寝たきりで腰痛になる原因は?痛みを和らげる対処法について解説します。

監修:森田 進
2024年04月08日
寝たきりで腰痛になる原因は?痛みを和らげる対処法について解説します。
長時間の寝たきり生活は様々な身体の不調を招きますが、特に厄介なのが腰痛です。なぜ腰痛は避けられないのか、その原因と解消法を分かりやすくご紹介します。

寝たきり状態が続くと、姿勢の変化が少なくなり腰部に過度な負担がかかります。痛みを和らげるためにできること、予防策にはどんなものがあるのでしょうか?詳しく解説いたします。
目 次

寝たきりで腰痛になる原因

寝たきりの状態が長く続くと、避けがたい問題のひとつに腰痛が挙げられます。人間の身体は動かすことで健やかさを保っていますが、長時間同じ姿勢でいると、筋肉や関節に負担がかかり、結果的に痛みを引き起こす可能性が高まるのです。

腰部は体を支える中心的な役割を果たしており、寝たきりによる一定の位置での圧迫が腰痛の大きな要因となります。また、筋力の低下や血行不良も、痛みの原因に直結してしまうことがあるのです。次から詳しくお話していきます。

自分で姿勢を変えられない事による持続的な圧迫

寝たきり状態で体を動かすことができないと、一部分に圧迫がかかり、それが血流の悪化や筋肉の衰えを招きます。この状態が続くと、体の一部に栄養素や酸素が不足し、組織や筋肉が弱くなります。そして、痛みや不快感が生じるだけでなく、体勢が変わらないことで腰を支える筋肉がこわばり、ますます疼痛が増してしまいます。

このような状況は、心身の健康に大きな影響を与えます。寝たきりであること自体が、患者にとって非常に辛いものであり、痛みや不快感が加わると、その苦痛はさらに深刻なものとなります。このような状態に置かれた方は、日々の生活がますます困難になり、精神的な負担も増大します。

そのため、寝たきり状態での疼痛や不快感を軽減し、患者の心身の負担を軽くするためには、適切なケアと対処が欠かせません。介護者や医療スタッフは、定期的な体位変換や運動療法などを通じて、圧迫を解消し、血流を改善する努力を惜しまない必要があります。また、痛みの管理や心理的なサポートも同様に重要です。患者の安心と快適さを確保するためには、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善のケアを提供することが不可欠です。

寝具があっていない

硬すぎるまたは柔らかすぎるマットレスは、体の一部に過度な圧力をかけたり、身体を適切に支えられないことが原因で、腰痛を引き起こすことがあります。これは、身体のラインに沿った適切なサポートが欠如しているために起こります。

理想的な寝具は、身体の自然なカーブに沿って適切にサポートしてくれるものです。腰部への圧迫を避けつつ、全体を均等に支えることができるマットレスが望ましいです。適度な硬さであれば、腰の側面が沈み込みすぎず、背骨が適切な位置に保たれます。また、枕の高さも重要です。首や肩への負担が腰にも影響を与える可能性があるため、適切な高さの枕を選ぶことが大切です。

適切なマットレスと枕を使用することで、体の負担を軽減し、腰痛を予防することができます。また、マットレスの定期的な交換や、体のラインに合った適切な硬さのものを選ぶことも重要です。健康的な睡眠環境を整えることで、快適な睡眠を得ることができ、腰痛のリスクを低減することができます。

寝たきりによる腰痛を防ぐには

寝たきりの状態が長く続くことで、腰痛を生じやすくなります。毎日同じ姿勢でいることで、腰部にかかる圧力が常に一定の箇所に集中し、筋肉や関節に異変をきたすことが主な原因です。

このような腰痛を未然に防ぐためには、日常生活における細かな工夫が重要になってきます。例えば、寝具の選定、体位の変換、ストレッチや軽いエクササイズを取り入れるなど、幾つかの方法を組み合わせることが有効でしょう。以下に解説して行きます。

定期的に体位交換をする

体位交換は、寝たきりの人の姿勢を定期的に変えることにより、一部分にかかる体圧を分散させる予防策です。特定の部位に長時間圧力がかかることで形成される褥瘡(じょくそう)の防止にもなるだけでなく、腰への負担を軽減させる目的もあります。

