厚生労働省
制度別で見る訪問リハビリ費用の違い
介護保険、医療保険、自費といった異なる制度を利用することで、訪問リハビリの費用や利用条件が変わってきます。各制度の特徴を把握することで、最適な選択が可能となります。
医療保険
医療保険による訪問リハビリでは、「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」として1回(20分以上)あたり300点が設定されています。1点を10円として計算すると、1回3,000円となり、利用者の自己負担割合(1割から3割)に応じて実際の支払額が決定されます。
40分利用する場合は600点(6,000円)となり、週6単位(1回20分として週6回、または40分なら週3回)までの利用が可能とされています。医療保険の対象となるのは、要介護認定を受けていない方や、急性増悪期の方などが挙げられます。主治医からの指示が必要で、月1回の診察を受けることが条件となっています。
自費リハビリ
自費リハビリは保険制度を利用せず、全額自己負担となる代わりに、回数や時間の制限がない柔軟なサービスが受けられます。2024年の相場として、60分あたり8,000円から30,000円程度と幅広い料金設定が見られ、施設の専門性や地域によって差が生じています。
訪問型の自費リハビリでは、60分11,000円程度が一般的な相場となっており、交通費や消費税が含まれる場合が多くなっています。月額プランを設定している事業所も多く、月2回コース(各60分)で20,000円から26,000円程度の設定が見られます。
保険制度では対応できない専門的な訓練や、集中的なリハビリを希望される方に選ばれています。初回体験として割引価格を設定している事業所もあるため、複数の選択肢を検討されることをおすすめいたします。
介護予防サービス(要支援)
要支援1・2の方を対象とした介護予防訪問リハビリテーションでは、2024年度改定後、1回あたり298単位が設定されています。要介護者向けの308単位より10単位低く、予防に重点を置いたサービス提供が想定された設定となっています。
1単位10円・1割負担の地域では1回約298円となり、週1回程度の利用が標準的です。機能の維持や軽度の改善を目的としており、12か月を超える長期利用では減算が適用される場合があります。
地域包括支援センターとの連携により、他の介護予防サービスとの組み合わせも検討されることが多く、包括的な支援体制の中で提供されるサービスとなっています。定期的な評価により、状態の変化に応じたサービス調整が行われる仕組みとなっています。
訪問リハビリ費用に関わる加算制度
訪問リハビリテーションの費用構造において、基本報酬に加えて利用者の状態や事業所の体制に応じた加算制度が設けられています。これらの加算は、質の高いリハビリテーションの提供と事業所の運営基盤強化を目的としており、適切な算定により利用者により良いサービスを提供する為のものになります。
令和6年度の介護報酬改定では、認知症への対応力向上や多職種連携の推進を重視した加算の新設・見直しが行われています。
リハビリテーションマネジメント加算
リハビリテーションマネジメント加算は、計画的で継続的なリハビリテーション提供を評価する加算として位置づけられています。この加算は、4つの段階(Ⅰ~Ⅳ)に区分され、区分が上がるほど、多職種の連携や医師の積極的な関与、情報システムの活用など、より充実した体制が必要とされています。
単位数構成
Ⅰ:230単位/月
Ⅱ:280単位/月
Ⅲ:320単位/月
Ⅳ:420単位/月
介護予防訪問リハビリテーション:230単位/月
主な算定要件
全区分共通:リハビリテーション計画の作成が必須
Ⅱ~Ⅳ:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による利用者・家族への説明実施
Ⅱ~Ⅳ:リハビリテーション会議の開催等による多職種連携
Ⅲ・Ⅳ:医師による利用者・家族への直接説明
Ⅳ:VISITシステムへのデータ提出(3か月に1回を限度)
この加算制度により、単なるリハビリテーションの実施にとどまらず、利用者の状況に応じた計画的なマネジメントと継続的な評価・見直しの実施が促進されています。
参考:厚生労働省
短期集中リハビリ実施加算
短期集中リハビリ実施加算は、退院直後や介護認定を受けた初期の利用者に対する集中的なリハビリテーション提供を評価する制度として設けられています。令和6年度改定では、従来の短期集中リハビリ実施加算に加え、認知症に特化した新たな加算が創設されました。
従来の短期集中リハビリ実施加算
単位数:200単位/日
対象期間:退院(退所)日または要介護認定日から3か月以内
実施要件:1週間につき概ね2日以上、1日あたり20分以上のリハビリテーション実施
前提条件:リハビリテーションマネジメント加算の算定が必要
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(令和6年度新設)
単位数:240単位/日
対象:医師により認知症であると判断され、リハビリテーションによる生活機能改善が見込まれる利用者
実施期間:退院日または訪問開始日から3か月以内
実施上限:週2日を限度
算定条件:過去3か月間に当該加算を算定していない場合に限る
これらの加算制度は、利用者の機能が最も回復しやすい時期に集中的なリハビリを行うことで、効果的な機能改善と生活自立度の向上をめざす仕組みです。なかでも新たに設けられた「認知症短期集中リハビリ実施加算」は、認知症の方に対する専門的な支援を強化し、日常生活での機能維持や改善につながることが期待されています。
参考:厚生労働省
サービス提供体制強化加算
サービス提供体制強化加算は、経験豊富なリハビリテーション専門職の配置により質の高いサービス提供体制を確保している事業所を評価する制度として設けられています。この加算は、利用者へ質の高いリハビリを届けることを目的に、事業所が人員体制を整え、より充実したサービス提供を進められるよう促す役割を担っています。
