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高齢者の冬の介護で気をつけるべきことは?日常生活から介護の注意点まで解説します

監修:森田 進
2025年11月25日
高齢者の冬の介護で気をつけるべきことは?日常生活から介護の注意点まで解説します
冬になると、お年寄りの体調や生活リズムが心配になりますよね。冷えや乾燥、感染症など、ちょっとした環境の変化が大きな負担になることもあります。

この記事では、寒い季節を笑顔で過ごすための介護と暮らしの工夫を詳しくご紹介します。
目 次

高齢者の冬の介護について

冬の室内環境が整っていないと、高齢者の健康に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。

世界保健機関では、冬は室温を18度以上に保つことをすすめています。家の中の温度差が少ないほど、ヒートショックや低体温症を防ぎやすくなるためです。暖房器具や断熱の工夫を取り入れ、どの部屋でも心地よく過ごせる環境を整えることが大切です。

暖房器具と室温・湿度のバランスを整える

冬の室温は、18度以上を目安に保つことが健康維持につながります。国土交通省の調査でも、居間の室温が18度を下回る家では血圧が上がりやすく、循環器系の病気が増える傾向があると報告されています。寝室との温度差が大きいと、起きた直後に血圧が急に上がることもあります。

また、湿度が下がりすぎると喉の乾燥や風邪の原因になります。冬は40〜60%を目安に保つと快適です。エアコンやヒーターを使う際は、温度計と湿度計を置いて数値を確認しながら調整しましょう。感覚だけに頼らず、数字で確認することが、体にやさしい住環境づくりにつながります。

浴室・脱衣所・トイレでヒートショック予防をする

浴室や脱衣所、トイレは冷え込みやすく、急な温度変化がヒートショックを招く原因になります。入浴中の事故は冬に多く、その多くが血圧の急変によるものです。

入浴の前には浴室や脱衣所をあらかじめ暖め、湯温は41度以下、入浴時間は10分ほどを目安にしましょう。トイレには小型ヒーターを設置すると、居間との温度差を抑えられます。家全体の温度をなるべく均一に保つことで、体への負担を減らし、安全で落ち着いた暮らしを守ることができます。

寝室・廊下・玄関での冷え対策をする

寝室や廊下、玄関は暖房の届きにくい場所です。国土交通省の調査では、居間が18度、寝室が10度の場合、両方を18度に保った場合に比べて、起床時の血圧が高くなる傾向が確認されています。

就寝前にはエアコンのタイマーで部屋を温めておくと、朝の冷えを防げます。廊下にはカーペットやマットを敷くと足元が冷えにくくなり、玄関には断熱性のあるカーテンや間仕切りを使うのも効果的です。こうした工夫により、家の中の温度差がやわらぎ、安心して過ごせる冬になります。

高齢者の冬の介護における体調管理

冬は気温の低下と乾燥で、体調を崩しやすい季節です。加齢にともない体温調節や免疫の働きが弱まり、感染症や脱水のリスクが上がります。だからこそ、こまめな水分補給と栄養のある食事、そして日々のさりげない声かけで小さな変化を早めに捉えることが大切です。

脱水・風邪・感染症を予防する

冬の水分補給には、常温の水や白湯、温かいお茶など、体を冷やさない飲み物を選ぶことが望ましいです。起床時や入浴の前後、就寝前にコップ1杯の水分を摂る習慣をつけると、脱水を防ぎやすくなります。

良質なたんぱく質をしっかり摂ることは、免疫力の維持に欠かせません。1日の目安は男性で約60グラム、女性で約50グラムです。肉・魚・豆類・卵・乳製品などをバランスよく取り入れ、毎食20グラム前後を意識するとよいでしょう。たんぱく質が不足すると筋肉量や抵抗力が下がり、感染症にかかりやすくなるため、意識して摂ることが大切です。

水分補給と栄養バランスを保つ食事をする

冬の水分補給では、常温の水や白湯、温かいお茶など体を冷やさない飲み物を選ぶことが望ましいです。起床時や入浴の前後、就寝前にコップ1杯の水分を摂る習慣をつけると、脱水を防ぎやすくなります。