寝たきりの方が同じ体勢で長時間過ごすと、特定の部位に圧力がかかり続けます。これによって皮膚の血行が悪くなり、褥瘡が発生するリスクが高まります。さらに、腰部に長時間圧力がかかることで、筋肉や関節に負担がかかり、腰痛の原因となる可能性もあります。

そこで、体位交換が重要となるのです。2~3時間おきに異なる姿勢に変えることで、体圧を均等に分散させることができます。例えば、仰向けから横向きに体位を変えることで、特定の部位への圧力を軽減することができます。

また、体位交換の際には、腰部にクッションを挿入したり、マットレスの硬さを調整したりすることで、より良い圧力分散を目指すことができます。特に、寝具の選定は重要であり、体圧を均等に分散し、腰部への負担を軽減するマットレスや枕を選ぶことが必要です。

体位交換は寝たきりの方の健康状態を維持し、褥瘡や腰痛のリスクを低減するために不可欠なケア方法です。定期的に行い、適切な対策を講じることで、寝たきり生活に伴う健康リスクを最小限に抑えることができます。

廃用症候群を予防する

廃用症候群とは、長期間にわたり筋肉を使用しないことで筋力が低下し、関節の可動域が制限される状態を指します。この状態に陥ると、筋肉の衰えだけでなく、体の各部位にさまざまな問題が生じ、腰痛の原因ともなり得ます。

この深刻な状況を未然に防ぐためには予防策が求められます。具体的な予防策はこちらの記事をご参考ください。

予防ストレッチをする

寝たきりの状態でも実施可能なストレッチは、腰部の筋肉や靭帯を緩めることによって、腰痛の予防に役立ちます。

身体が長時間同じ姿勢に固定されると、筋肉や靭帯が硬くなり、腰痛の発生リスクが高まります。そうならないように、寝たきりの方でも行える簡単なストレッチを取り入れることは重要となります。例えば、仰向けになり、両膝を胸に引き寄せる「膝胸式」や、仰向けになり片膝を曲げ、反対側の手で膝を引き寄せる「片膝胸式」などがあります。

これらのストレッチは、腰部の筋肉を緩め、血液循環を促進する効果があります。さらに、ストレッチを続けることで、筋肉や靭帯の柔軟性が向上し、腰痛の予防につながります。 ただし、寝たきりの方がストレッチを行う際には、十分な配慮が必要ですので、理学療法士や専門家の指導のもとで行うことが望ましいです。適切なストレッチ方法や頻度、強度を専門家に相談し、個々の状態に合わせたプログラムを作成してもらいましょう。これにより、安全かつ効果的なストレッチを実施し、腰痛の予防にしっかりと役立たせる事が出来ます。

腰痛の痛みを和らげるには

腰痛は日常生活に大きな影響を与えることもあり、特に寝たきりの状況ではその痛みを自分でコントロールすることが難しいことがあります。

慢性的な腰痛にお困りの方や、寝たきりで生じる腰痛を経験されている方は、適切な対処法によって痛みを軽減することができる場合があります。 今回はそういった腰痛を和らげる方法をいくつかご紹介していきます。

温熱療法

腰痛の緩和に効果的な方法の一つとして、温熱療法が広く用いられています。この方法は、温かいタオルや湯たんぽ、温熱パッドなどを使って腰部に温かさを与えることで、筋肉の緊張を和らげてくれます。

温熱療法による温かさは、血流を改善し、炎症物質の除去や代謝産物の排出を促進します。これにより、腰痛の原因となる炎症や筋肉の緊張が緩和され、痛みを和らげる効果が期待されます。

ただし、温熱療法を行う際には、低温やけどに注意することが重要です。温度が高すぎると、肌へのダメージを引き起こす可能性がありますので、適切な温度でやることが大切です。熱すぎる場合は、布で包んだり、温度を調節する工夫をすることで、安全に温熱療法を行うことができます。