加算区分と単位数
サービス提供体制強化加算(Ⅰ):6単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅱ):3単位/回
算定要件
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)では、サービス提供にあたる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち勤続年数7年以上の職員が1人以上在籍していることが要件となります。一方、サービス提供体制強化加算(Ⅱ)では、勤続年数3年以上の職員が1人以上在籍していることが条件となっています。
勤続年数の算定においては、当該事業所での勤務年数に加え、同一法人が経営する他の介護サービス事業所等における直接サービス提供職員としての勤務年数を含めることができるとされています。
参考:厚生労働省
移行支援加算
移行支援加算は、リハビリテーションの効果により利用者の日常生活動作(ADL)や手段的日常生活動作(IADL)が向上し、他のサービスへの移行や一般介護予防事業等への参加が可能となった場合に算定される加算制度です。この加算は、効果的なリハビリテーションの提供により利用者の自立支援を促進することを目的としています。
単位数と算定期間
移行支援加算:17単位/日
算定期間:サービス終了月に1か月を限度として算定
算定要件
移行支援加算の算定には、厚生労働大臣が定める基準に適合する事業所として都道府県知事に届出を行うことが前提となります。具体的には、リハビリテーションによって利用者の身体機能や生活機能が改善し、指定通所介護や認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護などの他の介護サービスへの移行、または一般介護予防事業等への参加が可能となった場合に算定されます。
この加算は、令和3年度の介護報酬改定で従来の「社会参加支援加算」から名称が改められ、リハビリの最終目標である社会参加の実現を明確に評価する制度として位置づけられています。事業所には、利用者の機能改善を適切に評価しながら、よりふさわしいサービスへ円滑に移行できるよう支援する役割が求められています。
参考:厚生労働省
知っておきたい訪問リハビリ費用の注意点
訪問リハビリテーションの利用を検討する際、基本的な介護報酬以外にも様々な費用が発生する可能性があります。これらの費用について事前に理解しておくことで、予期しない出費を避け、適切なサービス利用計画を立てることができます。
基本料金以外にかかる費用
訪問リハビリテーションでは、介護保険の基本料金以外にも実費負担が発生する項目があります。主な費用として、通常の事業実施地域を超える場合の交通費、サービス提供時に使用する水道・ガス・電気等の光熱費が挙げられます。また、口座振替を選択した場合の事務手数料(月額99円程度)や各種証明書の発行手数料も必要となることがあります。
介護保険の範囲を超えるサービス(週6回の上限を超える追加リハビリや延長サービス、家族指導等)については全額自費となり、60分あたり7,000円から12,000円程度で設定されることが一般的とされています。
キャンセル料
訪問リハビリテーションのキャンセル料は、各事業所が独自に規定を設けることができる実費負担として位置づけられています。一般的な規定として、前日までのキャンセル連絡は無料、当日キャンセルの場合は利用者負担金の50%から100%の料金が設定されていることがあります。
利用者の体調不良や入院といったやむを得ない理由による当日キャンセルでは、キャンセル料が免除される場合があります。事業所は重要事項説明の場で、キャンセル料に関する取り扱いを利用者や家族にわかりやすく説明し、事前に同意を得ておくことが求められています。
住環境整備にかかる追加費用
住環境整備の評価・相談・助言は基本的な訪問リハビリ料金に含まれますが、実際の改修工事や福祉用具購入については別途費用が発生します。介護保険制度では住宅改修費の支給限度額20万円、福祉用具購入費の年額10万円の制度を活用できます。
利用者の負担割合に応じて自己負担額が決まり、例えば15万円の手すり設置工事で1割負担の場合は1万5千円の自己負担となります。住環境の詳細評価や図面作成の同行などについては、事業所によって1回あたり3,000円から10,000円程度の追加料金が設定される場合があります。
初回評価費や診療情報提供書の費用
他の医療機関の医師が訪問リハビリテーション事業所に診療情報提供書を作成する場合、診療情報提供料として医療保険から算定されます。診療情報提供料Ⅰは250点(2,500円)、診療情報提供料Ⅱは500点(5,000円)となっており、利用者の医療保険負担割合に応じた自己負担が発生します。
初回評価は基本的に通常料金に含まれますが、詳細評価や他職種連携会議が必要な場合は追加料金が設定されることがあります。診療情報提供を依頼する際は、事前に利用者・家族へ費用説明と同意取得が重要とされています。
さくらリバースの紹介

わたしたち「さくらリバース」では、マッサージ・整体・鍼灸を融合した総合治療による、お一人おひとりの体調や生活に寄り添ったケアをご提供しております。
専門知識を持つスタッフがご自宅やご滞在先へ伺い、身体機能の維持と心の安定に目を向けながら、自立した生活を続けていただけるようサポートさせていただきます。
ご家族の負担を軽減するためのきめ細かな支援も心がけております。自宅でのケアに不安がある方や、どんなサポートが受けられるのか知りたいとお感じの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
訪問リハビリテーションの費用構造は、基本報酬に各種加算を組み合わせた仕組みとなっており、利用者の状態や事業所の体制により算定される項目が異なります。
基本料金以外にも交通費やキャンセル料、住環境整備に関わる追加費用など、介護保険の給付対象外となる実費負担項目も存在するため、事前の確認が重要となります。