良質なたんぱく質の摂取は免疫力の維持に重要です。1日の推奨量は男性60グラム、女性50グラムで、肉・魚・豆類・卵・乳製品をバランスよく取り入れることが大切です。

たんぱく質が不足すると筋肉量や免疫力が低下し、感染症への抵抗力が弱まるため、毎食20グラムを目安に摂取することが望まれます。

体温調整が難しい高齢者への声かけをする

加齢により体温を調節する働きが弱まると、寒さを感じにくくなり、低体温に気づけないことがあります。そのため、まわりの人の声かけがとても重要です。

室温を確認しながら「今日は冷えますね」「もう一枚羽織りましょうか」といった具体的な言葉をかけると、本人も寒さを意識しやすくなります。

また、食事や水分のときに「温かいお茶にしますか」「食欲はいかがですか」と声をかけることで、体調の変化にも気づきやすくなります。こうした日々の小さな会話が、冬を安心して過ごすための支えになります。

高齢者の冬の介護の日常動作をおける注意点

冬は転倒や骨折が増えやすい季節です。高齢者が介護を必要とする原因の約14%は「骨折・転倒」といわれ、特に1月は大腿骨頸部骨折の発生が多い時期です。

住まいの安全を整え、外出や入浴の際の注意点を押さえ、防寒具を正しく使うことで、冬に起こりやすい事故を防ぐことができます。
参考:【厚生労働省】令和4年国民生活基礎調

転倒・骨折を防ぐための注意点

冬は室内でも転倒の危険が高まるため、住まいの見直しが欠かせません。段差や階段には手すりをつけ、滑り止めマットを活用し、電源コードは動線から外しておきましょう。廊下や階段、浴室、トイレなど、移動の多い場所を重点的に点検することが大切です。

夜間は足元灯を設置すると安心です。滑りにくいスリッパを選び、暖房器具や加湿器のコードにも注意を払いましょう。定期的に住まいを点検し、安全な動線を確保することで、転倒事故を防ぎやすくなります。

外出・入浴・夜間移動時の注意点

外出時は、凍結や積雪による転倒に注意が必要です。靴底に滑り止めのある靴を選び、急がず小さな歩幅で歩きましょう。入浴前には脱衣所と浴室をあらかじめ温め、湯温は41度以下、入浴時間は10分以内を目安にすると安心です。

夜間にトイレへ行く際は、起き上がりをゆっくり行いましょう。足元灯で明るさを確保し、暗い中での移動を避けることが大切です。入浴や夜間の移動前に少量の水分を摂ると、血圧の急な変化を防ぎやすくなります。介護をする方は、これらの時間帯を意識して見守りや声かけを行うと安全です。

冬の衣類・寝具・防寒アイテム

防寒アイテムは便利ですが、使い方を誤ると低温やけどを起こすことがあります。特にカイロや湯たんぽ、電気毛布は注意が必要です。44〜50度ほどの温度でも、長時間触れ続けると皮膚が損傷することがあります。

湯たんぽや電気毛布は直接肌に当てず、布団が温まったら電源を切るか取り出しましょう。カイロは衣服の上から使い、同じ場所に当て続けないようにします。衣類は重ね着で調整でき、動きやすいものを選ぶと転倒の予防にもつながります。

高齢者の冬の介護における心の健康について

寒い季節は外出の機会が減りやすく、高齢者の心の健康にも影響を与えます。日照時間が短くなると気分が沈みやすくなり、孤立感や季節性の落ち込みを感じることもあります。

心の健やかさを保つためには、屋内でも楽しめる活動を取り入れ、人とのつながりを大切にしながら、過ごすことが大切です。

寒い季節は室内が多くなるためレクリエーションを工夫する

冬は屋内で過ごす時間が増えますが、体を動かしたり笑顔になれる工夫を取り入れることで、気持ちを明るく保てます。新聞紙を丸めて遊ぶ雪合戦ごっこや福笑い、カルタ、お手玉ホッケーなど、昔ながらの遊びは懐かしさとともに会話のきっかけにもなります。

また、折り紙で雪の結晶や椿を作ったり、季節の塗り絵を楽しむのも良い刺激です。音楽を聴いたり歌を口ずさんだりする時間も、心のリズムを整えてくれます。無理なく続けられることを一緒に楽しみ、できたことを喜び合う時間を大切にするとよいでしょう。介護者は、体調や集中力に合わせてこまめに休憩をとることを心がけましょう。

孤立を防ぐコミュニケーションの工夫

冬は寒さや日照不足の影響で外出の機会が減り、孤立を感じやすくなる時期です。特に一人暮らしの高齢者にとって、人との関わりが減ることは心の不安につながります。

家族や介護者からの声かけや訪問、電話やビデオ通話などの小さな交流が心の支えになります。地域のコミュニティカフェや通いの場などに足を運ぶことも、社会とのつながりを保つ良い方法です。