また、温熱療法を行う際には、個々の体調や症状に合わせて適切な方法を選ぶことも重要となります。体に負担をかけない程度の温熱を与えることで、安全かつ効果的な緩和が期待できます。温熱療法は、痛みや不快感を和らげるだけでなく、リラックス効果もあるため、腰痛に悩む方にとって、とても有益な方法と言えます。

腰周囲の関節を動かす運動

腰痛は日常生活に多大な影響を及ぼす苦痛の一つですが、適切な運動を取り入れることでその緩和が期待できます。寝たきりの状態でも、少しの動きから始めることで、痛みを和らげる効果が得られるでしょう。

腰痛の緩和に役立つ運動として、腰周囲の関節をゆっくりと動かすストレッチが挙げられます。これによって筋肉が伸び、血流が促進されることで、痛みの緩和につながります。また、寝ながらでも行える下肢の上げ下げ運動も有効です。これによって下半身の筋肉を刺激し、腰への負担を軽減することができます。

ただし、無理な運動はかえって痛みを悪化させる原因になりますので、慎重に行うことが重要です。自身の体調や痛みの度合いをよく考慮し、無理をせずに行いましょう。運動を行う際には、十分な休憩を取ることや、痛みがひどい場合は運動を中止することも忘れずに行いましょう。

継続的な運動は、腰痛の緩和だけでなく、体全体の健康維持にも役立ちます。運動を取り入れることで体力が向上し、痛みに対する耐性が高まるため、腰痛の再発を予防する効果も期待できます。無理なく続けられる運動を見つけ、日常生活に取り入れることで、より健康的な生活を送ることができるでしょう。

離床を図る

長時間同じ姿勢で過ごすことは、腰痛を悪化させる可能性があります。可能であれば、スタッフや介護者の支援を借りながら、定期的に体位を変えることが重要です。たとえば、ベッドから起き上がって椅子に座るなどの動作を取り入れるのは、とても良い事です。

立位や座位に移ることは、体重を均等に分散させる効果があります。これにより、一つの姿勢で長時間留まることによる局所的な圧迫を軽減できます。また、離床することは筋力の維持にもつながり、寝たきりからの回復を助けてくれるのです。

ただし、離床が難しい場合は、ベッド上での姿勢変更を定期的に行うことも有効です。たとえば、体をひねったり、体の位置を変えることでも、圧迫を和らげることができます。

腰痛を軽減するためには、定期的な体位変換や姿勢の変化が欠かせません。これにより、局所的な圧迫や筋肉の硬直を防ぎ、腰の健康を維持することができます。介護者やスタッフと連携しながら、適切な姿勢管理を行うことが大切です。

さくらリバースについて

寝たきりで腰痛になることを防ぐためには、まずは定期的な体位変換や適度な運動を心がけることが大切です。さらに、腰痛を和らげるためには、適切なマッサージやストレッチ、温熱療法などのリハビリテーションが効果的です。

さくらリバースでは、経験豊富な専門家が患者様の状態に合わせた適切な治療プランをご提案し、痛みの原因にアプローチします。患者様の健康と快適な生活をサポートするために、ぜひさくらリバースのサービスをご利用ください。

まとめ

複数の原因が複雑に絡み合い、寝たきりの状態が長期化すると腰痛を引き起こすことがあります。特に自分で姿勢を変えられない状況による持続的な圧迫や、使用している寝具が身体に合っていないことで腰に余計な負担がかかるといわれています。

日々の生活の中で、定期的な体位変換や適度なストレッチ、そして廃用症候群を予防する動作等、寝たきりにならないためにも意識することが重要です。いざ腰痛が起こってしまった場合は、温熱療法や、腰周囲の関節を動かす運動によって痛みを和らげる努力をすることが可能です。また、医師や看護師など専門家のアドバイスを受けながら離床に取り組むことも効果的な対策の一つとされています。

こうした予防法や対処法を踏まえ、ひとりひとりの身体の状態に合わせたサポートを行いながら、快適な生活を送ることができるよう、日々の心がけとして視野に入れていくことが大切です。そして、適切な対応を通して腰痛のリスクを減らし、健康を維持することが目指すべき方向性だと言えるでしょう。

監修:森田 進
株式会社 さくらリバース 人材開発部 兼 事業開発部 部長
   

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