話をするときは、笑顔やうなずき、自然な身振りを交えて、相手の表情や声のトーンに注意を向けましょう。小さな会話の積み重ねが、安心感と生きがいを生み出します。

認知症ケアにおける冬の過ごし方

認知症のある方にとって、季節の変化を感じる工夫は心の安定につながります。時間や季節の感覚が薄れやすいため、冬の行事や食事に季節感を取り入れることが大切です。

たとえば、冬至のゆず湯や、クリスマス・お正月の飾りつけなどは、視覚や香りを通して季節を感じる良いきっかけになります。室温は18度以上を保ち、寒さから体を守るよう心がけましょう。

また、日光を浴びる時間を増やしたり、軽い運動や人との交流を続けることで、気分の落ち込みを防ぐことができます。介護者は、服装が季節に合っているか、表情や言葉に変化がないかなど、日々の小さなサインに気づけるよう寄り添う姿勢が大切です。

介護の支援制度について

冬の介護にはさまざまな支援制度が整っており、活用することで介護を担う方や家族の負担を軽くすることができます。

介護保険サービスや福祉用具のレンタル、在宅医療や訪問看護の仕組みに加え、災害時の支援も充実しています。制度の内容を理解し、自分や家族の状況に合わせて利用することが、安心できる暮らしにつながります。

介護保険サービスと福祉用具

介護保険では、要支援・要介護の認定を受けた方が、自宅で生活を続けるために福祉用具のレンタルや購入補助を受けることができます。冬の転倒防止や寒さ対策として、手すりの設置や段差の解消などの住宅改修も対象となります。

改修費の上限は20万円で、そのうち7〜9割が支給され、自己負担は1〜3割です。床材の変更や扉の取り替えなど、安全に動ける環境を整える工事が含まれます。

さらに、トイレや脱衣所への暖房設置など、ヒートショックを防ぐ設備に補助を出す自治体もあります。相談はケアマネジャーや地域包括支援センターに行うとスムーズです。

在宅医療・訪問看護

冬は外出が難しくなるため、在宅医療や訪問看護の活用が重要です。訪問看護では、看護師が自宅を訪れ、体調の確認や服薬の管理、リハビリのサポート、家族へのアドバイスなどを行います。

65歳以上の方は介護保険を、要支援・要介護の認定がない方は医療保険を利用できます。気温や環境の変化で体調を崩しやすい時期だからこそ、定期的な訪問によって早めの変化に気づき、重症化を防ぐことが大切です。利用を希望する際は、かかりつけ医やケアマネジャーに相談し、最適な支援体制を整えましょう。

停電・断水など冬の災害に備える

冬は大雪や強風による停電・断水が起こりやすい季節です。在宅介護でも、非常時に備えた準備が欠かせません。

食料や飲料水、常用薬、紙おむつなどは3日分を目安に備蓄しておきましょう。電気を使わない暖房器具や防寒グッズを準備しておくと安心です。電気を必要とする医療機器を使っている場合は、予備電池や手動式の代替品を用意しておくことが大切です。

照明には懐中電灯やランタンを使い、情報収集には乾電池式ラジオを活用します。日頃から自治体の防災情報を確認し、暴風雪などが予想されるときは早めの判断で外出を控えるようにしましょう。

さくらリバースの紹介

さくらリバースでは、鍼灸・マッサージ・整体を組み合わせた総合的なケアを行い、ご自宅や滞在先でのリハビリや体調管理をサポートしています。身体の機能維持はもちろん、心の落ち着きにも寄り添いながら、穏やかな毎日をお過ごしいただけるよう努めております。

ご自宅でのケアに不安を感じている方や、ご家族の支援方法を考えている方は、どうぞお気軽にご相談ください。お一人おひとりの生活に合った形で、無理のないサポートを心がけております。

まとめ

冬の介護では、身体の健康だけでなく、住まいや心の環境づくりも欠かせません。室温や湿度の管理、転倒や感染症の予防、人とのつながりを保つ工夫が、安心して過ごせる日々を支えます。

介護保険制度や福祉用具の活用など、支援の仕組みを理解しておくことも大切です。ご家庭の状況に合わせて環境を整えることで、寒い季節をより穏やかに過ごせる時間が増えていくでしょう。

本記事が、日々の介護や生活を見つめ直すきっかけとなれば幸いです。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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